2004.08.11 　vol. 8

声優になりたい人、業界に興味のある人のためのメールマガジンです。 声優のインタビューと声優に必要なトレーニングや知識をレッスンします。

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雷鳥社「声優になる！マガジン」エディターのオオネダです。 「声優さんになりた〜い！」と思っている人たちや、「アニメが大好き☆」という人たちに役立つ情報が満載のメルマガです。 3週にわたりお届けしてきた甲斐田ゆきさんのインタビューも今週で最終回。甲斐田さんから声優を目指すみなさんへのメッセージもあるのでお楽しみに！

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声の仕事で見つけた自分の居場所。声優・甲斐田ゆきインタビュー これまで3回にわたり、演劇との関わり、声の仕事、そして人との縁など、声優として生きることを様々な視点から声優・甲斐田ゆきさんに語っていただいた「私が声優になった理由（わけ）」も、今回で最終回。 最終回では、声優として仕事をしていくこと、声優になりたい人たちへのメッセージを語っていただく。 ■ Profile ■ 甲斐田ゆき（かいだゆき） 11月30日生まれ。東京都出身。米国留学後、舞台、ラジオ、ナレーション等、多方面で活動。近年は声優としても『ハンター×ハンター』クラピカ、『テニスの王子様』不二周助、『花右京メイド隊La Verite』花右京太郎など、様々な話題作品に出演。また、CDドラマに出演するなど、幅広く活動をしている。現在、主人公・安部昌浩役で出演しているCDドラマ『少年陰陽師』が絶賛発売中。

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大切なのは24時間、役者を意識すること ――　ナレーションの仕事をしてみてどうでしたか？ 私はこんな仕事（ナレーション）があるって知っていたら、もっと早く目指していましたね。本当に楽しくて。こんなに楽しいことしてお金もらっていいのかなって思うくらい。読むだけで高揚するようなセンスのいい文章を書く人と仕事ができたことも恵まれていたと思います。マイク前で原稿を読んでいれば満足なんですよ、私。 私がしてきたナレーションの多くは、届かせる距離という意味で舞台用の呼吸というより、日常の呼吸に近いものでした。制作にかけられる時間はとても短いものですから、仕事を開始して、最初の短い時間でその作品や求められているものを感じ、探って表現しなければなりません。やっぱり何をしても自分の引き出しの中でしか処理できないので、自分の引き出しが少ないと相手が持っている感性に近づかない。それで悔しい思いをすることは多々あります。だから普段からのアンテナが大切なのだと思います。 役者として表現するときには、自分に染み付いたものがにじみ出ます。どんなに取り繕っても絶対に出てしまいます。ですからやっぱり24時間どういう意識で生きているのかって大切だと思います。 ――　具体的にはどのようにしたらいいと思いますか？ 本当は、「自分が興味がなくてもいろんなことに興味を持ちなさい」って言ったほうがいいんでしょうが、私の個人的な意見としては、自分がとても興味を持ったものに関してマニアックに掘ってもいいんじゃないかなって。それもその人の個性になりえるのじゃないかなって思います。ただ個性って無理やり出さなくてもにじみ出るものですよね。 それと、「Don’tじゃなくてDo」。つまり、こういうところがよくないと否定ばかりしていくと、小さくきれいにまとめることしかできない気がします。私自身は、あまり自分にいいところがないなと感じていたんですが、あるときに、いいところがないのが私のいいところなんだって思うようになりました。 自分の居場所を見つけた ――　そう思うようになったのはお仕事を始めてからですか？ はい。私の声や表現は、これといって特徴がないのかもしれませんが、逆に考えると人の邪魔にならないということも長所になりうるかと。 役者なり声優なりは、誰しもみなオンリーワンじゃなくてはいけないという雰囲気がありますよね。でも、私自身はそのオンリーワンになる資質がないと感じて、それがコンプレックスになっていました。あるとき、恩師であるSさんが、「業界にはこういう人も必要なんですよ」って言ってくださったんです。目からうろこでした。私がここにいる意味があるんだって、私が仕事してもいいんだって、居場所を見つけさせてもらったんです。それがとても嬉しかった。 ――　甲斐田さんですらそのような悩みを抱えていたのですね。 ある程度のアグレッシブさがあったりとか、自分を前に出す才能が必要だったりとか思っていたのですが、私にはそれがとても居心地が悪かったんです。それでも、苦手だけどやるべきだって考えていたのですが、それはそうすることが自然な人がやればいい、私はこのままでもいいんだって思えたんです。 私が思うには、自分で何かを無理に見極める必要もないと思いますし、自然にその人が人生のポイントにくれば気がつくことだと思います。気がついてないことに無理やりに気づこうとする必要はないと思いますし、それよりも今レッスンをしているのだったら、目の前の課題を一生懸命することが大切だと思います。自分の自然体が何かということは、そのときそのときに集中することでしか見つけられないから。だからやっぱりこれが“絶対”っていう虎の巻はないですよ。 縁を拾うためには続けること ――　甲斐田さんの考えるプロになるための資質ってなんでしょうか？ しいて言うならば、私たちの仕事の最低限で絶対的なことは時間に現場にいることだと思います。それは養成所にいても大学にいてもそのトレーニングは始まっていて、「自分がいるべきところに、きちんと自分を連れて行く」ことは絶対に必要なことです。不測の事態は別にして、一回でもそれを怠ると二度と仕事はこないと思っています。私が思うようなことは多分どの職業でも一緒かな。 あとはとにかく続けることですかね。縁を拾うためには拾える場所にいないとね。 ――　声優を目指す人に何かメッセージをお願いします。 なりたいという思いを振りかざして、熱意のはけ口を間違えてはいけないなと思います。熱意は、他人に対してぶつけるものではないので。熱意があるなら黙って切磋琢磨して、結果を見てもらえるようにすべきですよね。人に見せていいのは、熱意そのものよりも結果ですから。今、ちょっと自分に対して言っていますが。 4回にわたる甲斐田さんのお話はいかがでしたか？　自分に一生懸命、正直に生きている方ですよね！　さて、次号もステキな声優さんが登場します！

	声優ってどんな仕事？　どうしたらなれるの？　なるにはどんなトレーニングが必要なの？　そんな疑問にお応えするべく、毎回少しずつですが声優になるために必要な知識やトレーニング方法を紹介していきます。東京・荻窪にある声優・俳優養成所「松濤アクターズギムナジウム」の監修・協力により刊行されている『はじめての声優トレーニング』『声優になるための練習問題』（雷鳥社）という本をもとに、声優の世界をひもといていきます。
東京・荻窪にある声優・俳優養成所 松濤アクターズギムナジウム 基礎から始める殺陣・アクション入門 武士道ブームから殺陣・アクションに興味を持つ人が急増。殺陣・アクションを演じるための基礎知識からテクニック、すぐに使える立ち回りの演出プランを写真やイラストを使い、1冊にまとめた新しいタイプの入門書 雷鳥社/1‚575円（税込み）	二重母音と長母音 ●二重母音 「あ＋あ」や「え＋い」のように、母音がふたつ続いているものを「二重母音」（または連母音）といいます。 例えば、「顔」はローマ字で書くと[kao]となり、[ao]の部分は二重母音になっているのがわかります （例）最近 [saikin] 　　　刑事 [keiji] 　　　羽織 [haori] 　　　目移り [meutsuri] ●長母音 二重母音の中には、ふたつの母音が融合し、長く伸ばして発音するものがあります。これを「長母音」といいます。 例えば、二重母音が含まれている単語の「お母さん」は、文字では「おかあさん」と表記しますが、声に出して発音すると「おかーさん」となります。[okaasan]→[okasan]とふたつの母音を合わせて長く伸ばすのです。 （例）弟（おとーと） 　　　編集（へんしゅー） 　　　警察（けーさつ） 　　　小さい（ちーさい） 　　　通す（とーす） ただし母音が続いても、長く伸ばして発音してはいけないものもあります。例えば、「飼育」[siiku] は二重母音がありますが、「しーく」と伸ばして発音せずに、「しいく」というようにひとつひとつの母音をはっきり発音します。 （例）他愛（たあい） 　　　毛糸（けいと） 　　　仕入れ（しいれ） 　　　曖昧（あいまい） 　　　小売り（こうり） 次回は鼻濁音を練習しましょう！	はじめての声優トレーニング〜声のテクニック編（CD付） 「耳で聞いて学ぶ」ことの大切さに注目し、ひとりでもより効果的に学べるように、発音練習から朗読、ナレーション、オリジナル・ラジオドラマまで、プロの技術を完全収録 雷鳥社/1‚890円（税込み） 声優になるための練習問題100 「声優」になるために必要な知識や技術のほか、オーディションの内容からアニメ・洋画などさまざまな仕事の情報までを、わかりやすく解説。声優に「なりたい」を「なる」に変えるための入門書 雷鳥社/1‚470円（税込み）

	編 集 後 記
	甲斐田さんのインタビューもこれで最後となりました。声優になりたいと思っている人に少しでも役に立てたらとはじめて、もう2ヶ月。感想、ご意見いつもありがとうございます。これからもいいインタビューをしていきたいと思いますので応援してください。次号もステキな声優さんです。お届けは再来週（8/25）の配信です。（Hashimoto Takahiro）
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