マイルス・デイビスの『枯葉』
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| 内藤さんの写真人生を語る上では欠かすことのできない、ジャズトランペット奏者マイルス・デイビス。内藤さんがはじめてマイルスを撮ったのは、1971年のニューヨーク滞在時のことだった。
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「もう、本当にドキドキしたよ(笑)」
「マイルスはね、一瞬少年のような顔になったかと思うと、次の瞬間老人のような顔つきになるんですよ。本当に信じられないくらい変わるの」
そういって数枚のマイルスの写真を並べてくれたが、なるほど確かに、それらが同じ時に撮られた写真とは思えない。少年から青年、そして老人と、たくさんの顔を併せ持っているというのは、とても的を得た表現だ。 |
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内藤さんは、17歳のときに聴いて衝撃を受けた、マイルスの『枯葉』をオーディオにセットして流してくれた(マイルス・デイビスの「枯葉」のCDを聴きながら…)。
「なぜ、この曲が僕の原点といえるかというと、『ZEBRA』とか『SAKURA-COSM』も、基本的にはこのスタイルと同じなんだよね。最初はできる限りストレートにきちんと撮る。それは被写体の内面に迫ることですよ。そこからいかにオリジナルなスタイルで展開していくか、『ZEBRA』は世界で誰もやらなかった冒険をしてしまった訳です、まだ続いていますけどね」 |
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| 「僕の中では、表現の方法は何でもありだと思っているんです。表現の可能性はあらゆるところに秘められている。デジタル合成も僕は否定していないですよ。僕の場合は、アナログを徹底的に追求していった結果、アナログ表現の限界までいってしまったんです。考えうるあらゆるテクニックを使って、自分のイメージを形にしようと試みて、やり尽くしてしまった。だから僕は、10数年前からデジタル技術を使った合成も取り入れているんです」 |
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「音楽も、写真も、時代とともに常に変化しているでしょ。それはテクノロジーの変化によるものもある。電気楽器が出てきたときに、ロックミュージシャンたちはそれをいち早く取り入れたけど、ジャズ界ではほとんど誰も興味をしめそうとしなかった。そんな中で、マイルスは、「ワウワウ」というイコライザーを使って演奏を始め、ハービー・ハンコックやチック・コリアに電気ピアノを弾かせたのですよ。彼は常に新しい音楽を作ろうとしていたからです」
現在の写真表現のデジタル化の中で、デジタル画像のクオリティーやプリンター出力について、未だに肯定できない人も多数いるのが事実だ。
しかし、内藤さんは違った。“写真とは”云々ではなく、“いい写真とは何か、自分のイメージの先にあるものをいかに表現できるか”を追求してきた。それが、マイルスの『枯葉』を聴いたときの衝撃と、進化と発展を今でも“原点”とする所以なのだろう。 |