Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2008.10.20
vol. 124
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
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みなさんにとってはどんな秋ですか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週も、報道写真家・宮嶋茂樹さんインタビュー(4回目)です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
カメラをかついだ渡り鳥。報道写真家・宮嶋茂樹インタビュー vol.4
芸能、スポーツ、事件、事故…、ジャンルを問わず、現場第一の写真週刊誌の専属カメラマンとしての経験は、宮嶋さんにとっていい修行になったようです。その後、自分が撮りたい写真を撮るために、フリーカメラマンとして独立した、宮嶋さんはどのように突き進んでいったのでしょう。
■ Profile ■
宮嶋茂樹 (みやじましげき)
1961年兵庫県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真週刊誌『フライデー』専属カメラマンを経てフリーになる。「週刊文春」を中心に報道カメラマンとして活躍。1996年には編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞も受賞。「不肖・宮嶋 戦場でメシ喰う!」(ワールドフォトプレス)「私の異常な愛情―不肖・宮嶋流戦争映画の正しい観方」(光文社)「不肖・宮嶋 誰が為にワシは撮る」(大和書房)、「不肖・宮嶋 イツデモドコデモダレトデモ」(小学館)など著作は40冊以上。
Webサイト
私の異常な愛情
不肖・宮嶋流戦争映画の正しい観方

740円/光文社 知恵の森文庫/2008年6月





















不肖・宮嶋 戦場でメシ喰う!
2‚200円(税込)/ワールドフォトプレス/2008年5月 





















不肖・宮嶋、再び。自衛隊レディース
2‚200円/イカロス出版/2008年1月










不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる! (14歳の世渡り術)
1‚260円(税込)/河出書房新社/2007年8月
























そのほかの宮嶋さんの著作は・・・
こちらまで

どん底生活にチャンス到来!
所属できるエージェンシーさえ失った宮嶋さんは、完全なフリーとしての再出発を余儀なくされた。とはいえ、一人で仕事を貰えるだけの基盤があったわけでもなく、相変わらず撮影経費が収入を上回る日々が続いていた。

「30歳までは3食まともに喰えない日が続きました。それで、妻の財布にまで手を伸ばすようになって…。私たちの上の世代のカメラマンの間では、“ヒモ”は当たり前、女房は旦那を支えるもの…という理不尽な常識が通用する最後の世代だったんですね。私は、そんな先輩たちの話を聞いていたから、収入がなくても妻に対してまったく罪悪感がなかった。でも、そんなこと誰にでも通用するわけはないんですよね。私の場合はすぐに離婚されてしまいました…」

「アルファープレスが解散してからは、すべてを振り出しに戻して、写真の持ち込みなど、一からスタートしました。予算を立てる、企画書を書く、絵コンテを描く、実際に可能な撮影の企画を立てる…そういった、本当に基本的なことをきちんとやるようにしたんです」

そんな宮嶋さんに転機が訪れたのは、1990年ルーマニア内戦のときだった。当時、たまたま別の取材でヨーロッパにいた宮嶋さんは、ルーマニアでの内戦勃発のニュースを聞いて、いち早く現場に駆けつけることができたのだ。

「あの時は、新聞よりも私の写真の方が早かったから、高く売れましたよ。写真誌のグラビアにも取り上げられて、なんとか取材費の元を取れたという感じでした」

報道の世界では、一枚のスクープ写真から以後の仕事が大きく開けていく、ということもあるのだろうか。

「そういうこともありますよ。一枚のスクープ写真のおかげで運が開けたという人は何人もいますから。でも、ただ行って撮れただけではダメですよ。それを公式な場に発表してはじめて、プロのカメラマンと言えるわけですから。たまたまその場に居合わせて撮っただけだったら、観光客と一緒ですよ。それをいかにお金に換えるかがプロとアマチュアの大きな違いです」
ローリスク、ハイリターンの現場が一番
ルーマニアでのスクープ写真以後、自衛隊の同行取材、ルワンダ内戦取材など、宮嶋さんは戦地から戦地を駆けめぐり、次々と写真を発表し続けていく。報道写真を撮ることについて、ルーマニア内戦をきっかけに、宮嶋さんの中で何らかの変化があったのだろうか。

「ん〜、割り切ったんじゃないですかね。多分そうだと思います。真実を伝えるためとか、この悲劇を一人でも多くの人に知ってもらいたいとか…そういう建前を言わなくなりましたね。それ以前は、私も多少は考えていたと思いますよ」

「そのおかげで、世間からは批判されることもありますけどね(笑)。キャパだって、戦争を憎み、愛と平和を求めた…云々と言われていますけど、結局は、危険と隣り合わせの戦場で繰り広げられるドラマとスリルが好きだったんですよね。それを認めるかどうかで、周りの評価が変わってしまう…それだけのことですよ」

「もちろん、この事実を伝えようといった気持ちがないわけではありません。でも私にとってそれは二の次ですね。私は、写真の持つ意味やメッセージといったことについては、見る人の判断にお任せします…という言い方をしているんです」

では、何故そういう現場に足を運ぶのだろうか。

「興味本位でしょうね。見たことがないものを見てみたいという。それに、お金になりますから」

ただの興味ということであれば、既に数々の戦場に足を運んでいる宮嶋さんにとって、人間の死を目の当たりにし、自らの死が身をかすめる…といったことにも慣れてしまっているはず。それでもなお、戦火に行き続けるのは何故なのか。

「興味は尽きないですよ。戦場は、“人の命”という、みなさんが“世界で最も大切だ”と思っているものを相手にするところですから。映画だって戦争もの、刑事ものって本当に多いでしょ。それは興味のネタが尽きないから、みんな見ていて面白いからですよね。だから、私だけじゃなくて、結局はみんな興味があるわけですよ」

では、もしお金にならないと分かっていたら、もう戦場には行かない?

「どうでしょうね…名誉があるんだったら行きたいですね。お金か名誉か、どちらかがあるんだったら」

お金でも名誉でもない、何か別のものに突き動かされることはないと?

「ん〜…でもまあ…好奇心だけでも行くかなぁ…。辛いこともありますけど、やっぱりカメラマン冥利につきますよね。実際、結果的にはいつも行ってよかったなって思って帰ってくるんですよね」

「ただ、私はコンバットフォトグラファー(※戦闘そのものを撮るカメラマン)のように、戦地の第一線で写真を撮ることに命を燃やしているわけではありません。日本国内で、普通の報道写真だって撮る。それに、私はハイリスク、ローリターンのマイナーな戦場へは行きません。どうせだったら、注目されている現場、紛争地帯、例えばイラク戦争、湾岸戦争のような場に行くタイプです」

「一方、コンバットフォトグラファーというのは、リスクだけ高くてお金にならないような場所でも行ってしまう。だからこそ、彼らは高く評価されるんですよね。でも私は違います。ローリスク、ハイリターンが一番です」

「私が嫌いなのは、最前線に行かないことの言い訳をする人たちです。戦渦を避けて、一ヶ月後、一年後になって現地に赴いて、目に涙を浮かべた子供の写真を撮ったりする人。得てして、そういう写真が評価されたりするんですよね。でもやっぱり、一番いいときに、一番すごいところへ行くのが一番偉いんですよ。少なくとも私はそう思うし、それを実践するカメラマンを尊敬します。それを認めずに、自分の気持ちを騙したような写真は撮りたくないですね」
次週(10/27配信号)もどうぞお楽しみに!!

写真
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編 集 後 記
本を読んでいても驚かされる宮嶋さんの行動力と忍耐力は、生まれ持ったものなんだと思います。目標を決めたら何としてでもくらいつく力というのは、ある意味個性のひとつであって、そのことに並みはずれたエネルギーを注げる人というのは、なかなかお目にかかれるものではありません。なんだか羨ましくもあります。(Hanaoka Mariko)
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