Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2008.03.24
vol. 119
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
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もうお花見はされましたか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は写真家・石川直樹さんの4週目です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
世界そのものを、日常を、その瞬間を受け止めるように写真を撮り続けたい石川直樹インタビューVOL.4
旅をすることで、出会ったこと。その中で、撮り続けてきた写真。自分の目指す方向へ進む、その日常こそが、旅という石川さん。旅をして写真展を開催し、写真集を出したりという私たちにとっては憧れの存在でもある石川さんの取材スタイルについてなど、今週もいろいろ興味深いお話をお聞きしました。
■ Profile ■
石川直樹さん(いしかわなおき)
1977年東京生まれ。高校生のときにインドへ一人旅に出かけて以来、極地から都市までさまざまな土地を旅する。2000年には「POLE TO POLE」に参加。9ヶ月かけて北極〜南極間を人力で踏破する。2001年には世界最年少(当時)で、七大陸最高峰登頂を達成する。主な作品集には『THE VOID』(ニーハイメディアジャパン)、『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)、著書には『いま生きているという冒険』(理論社)など多数。2006年には「さがみはら写真新人奨励賞」、「三木淳賞」を受賞。現在は東京芸術大学大学院在学中。多摩美術大学芸術人類学研究所研究員。
POLAR
3‚045円(税込)
リトルモア/2007年11月








NEW DIMENSION
5‚250円(税込)
赤々舎/2007年10月









いま生きているという冒険
よりみちパン!セ16
1‚470円(税込)/理論社/2006年04月 







Pole to pole 北極圏を繋ぐ風 
石川直樹写真集

3‚990円(税込)/中央公論新社/2003年10月


一歩も動かない旅
十代前半というかなり早い時期から、駆け抜けるように様々な場所を訪れてきた石川さんだが、旅を始めたころと今の自分を比べて、変わったものと変わらないものは何なのだろうか。

「基本的には何も変わっていないと思います。ただ、これまでは未知のものを求めてずっと旅をしてきたわけですが、未知の領域というのが地理的なものばかりでなく、実は自分のなかにもたくさんあるんだと気づいたということはあるかもしれません。それも写真のおかげだと思っています。山の頂上に登るだけではなくて、人間の内面に入っていくような旅というのもあって、たとえ一歩も動かずとも精神の旅に出ることも可能なんだって思うようになれたのは変化なのかもしれません」

「僕は今、沖縄の離島のお祭りなどをフィールドワークしているんですが、祭りというのは、いつもの生活の場である村の中にいながらも、そのときだけは祭りを通して非日常の世界へ向かって一歩を踏み出しているような感覚があると思うんです」

「また、小さな島や村でおじいさんやおばあさんから、そこに伝わる神話や伝説といったものを語り継いでもらうとしますよね。子供たちは、そのお話を聞きながら自分の中にある世界観を作っていって、それを時間とともに少しずつ身体化していくわけです。それだけでも、大きな旅をしているといえるでしょう」

10代、20代は、物理的な距離をたぐり寄せるように旅をしてきたわけだが、これからの10年、20年先の展望は?

「今のスタンスは変わらないので、特別に展望といえるほどのことは何もないかもしれません。このまま自分に正直に撮りたいものを撮り、興味のあるものに向かっていくと思います。その中で、目の前の世界を受け止めるようにして、これからもずっと写真を撮り続けていきたいですよね」
表現としての写真ではなく
十代のころからすでに、旅をしては雑誌に写真や文章を載せたり、取材という名目で旅に出たりと、子供のころに漠然と憧れていた“旅をしながら表現する”ことを仕事にしていた石川さん。旅に出る際には、スポンサーをつけていくこともあるのだろうか。

「スポンサーというのはつまり、僕が旅をすることに対して、単に資金を提供してくれるということですよね?でしたら、スポンサーはつけたことがありません。雑誌の取材として旅をして、少しの取材費をもらって、それに対して写真や原稿を掲載してもらうという形は多いですけれど。それはいわゆる“スポンサー”とは違いますよね。現地に着いてしまえば、僕は安宿に泊まって自炊することも多いので、滞在中はお金をたくさん遣うということもないんですよ」

今では、「北極へ行って石川さんが興味あるものを撮ってきて」といった感じの取材依頼が多く、「僕の撮影スタイルや、仕事の仕方を分かった上で依頼してくださることが多いですね」と石川さんは言う。旅をして書くだけではなく、写真家として認められ、仕事を依頼されるにいたるまで、どのような努力をして、どうやって自分の撮影スタイルを見出していったのだろうか。

「僕は、とにかくたくさんの写真家やデザイナーに写真を見てもらいに行きました。有名な写真家だからといって、控えめになってしまってはもったいないですよ。やっぱり、自分が“すごいなあ”と思える人に見てもらって、意見を頂くことに意味があるんですよね」

「さんざんな批評をうけて落ち込んでも立ち直って、どんどん見てもらうのは重要ですよね。そうすることで、だんだんと方向性が見えてくるものです。それをやらないことには何も始まらないような気がします」

感じたままに、自分が反応するままにシャッターを切るという、今の石川さんのスタンスにいたるまでには、どのようなアドバイスがあったのか。

「ん〜、アドバイスというか、写真が表現なのか記録なのか、とかスナップとは何かとか、そういうことをいろいろ考えましたね。そうやって考えていくうちに、人間の美意識なんて限られているわけだから、自分の表現だとか、自分の価値観に基づいて撮ったものだって、世界そのものの力に比べたらまるっきり弱いんじゃないかなどと考えはじめるんですよ」

「何度も言っていますが、ただただ世界そのものと向かい合って、自分がいいと思ったり驚いたり、何かしら反応したものにしたがって撮る。これが一番の基本だと僕は思います」


次週(3/31)は最終回です。最後までお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【写真展1】
十文字美信 写真展
グランドキャニオンと日本的−
『感性のバケモノになりたい』より

■3月27日(木)〜4月2日(水) 
■10:00〜19:00(最終日16:00まで)日・祝休
CANON GALLERY
 東京都中央区銀座3−9−7トレランス銀座ビルディング1F

【写真展2】
写世術/photo projects vol.1 
萱原里砂 Kayahara Risa

■2008年3月31日(月)まで  
■9:00〜20:00
■入場無料 会期中無休
生活工房ギャラリー(3F) 
世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー

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編 集 後 記
桜の花も咲き始め、3月もあと一週間で終わりです。4月というのはお正月に引き続き、何か新しいスタートの月という感じがしますよね。不思議ですね。日本で生まれ育ったことで、桜に春を感じたり、4月に新たな気持ちを抱いたり…こういう体の芯まで染みついている感覚というのは、きっと一生消えることはないのだろうと思います。ここ数年、“あ〜私は日本人なんだな〜”としみじみと感じるようになりました。歳のせい? いや、それだけではないですね。次回の石川さんのインタビューでも、アイデンティティについて少し触れています。それは、旅をされてきたからこその感覚なのかもしれません。お楽しみに☆(Hanaoka Mariko)
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