Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2006.01.30
vol. 69
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
画像が表示されない場合
みなさん、こんにちは。写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。
写真家・小林紀晴さんの2週目です。今、専門学校、スクールなどで写真を学ぶみなさん。どんな風に写真と向き合っていますか? 今週もお楽しみに!!
::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
写真の学校|東京写真学園
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

Photo365
MAGAZINES

メールアドレスの
登録・解除・変更
バックナンバー

私が写真を撮るワケ
出会いと自分を見つめ、写真表現という旅をする 写真家・小林紀晴インタビューVol.2
写真を撮ることに興味を持ち、いよいよ写真学科に進んだ小林さん。憧れの東京生活、そしてカメラマンへの夢…。果たして、順風満帆に事は進んでいったのでしょうか? 今週は写真学生時代のお話です。
■ Profile ■
小林紀晴(こばやしきせい)
長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真科卒業。新聞社のカメラマンを経て、1991年よりフリーに。アジアを中心に活動。旅先で出会った日本人の若者達の姿を独自の視点で捉えた写真と文章でつづられた『ASIAN JAPANESE』でデビュー。多くの若者に共感を与える。代表作には『東京装置』『ASIA ROAD』など。2001年には 『DAYS ASIA』で日本写真協会新人賞受賞。2000年より約1年間、ニューヨークに在住。その後は、日本に戻り、『9月11日からの僕のこと』『SUWA』などの作品を発表し続ける。著書は写真集と小説を合わせ20冊以上に及ぶ。
SUWA
1‚995円/アクセス・パブリッシング/2005年8月




















life1986-2002
2‚625円/スイッチ・パブリッシング/2002年




















DAYS ASIA
2‚650円/情報センター出版局/1996年




















ASIAN JAPANESE
1‚427円/情報センター出版局/1995年


憧れの東京生活と写真学生
1986年、東京工芸大学短期大学部写真科入学。

「いざ写真学校に入ってみると、当然ですが、そこは写真好きの集まりで、僕は落ちこぼれでした。僕には、そんなに熱い意志のようなものがなかったから、友達が話していること、特に写真の専門用語が全く分からないんです。今思えば、たいした話はしていないんですけどね。当時は本当に分からなくて、“あ〜失敗したな〜”って思っていました」

「学校では課題がたくさん出るんですが、その作品に対して、クラスで投票をするんです。封筒に作品を入れて、それをクラス全員が見る。そして、いいと思った作品に“正の字”で投票していく。当然、票がゼロの人もいるわけで、僕は自分で自分の作品に入れちゃったりするんだけど、開票してみると自分の一票だけしかなかったりして(笑)。なんだかなぁと思っていました」

「開票後、各作品に対して講師からの講評があるんですが、長い時間、講評してもらえるのは、上位の人の作品だけ。選ばれた人が前に出て、時間をかけてコンセプトを話す。それに対して講師が、『こうした方がいいんじゃないか』とか『ここがいい』といったことを話して、時間が過ぎていく」

「僕の作品はというと、講評してもらえるような上位作品になんて入らないから、授業がつまらないわけですよ。目の前で作品のコンセプトを理路整然と話す友達を、“すげぇな〜こいつ”って思いながらいつも見ていました。結構しょげていましたね」

写真学科では、広告写真や写真館のカメラマンなど、5つのジャンルに研究室が分かれていて、小林さんが選んだのは、ドキュメンタリー写真の研究室。今でこそ、広告や雑誌の仕事もこなしている小林さんが、当時はドキュメンタリー以外の写真にはあまり興味がなかったという。
誰にも撮れないものを撮る
学生時代は、報道写真サークルに所属していたものの、1年生の夏休み頃には、ほとんど顔を出さなくなっていた。“オタク”のように写真に詳しい友達の会話についていけない。いくら作品を撮っても評価されない。入学して以来、辞めることばかり考える日々が続いていた。

「1年目の年末が近づいても、作品投票をしても、名前すら呼ばれないという状態が続いていました。正直、もう学校を辞めたいなって思っていたんです。まだ若いし、普通の大学に行ってやり直しても遅くないだろうって。現実的には親が許さなかったかもしれないけれど、でも少なくとも僕の気持ちは、もうどうしようもないというか…“辞めたい”という思いでいっぱいでした」

「写真って、もちろん勉強は勉強なんだけど、普通の勉強とは違うじゃないですか。努力も…もちろんした方がいいんだけど、努力すれば報われるといったものではないし。センスがすごく重要で、僕にはそれがないんじゃないかなぁ、って思っていたんです」

「いろいろと考えに考えて、“とりあえず、誰も撮れないものを撮ればいいんじゃないか”という結論に達したんです。インパクトのある写真を撮って、それでも相手にされなかったら、もう辞めようって決めたんです」

出された課題は、5〜6枚の組写真だった。

「僕はまず、新宿の地下道で寝ているホームレスのおじさんを撮りました。すごく近くまで寄って。それから、ちょうど新宿の花園神社でやっていた酉の市を見つけたんですが、当時そこには、見せ物小屋みたいなものがあったんですよ。おばさんが鼻にゴムを通して手で引っ張っていて、その横に何故か生まれたばかりの子供が寝ているというような、すごくシュールな感じだった。その見せ物小屋の中で撮った写真が2枚目」

「3枚目は、たまたま渋谷でふらふらと写真を撮っている時でした。救急車のサイレン音が聞こえたんですよ。その音が近くで止まったので行ってみたら、ホームレスのおじさんが倒れていて、救急隊員が脈をとっているところだったんです。“これは撮らなきゃ!”って思って撮りました。でもその後、救急隊員の人に思いっきり怒られて、結構自己嫌悪になりましたね。あとはホームレスの後ろ姿と…もう1枚は忘れましたが」

「とにかく、その5枚を組写真にしたんです。テーマは『僕が見た東京』。それらの光景というのは、田舎では見られないものですから、東京に来て以来、日頃から気にはなっていたんです。でも怖くて、ずっと撮れなかった」

「その時の作品が、学校の投票で、いきなり1位になったんですよ。他にもたくさん写真を撮っていたので、5枚の組写真をもう1セット作って提出したんですが、ひとつが1位になり、もうひとつが3位になったんです。それで、もう気分が高揚しましたね」

それから冬休みに入って、実家に帰省した小林さんは、雪で白く覆われた諏訪の町と、実家で飼っていた犬とを一緒に写真に収めた。冬休みが明け、課題として提出したその作品は、またしてもクラス投票で1位に選ばれたのだ。

写真をやめるか続けるかどうかの大きな賭。“誰も撮っていないもの”を見つけることは、簡単なことではないだろう。しかし、これができなかったら写真をやめようと決めた、その“覚悟”が、何か一線を越えさせたのかもしれない。


次週(2/6配信)もお楽しみに!!

写真


今週のPICK UP


加藤法久個展「感情」
■2月2日(木)〜2月14日(火)まで 
水曜休館 入場無料
横濱みなと町ギャラリー
横浜市中区港町2-9関内駅前第二ビル地下1階
■11:00〜17:00
■問い合わせ 045-662-1708

SABADO写真展『the 1st branch』
■石鍋ももこ 鎌形路子 高橋ひさの
■1月31日(火) 〜2月5日(日)まで 
入場無料 月曜休館 
GALLERY COSMOS
東京都目黒区目黒2-8-8中山ビル2階
■10:00〜19:00 (最終日は17:00まで)
■問い合わせ 03-3495-4218 



::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
編集の学校/文章の学校
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

編 集 後 記
何かをきっかけに、ぱーっと何かが開けて見えることってありますよね。私は学生時代にベースをやっていたときに、それに似たような経験があります。初心者から始めて、ダメだダメだと思いながら、ライブの度に落ち込んで、毎日のようにひたすら練習してたんです。そうしたら、ベースを始めて1年が経ったある日のライブの後で、先輩達からとても評価されたんです。そういうことって、初めは自分では気づかないんですよね。ただ夢中で練習してきた私にとっては「えっ?」っていう感じでした。でも、それを機に"何かを感覚としてつかんだ”ということを実感し、何か今まで見えていなかったものが見えたような感がありました。人から評価されて初めて自分を客観的に見たんでしょうね。そんなバンドをやめてから早○年、5月に友達の結婚式の二次会で、数年ぶりにベースを弾くことになりました。本当に本当に久しぶりで、楽しみです!(Mariko Hanaoka)
問 い 合 わ せ
雷鳥社マガジン
URL: http://www.raichosha.co.jp/mm/
 広告のお問い合わせ: http://www.raichosha.co.jp/mm/ad.html
ご意見・ご感想: photo@raichosha.co.jp
登録の解除をご希望の方は、下記のURLによりお願いします。
  http://www.raichosha.co.jp/mm/photo.html
メールマガジンにご登録いただいていらっしゃる方々には雷鳥社より、不定期で新刊案内等を自動的に配信させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
「Photo 365 MAGAZINE」に掲載された記事の無断転載を禁じます。
Copyright. © 2004- Raicho-sha All Rights Reserved.