Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2008.03.04
vol. 116
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
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みなさん、お待たせいたしました!! 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週からは写真家・石川直樹さんの登場です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
世界そのものを、日常を、その瞬間を受け止めるように写真を撮り続けたい・石川直樹インタビューvol.1
今週からは、旅する写真家・石川直樹さんに登場していただきました!! 世界七大陸最高峰登頂を最年少で達成。作品集や著作なども多数出版。また2006年には三木淳賞、さがみはら写真新人奨励賞の同時受賞と活躍中の石川さん。なぜ旅をするようになったのか? 写真を撮るようになったきっかけはなんだったのか? 石川さんにとって写真とはどのような魅力があるのか? 率直にいろいろなお話をお聞きいたしました。今週は学生時代のお話です。
■ Profile ■
石川直樹さん(いしかわなおき)
1977年東京生まれ。高校生のときにインドへ一人旅に出かけて以来、極地から都市までさまざまな土地を旅する。2000年には「POLE TO POLE」に参加。9ヶ月かけて北極〜南極間を人力で踏破する。2001年には世界最年少(当時)で、七大陸最高峰登頂を達成する。主な作品集には『THE VOID』(ニーハイメディアジャパン)、『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)、著書には『いま生きているという冒険』(理論社)など多数。2006年には「さがみはら写真新人奨励賞」、「三木淳賞」を受賞。現在は東京芸術大学大学院在学中。多摩美術大学芸術人類学研究所研究員。
Naoki Ishikawa's WEB SITE
POLAR
3‚045円(税込)/リトルモア/2007年11月
































NEW DIMENSION
5‚250円(税込)/赤々舎/2007年10月































いま生きているという冒険
よりみちパン!セ16
1‚470円(税込)/理論社/2006年04月 
































Pole to pole 北極圏を繋ぐ風 
石川直樹写真集

3‚990円(税込)/中央公論新社/2003年10月


本で読んだ世界への憧れ
1977年東京生まれ。

体育と美術の授業が好きな子供で、勉強はそっちのけ。でも本を読むことが大好きで、世界文学全集や探検・冒険ものなど、子供のころから読書には多くの時間を費やしていたという。

「この世の中には色々な世界があるんだ、という当たり前のことを、ぼくは読書を通して知りました。そうした経験が、書物に描かれているような世界に実際に行ってみたいという強い思いにつながっていったんだと思います」

中学2年生の冬、本で読んだ坂本竜馬ゆかりの地を訪ねて、石川さんは一人で高知県へと旅に出た。中学生の旅行といえば、まだまだ家族旅行というのが一般的な中、何故一人旅だったのか。

「そのときは一人であることにこだわりがあったわけではなくて、単に両親が一緒に行ってくれなかったからですね。僕はとにかく自分の体で体験したい、実際に行ってみたいという強い思いが先にあって、たまたま他に行ってくれる人がいなかったから結果的に一人旅になってしまったという感じです」

「お年玉を崩して、わずかなお金を手に旅に出ました。移動は青春18切符、寝床は寝袋とテント。ホテルに泊まるお金なんてないですから、駅で野宿したりしていました」

高知への一人旅をきっかけに、石川さんはその後も一人でテントと寝袋を持って、国内の旅へよく出かけた。

「寝袋とテントを持って行く一人旅だけではなく、その他にも友達と一緒に釣りに出かけて山でキャンプをすることもありました。僕の山登りの原点は奥多摩の渓流釣りなんです。釣りをしながら川の上流に上がって、そこからなんとなく山に登っていった。それが最初の山登りですね」

このころの釣りを通した自然とのふれあいが、後に石川さんが世界の大きな自然の中へと旅をしていく原点になっていった。
旅をしながら、表現すること
旅の魅力に引き込まれていった石川さんは、おのずと旅行記やノンフィクションを読みあさるようになっていった。それは、旅することへの思いを掻き立てるだけではなく、旅をしながら作品を発表していくというライフスタイルへもつながっていく。

「中学生のころにはもう旅をして写真を撮ったり、文章を書いたりしていきたいと考えていました。当時はコンパクトカメラで写真を撮り、メモ帳に簡単な旅の記録を残す程度でしたけど、意識しながらそうした行為をしていましたね。藤原新也さんなどの文章を読み、写真を見ながら、旅をして作品を世に問うという生き方に憧れていったんです」

中学生のころ、他にも影響を受けた人物は?

「カヌーで旅して文章を書いていた野田知佑さんでしょうか。野田さんは当時、鹿児島に住んでいました。野田さんの影響もあって、僕は中学生のころからカヌーで川下りを始めました。そして中学3年生のときに参加した長良川河口堰の建設に反対するデモで、はじめて野田さんご本人と知り合うことができたんです」

「それから3年後、高校を卒業すると同時に僕は野田さんのもとにカヌーを習いに行きました。習うといっても、技術的なことを教えてくれるような人ではなかったので、一緒にカヌーをしながら野田さんの背中を見ながらいろいろなことを体で覚えていくという感じでしたけどね(笑)」

インド一人旅
1994年夏、石川さんは高校2年生にして一ヶ月のインド一人旅へと飛び立った。国内一人旅から海外へ。しかし何故インドだったのか。

「アメリカやヨーロッパより、何が起こるか想像もつかないアジアに降りたって、地を這うような旅をしたかったんです。でもまあ、お金がなかったから物価の安いアジアしか選択肢がなかったともいえますけど(笑)」

「おもしろい旅行記を読むと必ずインドのくだりがあって、なんとなくインドを意識するようになりました。沢木耕太郎さんの『深夜特急』や、藤原新也さんの『全東洋街道』といった本の影響もあったと思います」

「それに、当時はインドが好きな世界史の先生が高校にいて、授業中にインド旅行の話を聞かせてくれたんです。それで、本の中の世界でしかなかった“インド”という国が一気に身近に感じられたんだと思います。インドへ行けばきっと何か面白いことがあるに違いない、と思いこんでいました」

実際のインドは“驚きの連続”だったという。

「このインド旅行でも、もちろん写真を撮っていました。でも特にテーマを決めたりしていたわけではなく、びっくりしたり、『あ!』と思ったときに撮る、それだけでしたね。そして、そういったスタンスは今でもほとんど変わってないですよ」

「僕にとってインドは2回目の海外で、初の海外一人旅でした。もちろん不安がなかったわけではないけれど、不安よりも好奇心のほうが強くて…行くことに全然迷いはありませんでしたね」

学生による学生のための雑誌
一ヶ月のインド旅行から戻った石川さんは、ひょんなことから、ある旅行冊子にインドへの旅の記録を発表することになった。帰国後に送った旅行会社の旅のアンケートが担当者の目にとまり、写真や文章を掲載してほしいという依頼がきたのだ。石川さんが自分の旅の足跡を発表した始めての経験だった。

「高校生でインドへの一人旅というのが珍しかったようです。そして、ちょうどそのころ、その旅行会社が学生向けの小冊子を創刊する準備をしていて、僕はその創刊から編集としても携わることになりました」

「その冊子の中で、僕は『高校生でも行けるインド』というタイトルで旅行記を書きはじめたんです。実際に旅をしたときのエピソードを時系列にそって書いていったんですが、それが結構面白いということになって、読者の方から本当にたくさんのお手紙をもらったんですね。そうした反響が後押しになり、結局13回の連載になりました。その冊子の中では一番の長期連載になったんですよ」

その小冊子の編集スタッフは全員学生。学生による学生のための旅行雑誌といったコンセプトで作られていた。石川さんを除いて、まわりはみんな旅好きの大学生ばかりが集まっていたという。

「まわりの大学生は旅行が好きな人たちでしたけど、いわゆるバックパッカーというよりは、休みを利用した短い観光旅行が好き、という感じの人が多かったような気がします。でも中にはかなり旅慣れた人もいて、写真を見せてもらったりしながら、世界を歩くノウハウを少しずつ学びました」

「編集部には常に4〜5人のスタッフがいましたが、僕以外のスタッフは入れ替わりが激しかったです。僕は結局、大学受験までの約2年間、編集長としてこの冊子に関わりました」

「自分で取材もさせてもらえて、星野博美さんや蔵前仁一さん、小林紀晴さん、立松和平さんなど、色々な人のところへインタビューに行きました。旅行会社の雑誌なので、やはり旅をしながら表現活動をしている人にスポットをあてた取材がメインだったんです。高校の放課後の時間などを使ってインタビューをして、テープおこしをしながら原稿を書く。それと同時に僕自身もインド旅行の連載を持っていたわけですから、それはそれで結構大変でした。でもこのときの経験が今となっては、とっても役に立っています」

もともと読書好きだったこともあって、文章を書くということに関しても抵抗なく入っていくことができたと石川さんは言う。

「昔から文章は、読むのも書くのも好きでした。忙しかったけど、連載のページを自分でレイアウトして原稿を書くのもおもしろかったし、編集の仕事も楽しかったですね」



次号(3/10配信)もどうぞお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【雷鳥社新刊写真集】
写真短歌部「放課後」

■写真:タクマクニヒロ 短歌:加藤千恵
■1‚575円/雷鳥社
■学生時代の思い出を短歌と写真で綴った写真短歌集。大人気の6刷写真集『ブルー・ノート』のタクマクニヒロの新たな色の世界。楽しい思い出も、つらかった思い出も、すべてを包み込んでくれるような写真が魅力です。
■ご意見、ご感想も募集中!! 詳しくはこちら 

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編 集 後 記
しばらくご無沙汰になってしまいました。申し訳ありません…。2008年がスタートしてもう既に2ヶ月が過ぎてしまいましたね。今年もまた沈丁花の花が咲き始めています。限られた数日の間ですが、また毎日通勤時にこの花の香りを楽しむことができるので嬉しいです。さて、久しぶりのインタビューは、新進気鋭の写真家石川直樹さんです。私も何年か前に石川さんの著書『この地球を受け継ぐ者へ』を読んで、とても興味を持っていた方です。石川さんは、普通の人がなかなかできないような経験の持ち主!インタビューと共に著書を読んでみても面白いと思います。(Hanaoka Mariko)
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