Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2008.03.31
vol. 120
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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今年は桜の写真など撮られましたか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。写真家・石川直樹さんのインタビューも最終回です。最後までお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
世界そのものを、日常を、その瞬間を受け止めるように写真を撮り続けたい石川直樹インタビューVOL.5
今週で、石川さんのインタビューも最終回です。石川さんがこれから向かうところは? 石川さんの現在の活動、今後の予定、そしてみなさんへのメッセージまで、たっぷりお聞きいたしました。最後までお見逃しなく!!
■ Profile ■
石川直樹さん(いしかわなおき)
1977年東京生まれ。高校生のときにインドへ一人旅に出かけて以来、極地から都市までさまざまな土地を旅する。2000年には「POLE TO POLE」に参加。9ヶ月かけて北極〜南極間を人力で踏破する。2001年には世界最年少(当時)で、七大陸最高峰登頂を達成する。主な作品集には『THE VOID』(ニーハイメディアジャパン)、『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)、著書には『いま生きているという冒険』(理論社)など多数。2006年には「さがみはら写真新人奨励賞」、「三木淳賞」を受賞。現在は東京芸術大学大学院在学中。多摩美術大学芸術人類学研究所研究員。

Naoki Ishikawa's WEB SITE
POLAR
3‚045円(税込)/リトルモア/2007年11月






















NEW DIMENSION
5‚250円(税込)/赤々舎/2007年10月































いま生きているという冒険
よりみちパン!セ16

1‚470円(税込)/理論社/2006年04月 
























Pole to pole 北極圏を繋ぐ風 
石川直樹写真集

3‚990円(税込)/中央公論新社/2003年10月


アートと人類学の狭間
現在は、東京芸術大学大学院美術研究科に在籍し、「群島」をテーマにしたフィールドワークを続けているという。また、人類学や民族学などの分野を横断して、多摩美術大学芸術人類学研究所研究員としても席をおいている。

芸術というのは、そこに意味があるかどうかは別として、人が何らかの思いや感情、突発的に沸き起こってくる何かを、自分の心の中だけでとどめることなく、何らかの方法で表したもの…だとしたら、それはある意味、人間の営みはあらゆるものが芸術的な要素を含んでいるのかもしれない。

石川さんが学んでいるスターナビゲーション(星の航海術)は、「この海の先に何があるのか?」という人間の素朴な疑問と好奇心から生まれて、星の動きと、受け継がれてきた知識、そして人間の中にある本能的な感覚で海に航路を描いていく。そういう意味では、確かにそれも優れた“芸術”といえるだろう。

「僕は古くから受け継がれている人間の知恵みたいなものに興味があるんです。そうした知恵を暮らしの中で最大限に利用して生きる人たちを僕はすごく尊敬します」

「どんな辺境の山に登っても、その麓には昔から住んでいる人がいたし、河を下っていったって、その途中には小さな集落があって、やっぱり人々の営みがある。辺境といわれている場所に僕が一度や二度足を運んだところで、その場所に根を下ろして住んでいる人たちの伝統や知恵を身につけられるわけがない。でもそこから少しでも何かを学べたらと思うんです」

他の誰でもない一人の自分
これまでに、世界中の大陸を旅してきた石川さんだが、はじめてのインドから戻ってきたときには、何か“違和感”のようなものを感じていたと振り返る。それは、当時の石川さんにとってインドはあまりにも異質で、これまでの自分自身の経験や本の中から得た知識と、実際に体感したインドとの大きなギャップを感じたからなのかもしれない。

「でも、旅を続けていくうちに、インドにいようが東京にいようが、バンコクにいようが…自分自身は何も変わっていないんだということが分かってきたんです。そして、『Pole To Pole』や、その後の長期の旅を経験していくうちに、“旅は非日常だ”という思いが消えていくんですね。どこへ行っても“自分”は変わらないし、ただ日常が続いていくんだなって」

それは石川さんが旅をし続けてきた人だからこそ言える言葉なのだろう。見たこともないもの、行ったこともない場所、自分の中で想像すらしなかったような出来事に出くわしたときに、私たちはやはり“日常にはない何か”を感じる。でも、そういう驚きや発見を繰り返すことによって、きっと、自分の周りで起こる現象や物事にではなく、どこへ旅をしていても、“自分という存在の変わらなさ”に意識が向くようになっていくのだろう。そしてそれは、人が歳を重ねていくことそのものとも共通しているのかもしれない。

海外を旅していく中で、日本人としての自分ということについて考えたことは?

「最初のころは、アイデンティティについて考えたこともあったかもしれません。でも今は、日本人である自分というよりも、“他の誰でもない一人のわたし”という意識の方が強いですね」

「男か女か、どこに住んで、どこの大学に所属して、どんな仕事をしているかなど…日本にいるとどうしてもそういったものが付いてまわる。でも旅先では、そんなものはほとんど関係なくて、誰でもない一人の自分として歩き続けなくてはいけません。そういった意味では、旅に出て異邦人としての自分を理解することは僕にとって大切な経験でした」

旅を通じて、仕事や立場にとらわれない“自分”ということを意識し始めたからこそ、石川さんを語るときに付けられる「冒険家」、「写真家」といった様々な肩書きに違和感を覚えるようになったのではないだろうか?

「そうかもしれません。ですから、僕は、肩書きなんてつけずに、ただ名前で呼んでもらうのが一番しっくりきますね」
自分が反応するままに撮ればいい
旅をしながら写真を撮りたい人へのメッセージを伺った。

「とにかく撮らなければ始まらないわけだから、たくさん撮る。そして、変な自意識を持たずに、自分が反応するままに撮るだけだと思いますよ」

「そして、やっぱり何を撮るかではなくて、何故それを撮るかについて考え続けなくてはいけない。自分に正直に撮らないと意味がないですから。好きでもないものをかっこよく撮ったって、実際は、かっこよくないですよ」

最後に、石川さんが旅に持っていくカメラは?

「通常はマキナ670と、予備のマミヤ7ですかね。ほとんど標準レンズばかりで、たまに広角を使います。僕はまだフィルムカメラが中心です」

「僕が使っているのはレンジファインダーカメラといって、ファインダーの位置とレンズの位置がずれているんです。そのズレに自分が意識していなかったものが写りこむことがあって、それも含めて好きで使ってます」



石川さん、お忙しい中、
貴重なお話、貴重なお時間をいただき、
本当にありがとうございました。

次回は少し先の配信になってしまいますが、
現役バリバリの報道カメラマンの登場です。
どうぞお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【写真展1】
「写真」とは何か。
20世紀の巨匠たち
美を見つめる眼 社会を見るめる眼

■4月3日(木)〜4月21日(月) 会期中無休
■入場時間10:00〜19:30
(20:00閉場、最終日は入場17:30・閉場18:00) 
■一般800円、大高生600円
大丸ミュージアム・東京/大丸東京店10階 JR東京駅八重洲北口

【写真展2】
蜷川実花写真展
蜷川妄想劇場

■4月7日(月)まで 会期中無休
■10:00〜21:00(最終日は18:00終了)
※入場は閉館の30分前まで
■一般500円、学生400円
PARCO FACTORY 渋谷パルコパート1、6F

【写真展3】
松本弥寸嗣写真展
NEUTRAL SCAPES

■4月16日(水)〜4月29日(火)まで 
■10:00〜19:00(最終日は16:00終了)
銀座ニコンサロン
 東京都中央区銀座7-10-1
 STRATA GINZA 1F・ニコンプラザ銀座内

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編集の学校/文章の学校
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編 集 後 記
今日で石川さんのインタビューはおしまいです。いかがでしたか?アイデンティティについては前回の編集後記にも書きましたが、自分が属している国、文化、宗教、機関…といったものは決して切り離すことはできないものだと思います。でも、自分自身を見つめるときも、自分以外の誰かを見つめるときにも、最終的にはやっぱり一人の人間としての“その人”と向き合うことになると思います。その人を見つめれば、その中には自然とその人のバックグラウンドが写しだされているわけですから。付属的な情報は、人を理解することを手伝ってくれる、プラスαの要素ですね。もっともっとたくさんの人と交わりたいです!!(Hanaoka Mariko)
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