Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2007.12.10
vol. 115
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
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みなさん、お待たせいたしました。写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。若手写真家・うつゆみこさんインタビュー最終回です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
思いつく限り表現し続けて、自分の世界をもっと見てみたい。写真家・うつゆみこインタビューvol.5
『グロイけどかわいい』、そんな写真表現の世界「うつワールド」を創り出し、作品を撮り続けてるうつさんに、今週は、今後の目標や写真家になりたい方へのメッセージを伺いました。最終回もお見逃しなく!!
■ Profile ■
うつゆみこ
1978年東京都荒川区生まれ。早稲田大学第一文学部を中退し、東京写真学園写真の学校卒業後、スタジオ勤務。様々なギャラリーにて作品を発表。2005年には第25回一坪展入賞、2006年には、第26回一坪展グランプリ、第29回写真新世紀でも佳作を受賞する。主な展示会に、GuardianGardenにて「なまなま」の個展を開催。現在も精力的に作品を発表し続ける期待の若手写真家。





人物ポートレート
次に取り組んでみたいものは? との質問に、うつさんは意外にも「人物ポートレート」と答えた。「ポートレート」という言葉の響きは、一見今までの作品のイメージからはかけ離れているように見えるが、彼女の中にある「ポートレート」の概念は、私たちがその言葉からイメージするものとは違い、やはり“うつワールド”だった。

「ポートレートなのかな? ポートレートの定義がいまいちよく分からないんですけど(笑)」

「ずっと、人を撮りたいとは思っていたんです。写真学校に通っていた頃は少し撮っていたんですが…でも全然撮れていないんです」

これまで“モノ”ありきで作品を作り続けてきたからこそ、未開拓の“人物”に目が向くのは、うつさんにとっては自然なことかもしれない。

「昔撮った作品は、例えば、女の子に卵を50個割ってもらって、体にかけ続けたり…。標本の虫を口にくわえてもらったり…頭に拾ってきた死んでいるアゲハ蝶をつけたり…イナゴを食べてもらったり…」

「そのときモデルになってもらった子は、表参道でナンパしました。その子は虫の絵を描いていて、ちょっと自分と同じ匂いを感じたから(笑)。そんな感じで、また人を撮りたいんですよね」

人の場合も、モノと同様で、まず“人”ありきということだろうか。“この人”を撮りたいという被写体がいて、はじめて撮影意欲やアイディアが出てくるのか。

「そうですね。本当に気にいった子じゃないと撮る気にならないですよね。仮に撮らせてくれるという子がいたとしても、自分の気持ちが動かないとね…」

「人物を撮るときも、やはり何か“モノ”とからめて撮りたい。じゃないと、何か物足りないような気がしてしまうんですよ。“普通のポートレート”を見て、いいなぁと思うこともあるんですけど、でも私がそれを撮るのはしっくりこない気がして…」

これまでに普通のポートレートやファッションにトライしたことは?

「ファッションはないですけど、ポートレートは…以前、恋人を撮ったことがあります。でも、普通にポートレートを撮っていると、コミュニケーションがきちんととれないんですよね。相手が恋人であっても…。スタジオマン時代には、同僚を撮影したこともあるんですが…やっぱりあまり良くなかったですね」

「私が人を撮ると、目が虚ろで、ぽけーっとした写真になるんです。言葉は悪いですけど、白痴のような顔が好きなんですよね。そういう雰囲気で撮るので、出来上がりを見ると冷たい感じの写真になってしまう。モノを見るのと同じ目で、人を見ているのかもしれないですね」

「もちろん、モデルの子が持っている雰囲気も撮りたいんですけど…それだけじゃ物足りないというか…その子の中に、私自身がファンタジーを抱いているのかもしれないですね」

となると、実際に人物撮影にとりかかるのは、撮りたいと思える被写体との出会い次第ということになるのか。

「自分の“勇気”と“モチベーション”…ですかね」

勇気?

「対人恐怖症ではないですけど、人を撮るとなると割とプレッシャーを感じてしまうところがあるんです。それに、今撮りたいと思っているのは、人のパーツ、ヌードのパーツといったものなんですよね。だから仲良くならないと、なかなか撮らせてもらえないんじゃないかなぁと思って」

「私はテキパキ撮る方ではなくて、じっくり時間をかけて撮るタイプなんです。ライティングやメイクにも時間がかかるし、撮影が始まっても色々いじりながら撮っていく…だから親しくなってからじゃないとね」

「いいモデルに出会えるといいんですけど…」
自分の作品をもっと見てみたい
写真でお金を稼いでいない限り、まだ写真家になったとはいえないという。うつさんの今後の目標は?

「まずは、写真で食べていけるようになりたいですね。時々作品を買ってもらえることはありますけど、まだまだですから」

「それから、海外にも行きたいですね。ベルギーのアントワープで展示をしてみたい」

以前、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、チェコ、ポーランドとヨーロッパを回った際に、ベルギーが一番“しっくりきた”という。

「そのときは、写真ではなくて、どちらかというとやはり現代アートを見てきたんです。ベルギーは、こじんまりとした感じがいいんですよ」

「例えばドイツなんかだと、空間の捉え方が、自分とは違うなっていうのが明らかに分かったんです。空間の捉え方がすごく広いんですね。自分には、空間を活かすという、空間の美しさを表現できないなと。そういった感覚って、アートだけではなくて、写真や建築物、全部に通じるものがあると思うんです。それに、私はごちゃごちゃした下町育ちなので、空間があると落ち着かず、埋めずにはいられないんです」

「ベルギーは、作品がこじんまりとしているというか…ささいなことだったり、繊細だったり、ドーンとしていないというか。たまたま私が行ったアートフェアがそうだったのかもしれないですけど。とにかくそういう印象を受けました。小さい国らしい感じがして、それが面白かったんですよね。是非また行きたい国です」

今はとにかく、思いつく限り色んなことをやってみたいといううつさんは、新しいアイディアが降りてくるのを待ちながら、いつもで、ネタ帳を持ち歩いている。

「アイディアなんて、そんなにしょっちゅうは降りてこないですけどね(笑)。思いついたネタを、書くだけ書いて、面倒くさくなって、そのまま実行に移さないものもたくさんあるんですよ」

「ここ最近は忙しくて、あまり書いていないですね(笑)」と言いながら開いたネタ帳は、思いついたネタのキーワードが丁寧に書かれていて、真面目で几帳面だといううつさんの性格がよく表れていた。

「今は、もっともっと自分の作品を見てみたいという思いもあるんです。アイディアはあっても作れていないものがたくさんあるし。今回のように、写真展に向けて2ヶ月くらい集中して作ったのは初めてだったと思います。それ以前は、そんなに集中して撮っていなかった。正味10日くらいだったんですが、そのときは次から次に撮ることができて、すごく気持ちよかったですね。撮れば撮るほど、だんだん緻密にできるようになるんです」

「ピアノのレッスンなんかもそうだと思うんですが、集中してやっているときって、やればやるほど上手くなるんですよね。でも、やらなくなるとすぐに下手になってしまう。それは、作品作りも同じで、本当に一進一退なんですよ。もっと作れるようになったら色んなものができるんだろうなって、そういう自分が見てみたいんです」
やりたいことをやってみる!
最後に、これから写真家やカメラマンになりたい人へのメッセージを伺った。

「私もまだ写真家になっていないんですけど…(笑)」

「自分のどこが秀でているかを、早い段階に見つけられると、そこを伸ばしていけると思います。例えば、速く撮ることができる人は、スピードが求められる撮影に向いていると思うし、じっくり撮る人はブツ撮りに向いているかもしれないし…それぞれ、自分の長所を見つけて伸ばせたらいいと思います」

「カメラマンとして食べていきたいということであれば、技術を磨けばやっていけると思うんです。それは個性的ではないかもしれないけど、カメラマンにはなれるわけですよね。でも、写真家になりたい人は、とにかくテーマを見つけてたくさん撮ることが大事だと思います。私もまだまだできていないんですけど(笑)」

現在、少しずつ作品の販売を始めているといううつさんだが、自分の写真を“売る”ということを意識し始めたのは、実はつい最近のことだったようだ。

「クリエイティブディレクターで編集者の後藤繁雄さんが共同経営している『Magical』という六本木のギャラリーがあるんです。コマーシャルギャラリーといって、販売することを目的としたギャラリーなんですね。以前、そこに写真を置かせてもらったときに、はじめて私の作品が売れた。それから作品を売るということを意識し始めたんです」

「作品のサイズは色々ありましたよ。一番小さいもので3千円くらい。韓国人やオーストラリア人など、海外からのお客さんも買ってくれて、嬉しかったですね。大きいサイズ(半切)のものでは4万円だったかな。六つ切は2万円。それ以前は、作品を売るなんて考えていなかったし、そもそも売れるとも思っていなかったですから」

“売る”ということを意識し始めた今、売れる作品、つまり売るための作品と、自分が本当に撮りたい作品、というような意識もあるのだろうか。

「そういう風には意識できないですね。ただ、売れそうなものの傾向は、なんとなく分かった気はします。あまり少女性が強いものよりも、割とすっきりした大人っぽいもの、シンプルな方が売れるみたいですね」

「選んでいくものは本当に人それぞれで、“これって売れるんだ!?”って自分でもビックリするものもあって、新鮮で面白かったです」

「どれが評価されるのか、どの作品が売れるのかなんて、自分でも分からないところがあるわけですから、とりあえず色々やってみるといいと思います。自分のやりたいことをやったほうがいいですよ」


うつさん、貴重なお話、ありがとうございました。
うつさんは、これから、ますます活躍されていく
期待のアーティストです。
みなさん、忘れずにしっかりチェックしておいてくださいね!!


写真


今週のPICK UP


【写真展】
「Making‚ Marking‚ Mapping -次世代へのアプローチ-」
■2008年2月9日(土)
 (12月23日(日)〜1月6日(日)年末年始休業)
■月〜金11:00〜19:00(土・日・祝日 休館)
フォト・ギャラリー・インターナショナル 
 東京都港区芝浦4-12-32

【写真展】
SPACE FOR YOUR FUTURE
アートとデザインの遺伝子を組み替える

■2008年1月20日(日)まで 
■月曜休館 (12/24、1/14は開館、12/25、1/15は休館、年末年始12/28〜1/4)
■一般 1‚300円 学生 1‚100円
東京都現代美術館
 江東区三好4-1-1

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編 集 後 記
あくまでもアーティストとして、作家としての活動に徹している…宇津さん自身はそんな意識はないのかもしれませんが、私はそんな風に感じました。宇津さんのポートレートがどんなものになるのか、私も是非見てみたいなぁと思います。さて、2007年も残すところあと3週間ですね。これから年末にかけて、仕事の締めやら忘年会やら、ダッシュで駆け抜けていく感じです。仕事納めとともに急ブレーキをかけて、落ち着いた気持ちで2008年を迎えたいと思います。まだ少し早いですが…今年も一年間ありがとうございました。皆さんよい新年をお迎え下さい。(Hanaoka Mariko)
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