Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2006.05.15
vol. 78
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん、元気にお過ごしですか? 写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。澤田知子さん4週目です。今週もどうぞお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
セルフポートレートは私にとって一番の表現のかたち 写真家・澤田知子インタビューVOL.4
アーティストになろうと決め、美大へ進学した澤田さん。ご自身でどんどんその芽を育てていきます。今週は、いよいよ澤田さんの才能が花開く瞬間のお話です。スランプに陥り、いろんなことに迷い、もがいた先に、待っていたものとは?
■ Profile ■
澤田知子(さわだともこ)
1977年神戸生まれ。成安造形大学写真クラス研究生卒業。現在は同大学の非常勤講師。在学中に2000年キヤノン「写真新世紀」にて特別賞を受賞。自ら変装して作品を撮るという独自の表現方法で新進気鋭の若手アーティストとして注目され、「ID400」、「OMIAI♡」など精力的に作品を発表する。2003年には木村伊兵衛写真賞を受賞。その活動は日本だけにとどまらず、アメリカ、ベルギー、韓国など数多くの展覧会にも出品、国際的にも活躍し続ける。最新作は『Scool Days』(青幻舎)。
公式HP
NEWS LETTER
『School Days』
2006年3月発売
青幻舎
2‚940円



















『OMIAI♡』
青幻舎
2‚940円




















『ID400』
青幻舎
2‚940円



芸術の神様が降りてきたように
表現をする人に限らず、スランプとはどんな人の人生にも起こりえる状況だが、澤田さんはそのスランプをどうやって脱出したのだろうか?

「とにかく頭の中がぐちゃぐちゃでしたからね。どうしていいか分からず、なんだか意味の分からない文章を、ダラダラとたくさん書いていました(笑)。でも、何年か前にその時書いたものを読み返してみたら、内面と外見のことに繋がることだったりして、あれが今に繋がっているんだということが分かりましたよ。結局表現したかったのは、そのことだったんだなぁって。当時はそれをうまく言葉で表現できなかたったんですよね」

「でも、自分がいろんなパターンの服やメイクで変身して、自動写真機で撮影した作品『ID400』は、作品イメージがわいたと同時に言葉として説明がついた感じです。それまで自分が考えてきたことが、言葉になったと同時に作品が出来たんですよね」

「作品のアイデアは、学校帰りの電車かバスの中だったんですが、急に芸術の神様が降りてきたみたいに、『ID400』の映像が目の前に浮かんできたんです。映画を見ているように。『あ〜これだ!』って思いました」

「それまでも、もちろんなんとなく、“私は何を表現したいのかなぁ”ってずっと考えていたんです。ですが、その日に限って特に考えていなかった。でも、急に閃いたんです。家に帰ってすぐに準備をして、2日後には試し撮りをし、その週の日曜日には撮影に行きました」

「自動写真機で撮影して、実際に写真が出てきたときには、『これだっ!』って確信しました」
400人の証明写真
『ID400』は、自動写真機で撮影した、澤田さん自身の証明写真400パターンの集合だ。その400枚の写真に写っている澤田さんは、服装も髪形もメイクも違い、まるで400人の証明写真を集めたようにすら見える。

400枚という数には、何か意味はあったのだろうか。

「本当は1000枚撮るつもりだったんです。でも350枚を超えたときに、これ以上作ってもバリエーションが変わるだけだし、自分の作品としての説得力はもう十分だということが分かったんです。それで、次にきりのいい数400で終わりにしました」

1000の予定から400に減らしたとはいえ、400ものパターンを作っていく中で、毎回違うパターンを考えるのに行き詰ることはなかったのだろうか。

「逆に、同じ顔というのはできないんですよ。どうやっても、微妙に違ってくるんです。例えば、目の化粧が同じだったとしても、アイラインの角度とか、眉毛の位置や形がちょっと変わるだけで、全然雰囲気が変わるんですよ」

この作品は、近所にあるスーパーの立体駐車場の中の証明写真用の自動写真機で撮影されたという。衣装チェンジとメイクは、写真機の斜め前にあるトイレで行うため、一日に何回もトイレと自動写真機を往復しながらの撮影だった。

「口紅や目の周りのシャドウを、実際の口や目よりも2倍近く大きく書いたりして(笑)、メイクもすごく濃いんですよ。それに、上の服は替えますけど、下はジーパンのままだったり、夏にもかかわらず冬物を着ていたりしていたので、周りから見たらすごくおかしい人です(笑)。一緒についてきてもらった友達に、人がいないかどうかチェックしてもらって、小走りで駆け込んでいました(笑)」

「実際に、トイレで化粧をしている時に、小さいお子さんを連れたお母さんが入ってきたんですが、子供に『見たらダメ』って小声で言ってるのが聞こえたこともありましたよ(笑)」

撮影は、1日に多くて20パターン。6時間くらいかけていた。ひとつのスタイルに対しての撮影は1回のみで、撮り直しはしない。撮ったら、仕上がりを見ずにトイレに戻って着替えに取り掛かる。

「撮った写真が出てくるまで、3分も待っていられないですからね(笑)」

話を聞いているだけでも、その勢いが伝わってくる。
シャッターを押すことにはこだわらない
セルフポートレートというと、自分でカメラをセッティングして、セルフタイマーなどでシャッターを切るのが一般的だろう。『ID400』で、自動写真機を撮影手段として選んだのはなぜだったのだろうか。

「セッティングして撮るという手もあったんですが、効率よく撮りたかったんです。毎回セッティングするよりも、ブースで撮った方がそれらしい雰囲気も出るし、1回撮って4枚出てくるというところもよかった。それに、当時は今みたいなデジタルプリントではなく、絹目のプリント。それがよかったんですよね」

「私にとっては、“何で撮るか”ということよりも、“自分の思っているイメージに仕上がる”ということが大事なんです。次の『OMIAI♡』シリーズでも、写真館で撮る方が、よりお見合い写真の雰囲気がでると思ったので、実際に写真館で撮影してもらいました」

「表現として使うツールは写真なんですけど、私にとっては“シャッターを押す”ことそのものにはあまりこだわっていないんです。頭の中でイメージを組み立てて、それを完全に作りこむことの方が重要ですね」

そのまま固まっています
400パターンの証明写真による『ID400』、様々な職種に変装した『Costume』シリーズなど、そこに写っているのは全て澤田さん一人なのに、ひとつとして同じパターンがない。『Costume』については、それぞれの職業になりきるだけではなく、見ると思わず吹き出してしまうような、なんともいえない表情…。このような表情やポーズというのは、どうやって作り出しているのだろうか。何度も何度もポラロイドを撮って、思考錯誤の末に作り出されるのだろうか。

「基本的には表情を決めてから撮影しています。『ID400』の時は、友達に服を借りたんですが、“この服を着る人って、こういう顔でこういう髪型なんだろうなぁ”って、その時の即興で作るんですよ。そして、鏡を見ながら『よし、こういう表情でいこう』って決めて、ブースに入って同じ顔を作る」

「『Costume』の場合は、先に小物類を並べて、フレーミングを確認する。それからその立ち位置に入って、ポラロイドを何枚も撮るんです。ポラを見ながら、表情やポーズ、小物の位置やライティングなどを完璧にして、フィルムを入れる。そして、一度決めたら、同じポーズで何枚か撮ります」

「シャッターだけは、カメラマンの友達や後輩に押してもらっています。カメラマンにしてみれば、自分の作品を作るわけでもなく、シャッターを押すだけなんてつまらないですよね。それでも、有り難いことに、私の作品を理解して協力してくれるんです」


次週(5/22配信)もお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


【写真展1】
ステファニー・フレス写真展
『グラン・シェフの親密な厨房』

■5月28日(日)まで 入場無料  会期中無休
Gallery 21 ギャラリー・ヴァンテアン
ホテルグランパシフィックメリディアン3F
港区台場2-6-1
■10:00〜20:00 (最終日は17:00まで)
■問い合わせ 03-5500-6711

【写真展2】
mone meets(2) 
イイザワコウタロウD-collection

■5月28日(日)まで 無料 月休
百音café‚gallery&bar mone
■百音企画展、飯沢耕太郎氏の個人コレクション作品展 -スワヴォミル・ルミヤック、アンリ・マッケローニ、今道子、村田兼一、森山大道、他-
■東京都杉並区高円寺南3-45-9
■平日16:00〜24:00 週末14:00〜25:00(日〜23:00)
■問い合わせ 03-3317-4645


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編 集 後 記
私も、学生のころはず〜っと、長い文章をダラダラと書いていました。思春期というのは、みんなそんなものなのでしょうか?中学生から始まって就職してしばらくまで、本当にたくさんのノートがたまっています。何度も同じことについて考えたり、悩んだり…でも、それを繰り返しているうちに、いつの間にか自分が答えそのものに近づいていたり、答えが分かったりするんですよね。(Mariko Hanaoka)
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