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インターネットラジオ「がんばれ!山口少年探偵団」 山口勝平氏とライターの大沼弘幸先生によるオモシロトーク番組。探偵の大沼先生と助手の山口少年という設定でトークを繰り広げる。ストリーミングWebラジオ番組『ハラショー』 にてON AIR中!
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「さんにんのかい」公演ビデオ・DVD好評発売中 「新選組―名もなき男たちの挿話―」 2002年2月22日〜24日、東中野・梅若能楽学院会館で行われた「さんにんのかい」第1回公演が映像化され収録 VAP/DVD・6‚090円・ビデオ・3‚990円(税込み)
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「異聞西遊記・孫悟空〜花果西遊妖仙奇譚」 2004年1月17日〜25日、新宿・紀伊国屋サザンシアターで行われた「さんにんのかい」第3回公演が映像化され収録 VAP/DVD・6‚090円(税込み)
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声の仕事と舞台の両方があってこそのバランス
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――― レギュラー番組をやっていると、劇団との両立は相当大変ではないかと思うのですが。
声の仕事が忙しくなってきた時は、劇団のほうはダブルキャストにして助けてもらいました。両方やっていると、両方とも新鮮だったりするんですよね。片方だけだったら、僕の退屈病が出てきたかもしれません(笑)。
現場はみな先輩でしたから、自分は下手で当たり前なのでとにかくぶつかっていくしかありませんでした。そういうチャレンジャースタイルでいいと思ってやっていました。アニメで主役を何本もやらせてもらっていても、劇団に戻れば自分より上手い人がいくらでもいて、その中で仕事をさせてもらっているというのは本当にラッキーなことだと思います。
声優の世界は、芝居が上手ければ必ずデビューできるという世界でもないので、自分より魅力的なものを持っている人でも仕事に結びつかなかったりするのを見ることもあります。そんな中で、ちょっと天狗になれば鼻を折ってくれる人が周りにいっぱいいましたから、天狗になる暇もなかったですね(笑)。
――― 舞台と声の仕事の違いとは何だと思いますか?
声の仕事のほうが役の自由度は高いですよね。舞台はやはり身体を出す世界ですので、自分の外見的なものが50%は占めてくると思います。でもどちらにも違った魅力があります。同じ役者の作業なのですが、陸上競技で例えてみると短距離走と長距離走みたいなものでしょうか。スプリンターとマラソンランナーが鍛える筋肉が違うように、同じ役者でも違うんです。声の仕事やアフレコの仕事は瞬発力を要求されます。声の仕事ではその場で原稿を渡されて、自分ですぐさまイメージを組み立てて、その場で声を出さなければならないこともあるわけですから、瞬発力が必要なんですね。逆に舞台は、2,3ヵ月その役とずっと付き合って掘り下げていく作業なんです。ですからどちらかといえば持久力が必要なんですね。
また、アニメーションはもともとが2次元のものですから、そこに躍動感を与えるためにはデフォルメした演技が必要だと思います。今はナチュラルな芝居がいいと求められている時代ですが、僕は絶対にナチュラルであったとしてもデフォルメを越えた上でしかナチュラルはないと思っています。デフォルメをできる人が、その次にナチュラルな演技に到達していけるのであって、デフォルメをできない人がするナチュラルな演技というのは、それはナチュラルなのではなく、単に素の演技だと思っています。ですから、アニメの時はなるべく大きく派手に演技するようにしています。アニメのアフレコというのは、自分の生理ではないんですね。誰かが作った枠にセリフをはめていく作業です。そこに自分らしさをプラスしたり、その役がしっかりと生きているように躍動感を持たせたりする作業ですから、舞台上で自分のメ間モやメ感性モで演じていくこととはやはり違います。外画だと実際に海外の役者さんが演じていますので、その人たちの呼吸があります。その役者さんの呼吸に合わせて芝居をしていくことができるのですが、アニメの場合は呼吸もしていないわけですから、そこに呼吸も与えてあげなければなりません。そこまでできないとアニメのアフレコは難しいと思います。
――― そういったことに気づくには相当の技術が必要なのではないかと。
少しずつ、時とともにわかってきた感じです。試行錯誤を繰り返しながら自分で学んできたかなぁ。今でも自分に合格点はあげられません。30分の放送の中で一言でも、「今までこういう表現はできなかったな」というのがあればよしという感じですよね。
基本的には自分のオンエアは見るようにしています。今は勉強で見るより、一視聴者として楽しんで見るようにしていますけど(笑)。 |
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舞台という魅力的な世界にい続けるにはまず稽古
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――― 声優(役者)になるために必要なものってなんでしょうか?
最近、知り合いのお子さんが年頃になってきて、将来声優になりたいと相談されることが増えました。実は一番困る相談なのですね。「やめなさい」ともいえないし、「やりなさい」ともいえないんです。それは「絶対なれる」ともいえないし、まったく同じ確率で、「絶対なれない」ともいえないからです。やってみなければわからない世界なんです。
肉体的な練習はきついけど、やるしかないんですよ。長くセリフをしゃべるのに腹筋は絶対必要ですし、滑舌もやったほうが絶対いいです。筋肉はだんだんと衰えてきますから、やっておかないとその衰えが早いと思います。そういうものは養成所の間にやっておくものです。劇団に入ってからは、それは個々の自覚のもとでしかできません。どれだけ自分に厳しく課していくしかないです。
僕は芝居が好きで好きで、芝居漬けになっている自分が大好きでした。
舞台の本番も大好きですが、それよりも稽古が好きなんです。舞台袖から観た世界って、とても魅力的な世界なんですよ。夢のような世界に感じています。そういう場に自分が身を置いている。そしてその状況を維持するためには稽古するしかないと思っています。
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いい芝居を観ると悔しい
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――― そんな舞台が大好きな山口さんですが、他の方の舞台は観に行かれたりはしますか?
いろんな芝居を観ますよ。友達の芝居とかもよく観にいきます。でも、いい芝居を目の当たりにすると、なぜ自分がここで観ているんだろうって思っちゃって、悔しくて楽屋に行けないんですよ。自分は演じる側にいる立場じゃないのかって、いてもたってもいられず稽古したくなります。自分が芝居をやっていて、「よくがんばったね」といわれたら面白くなかったんだなと思っちゃいます。お金もらって観てもらっているわけですから、がんばって当たり前ですよってね(笑)。
――― いい芝居を観ると悔しいだなんて、本当に舞台が好きなんですね。そんな思いを抱いた役者さんがたくさん出てくると、観る側としても楽しいのですが。
若い人たちの芝居も観に行くのですが、決して上手い芝居に期待しているわけではありません。自分の感性を刺激してくれるものを求めます。若い人たちは“若さ”っていう最大の武器を持っているわけです。それを活かした芝居に期待します。複雑な感情表現やテクニックなんていうものは長く続けていれば自然と誰でも身についてくるものです。それだったらそのテクニックを支えてくれる根本の“喜怒哀楽”という感情表現をできる役者に期待します。勢いのある思い切った演技ができることですね。長く芝居をやってきた人間はそればかりだと批判されてしまいますが、僕らがもう恥ずかしくてできない芝居を堂々としてくれると嬉しいですね。 |
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