Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2006.08.07
vol. 86
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん、元気にお過ごしですか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は小山さんのインタビュー5回目です。“繋がる”がキーワード。写真と、相手と、そして自分の心と、繋がっていますか? 今週もどうぞお楽しみに。
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私が写真を撮るワケ
伝える手を持つクリエイティブフォトプロデューサー・小山一成 インタビューvol.5
カメラマンとして広告業界で走り続けて20数年。今では株式会社アウラの社長でもある小山さん。数々の若いカメラマン、アシスタントたちと触れ合い、指導されてこられた立場から若いカメラマンに求められるものをお聞きしました。
■ Profile ■
小山一成(こやまかずなり)
1959年静岡生まれ。1980年東京工芸大学短期大学部卒業後、株式会社アーバンパブリシティー(現 株式会社アマナ) に入社。1990年にはUrbane U.S.A(N.Y)にて活躍し、帰国後、2000年株式会社アウラ設立と同時に代表取締役に就任。ニューヨークADCインターナショナルアワード、ニューヨークフェスティバル(銅賞)、FCC広告賞(グランプリ)、全国カタログポスター展(日本貿易振興会理事長賞)、朝日広告賞('99準朝日広告賞)など受賞も多数。第一線で活躍するコマーシャルフォトグラファー。
株式会社アウラ
株式会社アマナ





手と頭が繋がっていないと
小山さんがカメラマンになって20数年、これまでに見てきたアシスタントは、延べ100人に上る。若い人を指導する立場になった今、若いカメラマンについて思うことは何なのだろう。

「言い方が悪いですけど、100人近くのアシスタントを見てきて、結局モノになった人は、本当にごく一部なんですよ。だから、分かったんです。無理してもダメだって。強制してもダメ。カメラマンに“なる子はなる”んですよね」

「僕らは、彼らができるだけ効率よくできるように、後ろから少し押してあげるくらいで、それ以上余計なことをしちゃダメなんですよね。世間一般的に見て、少し変わっているところがあっても、その子がいいものを持っているのであれば、そこを守ってあげればいい。多少何かが欠落していても、それはそれでいいんじゃないかなって思っています」

アシスタントとして欲しいと思う人とは、どういうタイプなのでしょうか。

「ん〜、頭のいい人。勉強ができるという意味ではなくて、頭の回転が速い人。話ができる人。コミュニケーションがきちんとできる人ですね。そして、手先の器用な人…かな」

「コマーシャルの仕事って、結局は手から入るんですよね。観念じゃない。僕の中では、“手”なんです。そして、手と頭は繋がっていないとダメですね」

「観念だけではダメなわけですよ。彫刻だって、絵だって、手と頭が繋がっていないとできないでしょ。そういう意味では、彫刻も、絵も、音楽も、写真もほとんど同じで、ただ方法論が違うだけなんじゃないかなって思うんです」

「最近の若い子は、モノはたくさん見ていて、いいものにも囲まれて育っているんだけど、コミュニケーション能力が欠落しているところがあるような気がするんです」

「たたかれ慣れていないのかな。たたかれると、すぐにコミュニケーションの道を閉ざしてしまう。思っていることを言葉にできなくて、ずっと黙ってむくれてしまったとしてもいいんですよ。それでも、自分の考えやアイディアを形にして、変わりのものを提示することはできるわけですよね」

「黙ってしまうよりも、怒鳴って、反発してくる方がよっぽどいい。それだって、コミュニケーションのひとつの方法ですからね」

「“こいつできるな”って思う子は、やはり、その辺がしっかりしている。だから、信頼できるんですよ。僕らの仕事って、初めて会った人と5分くらいで打ち合わせして、次の5分で相手を納得させて、仕事を引っ張ってこなければいけないわけです。だから、それができないと、スタートできないんですよね」

「まして、今は、黙って座っていれば電話が鳴るような時代ではないので、仕事を取ってこなければいけない。実績のない若い子となれば、ますますコミュニケーション力が必要ですよね」

(C)小山一成

(C)小山一成
フィルムの偶然性と、デジタルの確実性
現在では、小山さんの仕事は、100%デジタル。写真が特殊なものではなく、機材も進化している今、カメラマンは技術だけあればいいということでは許されなくなってきたと、小山さんは指摘する。

「デジタル化によって、大きく変化したところは、写真の“偶然性”というものが無くなってしまったことですね。デジタルでは、偶然撮れたとか、偶然いい感じ、というものが許されないんですよ。だから、自分で企画しないと、人から“いいね”って言われるものはできない」

「デジタルをやり続けてきて、それまで僕はフィルムやポラロイドの、いわゆる“勘どころ”といったものに頼って、甘えていたんだなって感じるようになりました」

「フィルムの時は、色補正が効かないものにフィルターをかけて無理やり色を出すから、写真のどこかに破綻した箇所が出てくる。その結果、予期しなかった色が出てきたりする。偶然性ですよね。そして、案外それがよかったりしたわけですよ。でも今は、先に全ての完成図ができていないと、モノを作れないんです」

デジタルは便利で、ある意味、デジタルによって何でもできるようになったと思っている人が多い。しかし小山さんは、それは逆で、本当に突き詰めると、自分の中できちんとした完成図ができていないと、デジタルでは何もできなくなってしまうという。

「昔のように、ポジの上がりを確認する段階で、撮影の現場ではみんなが見えていなかったすばらしいものが出てくるという可能性、偶然性が、デジタルにはほぼないんです」

「つまり以前は、ディレクションしている人にとっても意外性のある写真が出てくることがあり得た。でも、デジタルにはそれがほとんどない。だから、相手の想像力を超える部分というのは、カメラマンが先回りして、それを写真に置き換えていってあげる必要があるんです。言ってみれば、これまでの偶然性を、カメラマンが計画的に作るという感じですね」

「僕の今の仕事のスタイルは、最初の打ち合わせでラフを見て、ある程度の方向性を決める。そうしたら、あとは一人で走っているような状態です」

「お客さんに待っていて頂いて、ある程度の撮影と画像処理をし、仕上がりに近い段階まで写真を作って、その日のうちに見てもらう。だから、自分である程度プロデュースして、絵を作っていかないと、仕事にならないんです。そして、その写真に対して、多少の調整を加えていく」

「僕は、ライティングと、シャッターを切ること、パソコン作業の3つは、同時進行で行います。ライティングだけではできないことを、パソコンを使って補う。でもパソコン上で描いてしまうと、それは絵になってしまうから、足りないものを写真で補う。そして、それらすべてを統合して、最終的にひとつの写真にしていくんです」


次回(8/21配信)もお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【写真展】

中里和人写真展 『R』
写真集「R」出版記念

■8月31日(木)まで
■休館・日・月・祝、8月12日(土)〜16日(水)
■11:00〜19:00(最終日〜14:00)
ギャラリー冬青
 東京都中野区中央5-18-20

【写真展】

「はじめての宇宙の歩き方」
フォルバーグ、NASA、マリン、すばる望遠鏡の写真

■11月26日(日)まで
 火曜休館、7/6〜8/31は無休
■10:00〜18:00(入館は17:30まで)
清里フォトアートミュージアム
 山梨県北杜市高根町清里3545-1222
■一般800円、学生600円、中高生400円




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編 集 後 記
コミュニケーションって、話をすることだけではないんですよね。そんなに口数が多いわけではないけど、何かその人の持つ雰囲気や、言葉の選び方なんかに惹かれるものがあったり…。ただ仕事においては、短時間で自分のこと、又は自分がやっている仕事のことを相手に知ってもらうためには、やはり言葉というものが必要になってくることも多いんです。私は、このメルマガのインタビューの度にその事を痛感します。ただ、自分じゃないものには、どうやっても成れないな〜って。だから、無理やり“しゃべれる自分”になるのではなくて、知識や知恵を身に付けていったり…何か別の形で自分自身の幅を広げていくことが大事なのかなぁ、と思います。(Mariko Hanaoka)

<編集部よりお知らせ>
いつもご愛読いただき、ありがとうございます。来週は1週お盆休みをいただきますので、次回の配信は8月21日(月)です。みなさんも楽しいお盆休みをお過ごしくださいね。(イタガキ)
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