Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2007.11.06
vol. 112
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
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みなさん、秋を満喫していますか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は若手写真家・うつゆみこさん2週目です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
思いつく限り表現し続けて、自分の世界をもっと見てみたい。写真家・うつゆみこインタビューvol.2
性格は控えめ、部活では部長も務めるなど真面目な学生時代を過ごしたという、うつさん。しかし、高校生に、転機を迎える。異性への恋や、アートへの興味、写真を撮り始めたことなどがきっかけだった。今週は、大学へ進学した頃のお話です。
■ Profile ■
うつゆみこ
1978年東京都荒川区生まれ。早稲田大学第一文学部を中退し、東京写真学園写真の学校卒業後、スタジオ勤務。そんな中、様々なギャラリーにて作品を発表。2005年には第25回一坪展入賞、2006年には、第26回一坪展グランプリ、第29回写真新世紀でも佳作を受賞する。主な展示会に、GuardianGardenにて「なまなま」の個展を開催。現在も精力的に作品を発表し続ける期待の若手写真家。





記念受験から開けたアートへの道
高校2年生で大学進学を意識し始めたときから、美術系に進みたいと考えていたといううつさんだったが、結果的には早稲田大学第一文学部に進学することになった。

「漠然と美術系には進みたいと思ったんですが、私は絵がかけないから…消去法の結果、写真が残ったんです(笑)。絵は、下手ではないですけど、上手にかけないというコンプレックスがあって。もしも絵が上手だったら、初めから美大を受験していたと思います。だから、美術史や芸術論のような、勉強するほうの美術系に進むか、もしくは写真か…と、その2つの路線で考えていました」

「でも、記念受験のつもりだった早稲田大学の第一文学部に、思いもよらず合格してしまって、結局進学を決めたんです。本当は日芸の写真学科が第一志望で、そこも受かっていたんですよ。でも、早稲田に受かったということで、私も両親も舞い上がっていて、それで早稲田を選んでしまったんです(笑)」

「第一文学部には美術史学専修があったので、私はそこに入ろうと思っていたんです。でも、美術史学専修は人気があって、成績上位の人しか入れなかったんですよ。当然私は成績で落とされて、結局中国文学専修という、あまり人気のないところに行きました(笑)」

大学では、『やんぐい〜ぜる』という総合芸術サークルに入部。

「元々は、油絵専門のサークルだったらしいんですが、私が入学する数年前からは、サークルの傾向が大幅に変わっていたんです。クラブイベントをやったり、ファッションショーや音楽ライブをやったりと、本当にアート、表現に関するものは何でも有りのサークルでした」

「受験前は、写真をやろうと思っていましたが、ただ漠然と好きだったんだと思います。特に写真で食べていくという将来の展望もなかったですし…。だから、芸術サークルに入ってからは、色々な人が様々な表現をするのを見るようになって、私も写真にこだわらずに色んな作品を作っていましたね」

「最初は、針金で鞄を作ったり、椅子にひたすら縄を巻いた作品を作ったりしていました。イベントや、年に2、3回開催する展示会に出したり…。確か、写真も出していたと思います…」

第26回「ひとつぼ展」グランプリ受賞作品の中にも、こけしに縄のようなものをグルグル巻いたものがあったが…。

「あれは、縄ではなくて、アカムシといって、亀やイグアナの餌なんかに使われる虫なんです。そのアカムシをテグスに通して、縄みたいにしたんです」

「やはり細かい作業が好きですね。髪の毛を一本一本植えたり、キャットフードを一つひとつ並べてキャットフード曼荼羅を作ったり…。だから、今すごく欲しいものは細かい作業に必要なルーペですね!」

「サークルには個性的な人がたくさんいて、強く影響を受けた人も何人かいます。例えば、学生の頃から映画監督をやっていて、PARCOの『アーバナート展』で受賞して賞金をもらった人がいたり…。自分の作品で賞金をもらうということが、すごく羨ましいなぁと思いました」

「また当時、サークルの同級生の友人に椎名林檎さんがいたので、サークルに何度か遊びに来ていたこともありましたよ。知り合いになったので、彼女の家に行って、写真を撮ったりしたこともあって、彼女の顔に包帯を巻いて撮ったり…逆に私の写真を撮ってくれたり…。今はもう連絡は取れませんが」

「他にも、おもしろい絵を描く建築学科の子がいたり…今NHKの番組『プロフェッショナル』のディレクターをやっている人も、同じサークルにいました。とにかく色んな人がいたので、そんな中で私は“自由でいいんだ”ということを無意識のうちに感じていたんだと思います。展示ひとつとっても色んな方法があって面白かったし…。もし写真専攻の大学に進んでいたら、こういう自由な発想にはならなかったかもしれないですよね」

「それと、恋人の存在も大きかったかな。新しく作品作る度に、彼からもらう感想が栄養になっていましたね」

サークルに入りたての大学1年から2年生までは、立体を作ることが多かったが、その後、別の写真サークルにも出入りするようになったうつさんは、徐々に写真での作品制作に移行していった。

「同じサークルの男友達の一人が、『エンターテイナーっていいよね』って言っていたんです。体一つで色んな表現ができてすごいよねっていう話をしていて、彼は自分もエンターテイナーになりたいって言っていた。当時の私は、写真でもそういうことができるんじゃないかって思ったのを覚えています。最近になってそのことをすごく思い出すんですよね」

“作る”だけから“見せる”に
4年間のサークル活動を通し、写真を撮り続けていく中で、うつさんは少しずつ自分の作品を“見せる”ということを意識するようになっていったという。

作風や被写体、テーマといった、表現上の変化はあったのだろうか。

「写真を撮り始めた頃は、マクロレンズを買ったのが嬉しくて、花のアップなんかを作品として出していたんです。花のシンメトリーがきれいに出るように、ディテールには気を使って撮っていました。でも、だんだんそのクローズアップだけを撮っていても面白くないなと思うようになって、手を加えるようになった」

「今振り返ってみると、当時はまだまだ単純な発想でしたよね。ライトボックスの上にビーズのネックレスを置いて、そのクローズアップ写真を撮ったり…。今の作品作りと比べてみると、作業工程がひとつ少ないという感じです」

「最近の連続作品とは違いますが、学生の頃旅行に行った中国で、喧嘩をしている姉妹を見かけたんです。それで彼らの喧嘩の様子をずっと撮って、連続して並べて展示したこともあります。あとは、上野公園にいる無数の鳩をたくさん撮って並べたり…。“並べる”という展示の仕方もそのころからやっていたんですよね」

「自分の作品を“見せる”“見てもらう”ということも、その頃から意識するようになったんだと思います。たくさん飾って、一面に広げて展示する快感というのも、その時からのものです(笑)」
短期集中だったらがんばれる
サークルを中心としたアート活動は、順調に表現の幅を広げ、独自の世界を築き上げてきたのだが、その一方で、大学卒業に必要な授業の単位は、大学4年生になっても足踏みを続けていた。

「4年間大学に通った時点で、“こりゃ、卒業できそうにないな”と思って、中退してしまいました。単位がかなり不足していて、必要単位の半分強くらいしか取っていなかったんじゃないかな」

「中退した後は、せっかく中国語を勉強したからと思って、北京へ短期の語学留学をしました。結局、片言しか話せなかったけど…(笑)。両親には本当に申し訳ないですね」

北京での授業は、朝から始まって正午には終わってしまうため、語学留学とはいえ、実質、半日以上が自由時間。うつさんは、一時間かけて街まで出かけていって、空いた時間のほとんどを写真撮影に充てていたようだ。

「宿題はたんまり出るんですけどね。でも、毎日毎日本当に色んなところに足を運びました」

大学を中退したとはいえ、元来真面目な性格のうつさんは、課題として出された作文の面白さを評価されるなど、目の前にあることにはまっすぐに取り組んでいたようだ。

「クラスで一番面白い作文が選ばれて文集に載るのですが…。インフルエンザにかかったときのエピソードを面白おかしく書いた私の作文が選ばれたんです。今でもインターネットで検索すると、その学校の文集に私の名前が出ていますよ。私は、いつも変なところで真面目なんですよね。基本的には、短期集中だったら頑張ることができるんだと思います(笑)」



次回(11/19配信予定)もどうぞお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【写真展】
東松照明「Tokyo曼陀羅」
■12月16日(日)まで 
■月休(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
■10:00〜18:00 (木・金20:00まで)
■一般800円 学生700円
東京都写真美術展2階展示室
 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内


【写真展】
ホンマタカシ『Architectural Landscapes』
Todd Eberle 『Hi-Fi + wired』

■ホンマタカシ 2007年12月16日(日)まで
Todd Eberle 2008年1月6日(日)まで
■11:00〜20:00
Gallery White Room Tokyo
渋谷区神宮前5-10-1-3F



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編 集 後 記
宇津さんは短期集中型とのことでしたが、私も実は短期集中型。というより継続力がないのかな…。それにしても今日はちょっと寒いですね。もう11月に入ってしまいました。もう少ししたら、街中いたるところでクリスマスソングが流れ出すんですねぇ。本当に月日が流れるのは早いです。歳をとるとともに、益々その速度が増しているような…。一日一日を大切にするように、まわりにいる一人ひとりとの時間も大事にしないと、と思うこのごろです。私もだてに歳とってないかも!(Hanaoka Mariko)
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