2006.02.01 　vol. 70

声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。 声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。

こんにちは。雷鳥社「声優になる！マガジン」エディターのイタガキです。「声優さんになりた〜い！」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガをみなさんにお届けいたします。今週からは、ドラえもんのスネ夫役で26年間ずっと変わらず私たちを楽しませてくださった、日本を代表する声優業界の大先輩、肝付兼太さんが登場です。どうぞお楽しみに！！

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好きな芝居をどれだけ長くどれだけ楽しむか。それが僕のライフワーク。肝付兼太インタビューVol.1 ドラえもんの元スネオ役などで、おなじみ、あの声優の大先輩、肝付兼太さんが今週から登場です！！　今週は、演じることに興味を持った頃のお話をお伺いいたしました。みなさん、お楽しみに！！ ■ Profile ■ 肝付兼太（きもつきかねた） 鹿児島県出身。『ドラえもん』の骨川スネ夫の声を26年間務め、2005年3月18日をもって降板。洋画吹替のほか『怪物くん』（ドラキュラ役）、忍者ハットリくん（ケムマキケムゾウ役）など藤子不二雄作品をはじめ数多くの作品に出演。日本のアニメを支えてきた日本を代表する声優である。また、自らが主宰する劇団21世紀FOXでは演出、構成を手がける他、若手俳優の育成指導にもあたっている。 劇団21世紀FOX公式ＨＰ

人前ではじめてやった落語が快感に！ ―――　肝付さんが最初に俳優や声優に興味を持たれたのはいつ頃だったのですか？ 子供の頃、映画やラジオでのドラマを聞いていてやりたいと思うようになりました。本格的に意識するようになったのは、小学校の卒業式の謝恩会のときです。出し物で落語をやったのですが、これがとても周りにウケまして、好評だったんです。それがきっかけで、人前で何かを表現するということに目覚めた感じがします。 高校の時には先生と一緒に演劇部を作りました。私は帝京高校だったのですが、その時、化学を受け持ってくださっていた先生が演劇が大好きな方で、「演劇部を作るからやる奴いるか」と人を募って演劇部ができたんです。私が卒業するときに後輩も入ってこなかったので、結局、廃部になってしまいましたが・・・。練習では発声訓練や外朗売りなどをやりましたね。 ―――初めから声優を志望されていたのですか？ 私は最初、映画俳優になりたかったのです。私が子供の頃はTVなんてまだありませんでしたから、映画が盛んで、映画だけがエンターティメントとして存在している感じでしたからね。 ただ、自分には映画俳優が向いていないと思いまして、ラジオでのドラマなどを聞いていて、これはいいなと感じたのです。演技するということでは同じなんだろうなと思いました。私が小学4年生のときが終戦でしたから、その頃はTVもなく、ラジオもNHKだけ。民放が出てきたのが昭和30年ぐらいだったと思います。 当時は、ようやく番組が増えてきて、これで声優になれば食べていけるかなと感じていたのを覚えています。ただ、どうすればプロの声優になれるのかが全く分かりませんでしたね。 当然専門学校もありませんし、芸能プロダクションも声優のものとしてはなかった時代です。結局劇団の中にある映画放送部がマネージメントする形というのがほとんどだったようです。ですから、声優への道のりとしては、劇団で演技の勉強をしながらというのが、プロへの道が開けるという流れでした。 そういうことを少しわかるようになって、とりあえず劇団に入って勉強することが第一だと思い劇団に入ったのです。声優を目指して劇団に入ったのですが、声優であれ、映画俳優であれ、そこで学ぶことは役者の原点なわけです。芝居に触れ始めて、逆に芝居の魅力にとりつかれた感じかな。 生放送の現場で鍛える ―――　その当時、声優になろうとする方は珍しかったのではないですか？ NHKにNHK放送劇団という劇団が存在し、NHK放送劇団の方々は「声優さん」と呼ばれていましたね。私は年齢的にもダメだったと思うのですが、劇団に入ることはとても難しく、日本全国から集まってくるので競争率は1000倍ぐらいあったはずです。ですから、そこは無理だなとあきらめました。 後に民放が出来た時のラジオ東京今のTBS。そこにもラジオ東京放送劇団というものがありました。第4期生の募集のときだったと思いますが、ここは受験しました。落ちてしまったんですが、今思うと、私にはそれがいい方向に動いたと思います。 ラジオ東京放送劇団の1期生には大平透さんなどがいました。今はもうNHKもTBSの劇団も解散しましたけどね。当時はTV局が開局して間もない頃。番組枠を埋めるのに外国のアニメーションや映画を輸入していました。ただ、作品で使われているのが海外の言葉なので、最初は字幕で考えたらしいのですが、当時のTVのブラウン管は曲面でしたから、端に映る字幕が切れてしまったり良く見えなかったりしたため、海外でされていた吹き替え技術を日本でも取り入れようと、吹き替えがはじまったようです。 ところが、当時の吹き替えは生放送。ですから私が初めてこの仕事をしたときには「こんな仕事していたら長生きできない」って辞めようと思いました（笑）。その頃すでに中村正さんや城達也さんなどは、みなさんとても上手かったですね。よくこんなにできるなって感動しました。それで、これはある意味努力が必要な世界なんだなと思いましたよ。 ―――　肝付さんが声優を目指された時代というのは今と違い、生きていくこと自体が大変で困難な時代だったと思うのですが、そんな厳しい時代に演じるという進路を選ばれた肝付さんにご両親やご兄弟は賛成だったのでしょうか？ 私は兄弟が6人。高校生の時に父が他界しましたから、役者のように海のものとも山のものとも分からないことはできないと思い、高校卒業後はデパートに就職しました。でも、自分の夢みたいなものが忘れきれなくて、今でいうワークショップのようなものに、夜、ちょこちょこと参加したりしていたんですね。そのうちにこんなちょこちょこと関わっていてもダメだと思って・・・。本格的に身を投じて一か八かやらなければ身にならないという感じに自分が追い込またんだと思います。 それで母親と兄弟に相談しました。そうしたら兄弟大勢なんだから1人ぐらい変な奴がいてもいいだろうということになりました。援助はできないけれども、やることには反対しないと言ってくれたのです。ですから、家族には迷惑をかけないように頑張ろうと思いましたよね。 父親が死ぬ時、私は高校生で演劇部に入っていました。病床の中で父親が貯めた当時のお金の1000円を「何かの役に立てろ」ともらったのです。その頃役者になりたいなりたいって言っていましたから、父は応援してくれたのかもしれません。父親も昔若い時に白樺という劇団を作ってやっていたという話を後に父親の友人から聞きました。父親の口からは一度も聞いたことはありませんでしたが、そういう思いもあったのかなと。 次週（2/8配信）もお楽しみに！！

	オーディションの待ち時間緊張していませんか？基本を忘れずにね！ 声優ってどんな仕事？　どうしたらなれるの？　なるにはどんなトレーニングが必要なの？　そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』（雷鳥社）という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。
東京・荻窪にある声優・俳優養成所松濤アクターズギムナジウム 基礎から始める声優トレーニングブック 雷鳥社/1‚575円（税込み）	●次の【1】〜【5】は、呼吸に関する文です。正しいものに○、誤っているものに×をつけましょう。 【1】息を吸うときは口からではなく、鼻から吸うのが正しい呼吸法だ 【2】声は喉から出すのではなく、お腹から出す 【3】演技のときの発声は腹式呼吸のみで行う 【4】腹式呼吸をするためには腹筋の力が必要である 【5】息の許容量は生まれつき決まっている ［解答］ 【1】○　【2】○　【3】×　【4】○　【5】× ［解説］ 【3】ハアハアと肩で息をしながらのセリフをいうときなど、場合によっては胸式呼吸で発声することもあります 【5】息の許容量はトレーニングすることによって増やせる 特に長いセリフを一息でいったり、いくつかのセリフを最後まで同じ強さで言い切るためには腹式呼吸が必要です。ただし呼吸法は腹式呼吸だけではありません。胸式呼吸や肩式呼吸など、マスターすべき呼吸法はほかにもあります。 腹式呼吸は息を吸うことより、吐ききるを意識するといいでしょう。その状態から腹筋の力を抜いて軽く息を吸うと自然に空気が入ってくるはずです。 腹式呼吸は基本中の基本。練習は欠かさずにがんばりましょう！	朗読ナレーショントレーニング 日本の名作を演じる（CD付） 新刊！CD未収録の音声ファイルがダウンロードできます。 雷鳥社1‚890円（税込み） 声優養成トレーニング教材 地方にいて、養成所へ通えない！！養成所へ入る前に少しでも訓練をしておきたい！！そんな読者の方のための、松濤アクターズギムナジウム監修の声優養成トレーニング教材（15‚000円税込み）です。詳細は雷鳥社までお問い合わせください。 声優になるための練習問題100 雷鳥社/1‚470円（税込み）

	松濤アクターズギムナジウム主催　オーディション直前ワークショップ＆出張入所オーディション　IN大阪2006　　　 今週は、お世話になっている松濤アクターズギムナジウムさんからのオーディションのお知らせです！！ 例年東京の荻窪本校のみ開催していたSAG入所オーディションを今年も大阪でも開催します!! オーディション形式は東京のSAG本校で行われるものと同じです。あなたの「やる気、志、実力」を是非見せてください。 併せて、演技の経験も全くない人がオーディション前に少しでも演技というものを学んでオーディションに望めるように、そして今年は無理だけど来年は受験してみたいと思っている人が1年間自分でできる限りの努力ができるようにオーディション直前の演技ワークショップも開催いたします。声優・役者になるために何が必要なのか？　オーディションにどのように望めばいいのか? 是非学んでみてください。 【演技ワークショップの日程】 2月11日（土）午後（演技WS１)13:30〜（3ｈ） 2月12日（日）午前（演技WS２)10:00〜（2.5ｈ) 【SAG入所オーディション】 2月12日（日）午後14:00〜 費用：ワークショップ各1回のみ受講　3500円 　　　2回通しで受講　　　　　　　　　6000円 　　　入所オーディション　　　　　　 無料 ※希望者は松濤アクターズギムナジウムに必ず電話にてご確認ください（定員あり）。 場所：「門真市立文化会館」 　　　大阪府門真市中町2-3 　　　(応募者には別紙地図等送付します) 申込締め切り日：２/６（月） お申込み・お問い合わせは、松濤アクターズギムナジウムホームページからしていただくか、 お電話で03−5310−3535までお問い合わせの上、資料請求をしてください。	※入所オーディションのみの受験も可能です。（入所意思のない受験はご遠慮ください） ※すでに東京での受験に申し込まれてしまった方も変更できますので電話にてお知らせください。 ※SAG大阪校はございません。SAG東京本校の入所のための出張オーディションです。

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	編 集 後 記
	声優という職業の生まれた頃から声優を目指された肝付兼太さんのインタビューです。とても気さくにお話をしていただけました。戦後間もないという厳しい環境の中でプロを目指すということは現代の比ではないご苦労があったことでしょう。役者を目指す人に現在の自分と比較して勇気に変えてもらえたらと思います。お楽しみに。（Hashimoto Takahiro）
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