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SUWA 1‚995円/アクセス・パブリッシング/2005年8月
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Tokyo Generation 1‚890円/河出書房新社/1999年
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写真学生 520円/集英社/2004年
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ASIAN JAPANESE2 1‚427円/情報センター出版局/1996年
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最新刊・エッセイ集 『写真展に、行ってきました』 1‚575円/平凡社/2006年2月1日
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きれいなものをきれいに撮りたい
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小林さんというと、どうしてもアジアという印象が強いが、これまでに旅をした国は数知れない。今まで行った中で一番好きな場所は、タイとニューヨークだという。
「街が好きなんです。僕は人の写真を撮るのが好きなので、ガヤガヤしているところが好きですね」
小林さんにとって、「写真を撮ること」と「文章を書くこと」以外に、旅をすることの意味はあるのだろうか?
「やはり、非日常の中に身を置くということ。逃避ですね」
「あまり東京に長くいると、どこかへ逃げ出したくなりますよ。今もそうです…。今年はどこへも行っていないですからね。次は…やっぱりタイに行きたいです。タイはよく知っているから、安心だし、疲れないんですよ。でも、バンコクへ行っても、あまり何もしないですよ。スターバックスへ行ったり、紀伊国屋で立ち読みしたり、街をブラブラしたり…退屈ですよ(笑)」
旅をして写真を撮ったり、テーマを持って写真を撮ったり。いわゆる写真作家や、ドキュメンタリーカメラマン、アーティストの類にある人にとって、もっとも苦しいのは、テーマがない、撮りたいものが分からない、という状況ではないだろうか。撮りたいものも、書きたいものも、行きたい場所も分からなくて、どうしようもない。そんなことが、これまで小林さんにもあったのだろうか?
「今のところは無いですね。いつも、何かしらテーマはありますね」
今撮りたいと思っているものは?
「今は、優しい感じの写真です」
そう言うと、12月に行われた写真展『いま、ここは、どこでもなく』の作品を見せてくれた。それらは、これまでの作風とはまったく違うものだった。モノクロフィルムから一転してカラーフィルムに。それまでの、全体的に黒く焼き込まれた写真とは対照的な、明るく柔らかい、光を感じる優しい写真だった。
「これまでは、花の写真とか、きれいな写真を撮りたいと思ったことがなかったんです。どちらかというと、アジアの汚い雑踏とか、汗くさいおじさんとか、男っぽいというか力強い写真ばかり撮っていた」
「9.11以降ですね。あのテロが起こった当時、僕はちょうどニューヨークに住んでいたんです。直接悲惨な現場は見ていないけれど、テロからしばらくたっても、デモとか炭疽菌騒ぎとか…とにかく色々なことがあっりました」
「僕は、その次の冬に日本に帰ってきて、春に自分の生まれた場所に久しぶりに帰った。そしたら…色々なものが、すごくきれいに見えたんです。まるで全然違う場所に来たような気持ちでした」
「あのテロがあって、僕はもっと素直に、“きれいなものをきれいに撮りたいなぁ”っていう思いがわいてきたんです。以前は、そういうのって格好悪いなって思っていたんですが、もうそんな風に思わなくていいんだなぁって。まあ、歳をとってきたっていうことなのかもしれないですよね(笑)」
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自分が信じたことをやってみる
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最近では、写真学校からの講義を頼まれることもあるというが、これから出てくるであろう若い人たちの作品を、どのように見ているのだろうか?
「すごく上手いですよね。以前、ガーディアン・ガーデンの『ひとつぼ展』の審査員をやったんですが、みんなすごく小技が利いているというか、上手いなと思いました。ただ、やっぱり身の回りを撮っている人が多いですよね。川内倫子さん風や、佐内正史さん風みたいな感じかな・・・。やはり、模倣して撮っているだけではダメなんじゃないかなぁ、とは思いますね」
「写真を学ぶ学生さんが、“写真を見て下さい”と言って来ることもあるけれど、僕は申し訳ないんですが、見ないです。写真学校から講義を頼まれた時など、そういう場であれば、その講義の後で見せていただくこともありますが…」
「基本的に、いつも先の予定が分からないんです。明日の予定は分かっても、一週間後の予定がどうなるかは分からない。人の作品を見るのって、結構労力を使うでしょ。やはり見るからには真剣に見ないと、中途半端なことは言えないって思っているので、普段はお断りしてるんです」
「写真を見せる方の、見せ方も結構大事だと思いますね。僕の場合は、プリントが汚かったり、いい加減な見せ方をしていたりすると、見る気がしなくなります。ブックがボロボロでもいいんです。ただ、その作品の見せ方に、その人の写真に対する気持ちが出ていると思うんです」
最後に、これからカメラマンを目指す人へのメッセージを伺った。
「まずは、周りに惑わされずに、自分が信じたことをしばらくやってみること」
「ただ、写真というのは、独りよがりではダメだと思うんです。バランスが大事なんですよね。やはり、写真は時代のものだと思うので、他の人の作品も見た方がいいと思います。知らないよりは、知っている方がいい」
「一人の写真家の作品をとことん研究してもいい。写真集を見る時には、なぜこういう並びなのか。どうしてこの写真の後にこの写真がくるのかな、といったことを考えるといいと思いますよ。その先に、自分だったらどうするかを思ってみるのです」
テーマを持つことについては?
「テーマって…自分の中に持っている人と、なかなか持てない人というのが明らかにいて、それはある意味で、努力とは別のところでもあると思うんです。そういったことも含めて、才能というのかもしれませんね…」
「例えば、小説家の中には、その人が生まれた環境など、その人が既に背負っているものによって書かされている人もいると思っているんです。僕の作品でいえば、『SUWA』という写真集は、諏訪で生まれ育った僕が撮ったものであって、東京で生まれ育った人が“田舎を撮る”というのとは違うと思うんです」
同じ時代を生きていても、見ているものはみんな違う。自分の中にテーマを持つということは、自分自身のフィルターを通して見ることであり、それは、それまでの生い立ちも含めて、写真家自身が何を背負っているかということと、そしてそのファインダーを通して表現されるその写真と…、深いところで繋がってくるのかもしれない。
小林さん、貴重なお話、 本当にありがとうございました!!
来週は1週お休みさせていただきますので、 次号は3/13配信になります。どうぞお楽しみに!!
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