Books 書籍紹介
緑をみる人
しかも世界中に!
え、そんなところから?
アスファルトのひび割れやマンホール蓋のふち、側溝の奥底、室外機の下……。整備された都市空間で、人知れず芽吹き繁茂する植物たち。
「路上園芸鑑賞家」として発信を続ける著者は、街の隙間に生きる緑に自身の秘めた「野性」を重ね、その制御不能さに心惹かれ続けている。本書では、世界の“隙間植物愛好家”17人にコンタクトを取り、約2年にわたってインタビューを重ねた。
水抜き穴協会・モリタケンイチは、水抜き穴という小さな穴に広がる生態系に「小宇宙」をみる。
イタリア在住のパオロ・カスパーニは、路上の植物に「勇敢さ」と「しぶとさ」をみる。
スウェーデンの元テレビマン、スタファン・フィッシャーは植物が生きる隙間に「ミニチュアの世界」をみる。
オランダの芸術家・アン・ゲーネは植物の「不完全さ」に「完璧」をみる。
メキシコのデザイナー・アストリッド・ストゥーペンと文化人類学者のステファニー・スアレスは、都市の植物から「パラレルな時間の流れ」を垣間みる。
日本、フランス、トルコ、メキシコ、韓国、台湾、イタリア、スウェーデン、ブラジル、シンガポール、アメリカ、オランダ、ニュージーランド。世界13カ国17人の緑をみる人たち。それぞれのストーリーと総数800枚もの写真。384ページ分の紙面をとおしてみえてくるのは、日常にひそむ地球の「野生」だ。
<目次>
PART1:著者が15年ほど前から撮りためてきた、日本の路上でみつけた隙間植物の写真395枚を掲載。
●はみ出す緑に自身の「野性」を重ねる/村田あやこ(botaworks)
PART2:著者がSNSで知り合った「中の人」など、世界の隙間植物愛好家17人にコンタクトをとりインタビュー。それぞれが撮りためた写真も紹介する。
●植物はどんな場所でも生きるすべを見つける/フランソワ・デコベック(Plants of Babylon)
●小さな穴の中に広がる小宇宙/モリタ ケンイチ(水抜き穴協会)
●定形の空間に、不定形のものが生まれる楽しさ/まつ(東京自由植物)
●人間も、足元の植物たちも、自然の一部/エレクトリックアイ(parts.of.nature)
●都市の植物は、自然と人工物とを融合させる存在/ケレム・オザン・バイラクター(Sokak Otları)
●都市の植物から垣間見える、パラレルな時間の流れ/アストリッド・ストゥーペン、ステファニー・スアレス(Planta De Asfalto)
●都市の小さな亀裂から、命が始まる/イ・ユンジュ(botanicity)
●植物は、都市にぬくもりと活気をもたらす/トム・ルーク(Treehouses of Taiwan)
●路上の植物たちは勇敢でしぶとい/パオロ・カスパーニ(being_weeds)
●植物が生きる小さな隙間は、まるでミニチュアの世界/スタファン・フィッシャー(Trottoaser)
●どんな場所でも、植物はただそこに存在する/エリサ・ヌネス(arvorexiste)
●人間と同じように、都市には多様な植物が生きている/サラ・セオ(Urban Lithophytes)
●人間界のルールの隙間に、植物のエネルギーが噴出する/山田泰之(路上盆栽)
●都市に自生する植物は、生態系にとって重要な存在/デビッド・サイター(Spontaneous Urban Plants)
●不完全さこそ植物の完璧な姿/アン・ゲーネ(Book of Plants)
●道端の草たちが、街への愛着を取り戻してくれる/重本晋平(まちくさ)
●困難な状況でも生きる植物たちの美しさ/ダニエラ・フエンザリダ(Aesthetics Of The Resistance)
PART3:PART2に登場する17人+著者が撮影した写真215枚を、シチュエーションごとに整理して掲載。
あとがき
英訳
- 著
- 村田あやこ
- 価格
- 2,640円(本体2,400円+税)
- 刊行日
- 2025年10月06日
- 仕様
- 四六版変形(H178×W112)
- ISBN
- 978-4-8441-3808-2