Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2008.11.10
vol. 126
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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肌寒い日が続いておりますが、みなさま元気にお過ごしですか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は報道写真家・宮嶋茂樹さんの最終回です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
カメラをかついだ渡り鳥。報道写真家・宮嶋茂樹インタビュー vol.6
写真集や著作の出版だけでなく、テレビへの出演など様々な分野で報道写真家として活躍する宮嶋さん。最終回となる今週は読者のみなさま、報道カメラマンになりたい人へのメッセージを伺っています。最後までお見逃しなく!!
■ Profile ■
宮嶋茂樹 (みやじましげき)
1961年兵庫県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真週刊誌『フライデー』専属カメラマンを経てフリーになる。「週刊文春」を中心に報道カメラマンとして活躍。1996年には編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞も受賞。「不肖・宮嶋 戦場でメシ喰う!」(ワールドフォトプレス)「私の異常な愛情―不肖・宮嶋流戦争映画の正しい観方」(光文社)「不肖・宮嶋 誰が為にワシは撮る」(大和書房)、「不肖・宮嶋 イツデモドコデモダレトデモ」(小学館)など著作は40冊以上。
Webサイト
『私の異常な愛情
不肖・宮嶋流戦争映画の正しい観方』

740円/光文社 知恵の森文庫/2008年6月

















『不肖・宮嶋 戦場でメシ喰う!』
2‚200円/ワールドフォトプレス/2008年5月 


















『不肖・宮嶋、再び。自衛隊レディース』
2‚200円/イカロス出版/2008年1月




















『不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる!(14歳の世渡り術) 』
1‚260円(税込)/河出書房新社/2007年8月






















そのほかの宮嶋さんの著作は・・・
こちらまで

理解できないデジタル
情報伝達手段として、写真業界でも急速かつ劇的なデジタル化が進んだ報道の世界。宮嶋さんも、取材に持参する機材はほぼ100パーセントデジタルに切り変わったという。とはいえ、プリントで見るのが当たり前の時代を経たカメラマンにとって、モニタ上で大量の写真を処理することには、やはり多少の違和感を覚えるようだ。

「やっぱり、私は紙で見ないと判断できないですね。だから必ず一度プリントして確認をします」

「デジタル化によって、カメラマンによる画像処理が以前にも増して当たり前になっていますけど、報道の世界で許されているのは、焼きこみ、覆い焼き、スポッティング…そのくらいですよ。その辺は、銀塩時代と変わりません。多重露光をしたら当然そのことを明記する。写真合成は、基本的には嫌がられますが、意図的に使用した場合はその理由と内容を明記する」

「私は、自分では画像処理の類はやりません。どうもデジタルは好きになれない。それは単純に“分からない”からなんですけど……」

「大学で光粒子説、光波動説から教わり、感光されたフィルムがブラックボックスの中で現像され、ほとんど奇跡ともいえる化学反応をおこして、印画紙に映像が浮かび上がっていく…そのプロセスを写真の原理として理解している私にとって、デジタルカメラのシステムというのは、まったく理解できないわけですよ」

「今撮った画像がなぜすぐに再生できるのか…それすら分からない。理解できないもので仕事をするのは、非常に不安ですし、不快ですよね。だから嫌いなんです。といって、それらを理解する努力は今にいたるまでしていませんけど。きっと理解したくないんでしょうね」

「今のデジタル技術では、かなりの描写、表現が可能だと言われていますよね。でも、圧倒的に信頼度が弱い点は、デジタルの耐久性ですよね。フィルム写真なら、きちんとした処理をほどこせば100年は確実にもつ。でもデジタルデータは、ある日突然なくなってしまう危うさがある。何百年もつものと、数秒で消えてしまうものと、その信頼性は違いますよね」

「とはいっても、最近のデジタルの解像力、精密性の進歩はすさまじいわけで、それは認めざるを得ない。いつまでも懐古主義に陥っていてはダメだと思っています。だから、クラフトマンシップだけは持ち続けたいなと思います」

自分が一番! くらいでちょうどいい
最後に、報道カメラマンに憧れる人へのメッセージを伺った。

「いつも人と群れてばかりいない方がいいですよ。考えが合わなかったり、価値観が合わないときは、一人になってもいいじゃないですか。一人で自分の信念や考えを押し通す自信がないようだったら、最初からカメラマンにはならない方がいいと思います」

「若い頃は生意気なくらいでいいんですよ。私も、ずっと田舎では一番うまいと思っていましたからね。カメラマンを目指すんだったら、“自惚れだろうか”なんて悩む必要はまったくない。ひんしゅくを恐れる必要はないんです。どうせ、いつかどこかで挫折するんだから、それまでは本当に一番だと思っている方がいいんですよ」

「私なんて、自分の写真が売れない、認められないというのは、誰かの陰謀だろう…くらいに思っていましたからね(笑)。ホントに。誰かがいじわるをしている…と本気で思うくらい自惚れていました。学生のころだって、誰かに写真を見せろと言われたら、恥ずかしいどころか “あなただってこんな写真撮ったことなでしょう”というくらいの気持ちで、自信満々で見せていましたよ(笑)」

「でも最近の若い人は、人に見せるのを恥ずかしがる傾向があるように思います。プロというのは、人に写真を見せてお金をもらう。しかも、何万、何十万という人に見てもらうわけでしょ。けなされるのを怖がっていてもしかたないんですよ」

「ただ…けなされるのは構わないけど、タダでけなされるのは嫌ですよね。私の本を買ってくれた人に『こんな本、千何ぼも払う価値ないじゃないか!!』って言われたら、『はぁ、すみません』ってなる。でも、どこかでタダでもらったとか、週刊誌で見たとか、その程度であれこれと文句を言われるのは嫌ですね。もっとも、金も払わずにけなす人の意見は一切無視していますけど(笑)」

「結局…私はずっと写真を撮っていることが楽しかったんですよね。7歳ではじめてカメラを持って、18歳で上京し、20歳そこそこから仕事を始めて…この四半世紀、失敗もしたけれど、何とか克服しながらカメラマンを続けてこられたのは、やっぱり写真が好きだったからです。好きじゃなかったら続かないですよ」

「報道カメラマンになる人というのは、写真を撮ることも、有事への好奇心も、両方ないとダメだと思います。私は、暗室作業も含めて、写真に関すること全般が好きなんですよ。そういう意味では、カメラマンというよりも職人、クラフトマン。私は、クラフトマンシップを大事にしたいし、それでいいと思っています」

宮嶋さんは、“ハイリターン”という言葉をよく口にするが、本当に高いギャランティーを求めるのであれば広告の世界も選択できたはずでは?

「私の場合は、消去法的にこれしかなかったんでしょうね。でも、本当にお金を稼ぎたかったら、カメラマンにならないに越したことはないですよ(笑)」


宮嶋さん、お忙しい中、貴重な時間を作っていただき、
また、飾らない言葉で率直にインタビューにお答えいただき、
ありがとうございました!!
今回で「私が写真を撮る理由」のインタビューコーナーは終わりになります。長い間、楽しみにしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。

写真
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編 集 後 記
写真が好きだという強い思い、有事への好奇心、報道カメラマンにはその両方が必要だという宮嶋さん。お話を聞いていて、宮嶋さんにとってそれは本当に真実なんだなぁ、と納得ができました。さて、2004年6月からスタートしたこのカメラマンインタビューも、ついに最終回を迎えてしまいました。始まりがあれば終わりがある。振り返ってみると、巨匠といわれる方から新進気鋭のカメラマンまで、本当にジャンルを越えて数多くの写真家の方にお会いしたなぁ…しみじみと。せっかくこれだけ多くの方の体験談、アドバイスを伺ったので、一冊の本にして出版する方向でただいま検討中です。読者の方の中には、この4年半の間に実際にプロのカメラマンになった人もいるのでしょう。インタビューをした写真家の皆さんもそうだったように、コツコツと、また何気なくやっていることの結果というのが、そのまま今の自分に表れているのだと思います。これからの5年、10年、20年…もそうやって、目には見えない速度で少しずついい方向に変化していけたらと思います。いろんな意味で……☆最後になりますが、長い間ご愛読下さった皆様、本当にどうもありがとうございました。(Hanaoka Mariko)

〜お知らせ〜
みなさま、長い間、弊誌のインタビューコーナーをご購読いただき本当にありがとうございました。今週でこのコーナーは最後になりますが、メールマガジンは不定期で配信させていただきますので、引き続きご購読いただけますとうれしいです。インタビューコーナーの書籍化が決まりましたら、その際はこちらのメールマガジンでお知らせさせていただきますね!! ここまで続けてこれたのは読者の皆さまのおかげです。編集部一同、深く深く感謝申し上げます。 
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