Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2007.06.11
vol. 106
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん、元気にお過ごしですか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は写真家・内藤忠行さんの3週目です。どうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
ジャズを愛し、ジャズ・スピリットを写真で表現し続ける写真家・内藤忠行インタビューvol.3
■ Profile ■
内藤忠行(ないとうただゆき)
1941年、東京浅草生まれ。1958年マイルス・デイビスの音、表現に憧れ、ジャズに傾倒。写真による映像化を目指し、ジャズと写真の本質と精神を学びはじめる。その後、ジャズライブのステージ写真などを撮り続け、数々の作品を発表。独自のジャズと写真世界を作り上げる。また、人間や動物、自然をモチーフにした作品でもその斬新かつ独創的な世界感を展開。海外でも高く評価され、熱烈なコレクターを持つ。「NABESAN」、「アフリカの旅」「アフリカの歌」「宇宙のかたち―日本の庭」「ZEBRA」「SAKURA」「ブルー・ロータス」などの写真集はじめ、写真展、映像作品なども多数。多彩な才能を発揮し続ける。
Tadayuki Naitoh Official Website
『日本の庭』
世界文化社 /2007年
1‚800円






























『ブルー・ロータス』
評言社/2005年
3‚045円




アフリカの中の音楽的な世界
1970年のニューヨークに引き続き、翌年、翌々年と、内藤さんはジャズのルーツともいえるニューオリンズを訪れている。そして2回の訪問を経て「次はアフリカだ」と直感したと言う。

「ジャズについて勉強していけば、当然黒人の奴隷問題についても考えないではいられなくなる。ジャズに限らず、R&Bもレゲエも、ルーツは黒人の文化や歴史的背景にあるんだよね。ジャズというのは、アフリカ系アメリカ人が作った、アメリカのオリジナル文化なんです。“奴隷”という過酷な状況の中で、現地の文化や音楽との融合によって生まれた、創造的な音楽ともいえる」

「ただ僕がアフリカに惹かれたのはジャズのルーツとしてではなく、象やキリン、ライオンそしてゼブラがいるサバンナに憧れていたからです。アフリカそのものの自然とアフリカを原点として発展していった音楽、そこから学んだ体験が僕の原点なんですよね」
アフリカに原点を持ち、アメリカで生まれたジャズの要素を、実際にはどんなところに感じたのだろうか?

「1974年に初めて、タンザニアやケニヤ、ザンビアを旅したのですが、ジャズには出会うことはありませんでした。そこにはジャズミュージシャンがいないからです。しかし何度か旅をしているうちに、漁村でのかけ声やスワシリ族の民謡、マサイ族の歌の中にブルースやジャズ、そしてラップをも感じる出会いがありました」
ある意味では、アメリカで洗練されたジャズの持つメロディーや音色の要素がアフリカにあるというよりも、ジャズという音楽を創造していった黒人たちのスピリットの中にこそ“アフリカ”があるといえるかもしれない。

「黒人の持つ独特のグルーブ感や、リズム感というのは、アメリカで生まれ育った、アフリカ系アメリカ人にもDNAとして組み込まれているんじゃないかな。マイルスは、ドラムの音を聴いただけで、それが白人か黒人か分かるって言っていましたよ。リズムやフィーリングでね。それはもう天性のものですよね」
「ただし、ずば抜けた感覚やセンスを持ったすばらしいミュージシャンというのは、本当にごくわずかです。また、当然ですが、白人にだって才能のある人はたくさんいますし、日本人にもいますよ」

最初のアフリカ訪問の後、内藤さんは数年に渡って何度もアフリカを訪れている。1983年に出版した『アフリカの歌』では、アフリカの自然と野生動物たち、そしてそこに住む人々の生活、そこに流れる共通した空気感をまとめたものとなった。それから5年後の1988年、写真集『ZEBRA』を出版。この1冊の中では、ZEBRA(シマウマ)の体を覆う白と黒の縞が、まさに音楽のように様々に形を変えて表現されているのだ。「不連続に連続している、プリミティブでモダンな縞模様にリズムを感じたのだ」と内藤さんはいう。
「僕は動物写真家という枠でアフリカを撮っているのではないんです。風景や動植物そして人々を、ジャズミュージシャンを撮ってきた感覚と同じまなざしでシャッターを切ってきました。それは、僕の中に、自分の琴線に触れたサウンドを映像化したくなる習性があるからなんですよね。『ZEBRA』はジャズ的に展開して、写真的な冒険を試みましたし、『Blue Lotus』は『Blue in green』と言う曲からインスパイヤーされました。逆に、新たな映像の創造から音楽を捜し求める時もありますよ」
「僕が撮る作品は、全部音楽とコラボレートできるようになっているんです。音が入ってくるスペースをイメージして撮影しているんですよ。映像と音楽が1:1だとして、それらを足したら2ではなく、3にも4にもなるように。相乗効果で、どんどん膨らんでいくように、と考えています」

四次元の写真
ジャズの撮影からアフリカへフィールドを移していった内藤さんが、次に向かった先は、意外にも日本だった。日本庭園、桜、蓮の花…と日本の中でも、とりわけ日本的といわれるもの、それらを一つひとつ追うように、内藤さんは日本各地を歩いて回った。
「写真集『ZEBRA』を出版して、次に桜を発表したときにはみんなビックリしていましたよ(笑)」

「桜って、本当に多くの人が撮っているんだよね。遠くから、その場の雰囲気や空気感と一緒に、桜という木の性格を表現しているものもある。一方で、桜にぐっと寄って撮ったものもある。桜をテーマにしたほとんどの写真集が、この“引き”と“寄り”の2つの要素で成り立っている。でも日本画というのは、この2つをひとつの画面で表現しているんですよね。思いっきり引きのアングルの中に、花びらがデフォルメして描かれていたりしてね」

「僕は、その日本画的な表現を、どうやったら一枚の写真の中で表すことができるのか考えた。そしてその答えが、写真集『SAKURA-COSM』なんです」

1990年、写真集『SAKURA-COSM』を出版。江戸時代の美術家である俵屋宗達、尾形光琳ら琳派の用いた表現手法を学び、試行錯誤の末にたどり着いた「T字型十二面シンメトリー」が、内藤さんがたどり着いた“桜”の形だった。
「写真は具象、抽象を同時に表現できるメディアだと思うんです。三次元のものを二次元の形に置きかえたものなんだけど…どうやったらそこから四次元にまで広げられるか。僕は写真をはじめてからずっとその可能性を、無意識のうちに追求してきたことに気づいた。なぜなら僕の写真は視覚的なものではなく聴覚的なものからきているからなんです」

次号(6/25配信)もどうぞお楽しみに!!


【内藤忠行写真展&講演会】

内藤忠行 写真展
アフリカン・バイブレーション
■7月2日(月)まで
■10:00〜17:30 入場無料
■日曜・祝日休館 
キヤノンギャラリーS
 東京都港区港南2-16-6 CANON S TOWER
■問 03-6719-9021

講演会
■6月16日(土)13:30〜15:30
■キヤノン S タワー 3階 キヤノンホール S
■1964年から撮りだした最初のテーマ「ジャズ」から現在に至る写真表現の可能性とその思いを語る。
 語り合う人 高橋周平(多摩美術大学助教授)
■定員300名
申し込みはこちらから

写真


今週のPICK UP


【写真展1】
松蔭浩之 × 津村耕佑
「妄想オーダーモード」


■7月 7日 (土)まで 入場無料 日・月・祝日休廊
■11:00〜19:00 
MIZUMA ART GALLERY
東京都目黒区上目黒1−3−9藤屋ビル2F 

【写真展2】
ヤン・アルテュス=ベルトラン写真展 −空から見た地球−

■6月27日(水)まで 入場無料 無休 
■11:00〜20:00まで
FUJIFILM SQUARE 1F ギャラリー 「PHOTO IS」 
東京都港区赤坂9-7-3(東京ミッドタウン内)
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編集の学校/文章の学校
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編 集 後 記
先日、内藤さんの写真展の記念パーティーに行ってきました。写真展、とてもよかったですよ☆。内藤さんは、デジタル処理の有無にはこだわらず、イメージしたもの、作りたいイメージをいかに形にできるかにこだわりを持っていて、この写真展を見ればそれがよく分かると思います。本当にオススメの写真展なので、皆さんも是非足を運んでみて下さい!!(Hanaoka Mariko)
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