Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.11.07
vol. 62
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
画像が表示されない場合
みなさん今日も楽しくお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週は「私が写真を撮る理由」番外編をお届けいたします。番外編その1は、写真ギャラリーオーナー・Roonee 247 photography代表・フォトディレクターの篠原俊之さんの登場です。芸術の秋、写真展のことについていろいろお伺いしています。今週もお楽しみに!!


Photo365
MAGAZINES

メールアドレスの
登録・解除・変更
バックナンバー

私が写真を撮るワケ
写真ギャラリーオーナー・篠原俊之さんインタビュー
VOl.40号でご登場いただいた、写真ギャラリーオーナー・フォトディレクターの篠原さんに再びご登場いただき『写真展を開く』ということについてお届けいたします。読者の方からよくお問い合わせいただくテーマです。写真展を開きたい方、必見!!
■ Profile ■
Roonee 247 photography代表・フォトディレクター
篠原俊之(しのはらとしゆき)
1972年東京生まれ。1994年大阪芸術大学写真学科卒業。1996年、赤坂にあった東京写真文化館の設立に参加、フォトディレクターとして活躍、2004年の閉館まで携わる。昨年個人事務所を立ち上げ、2005年の今年、新宿四谷三丁目に写真ギャラリー「Roonee 247 photography」を設立。
Roonee 247 photographyの HP
写真展スケジュール

11月8日〜13日 
グループ展「柔視」

11月15日〜20日    
美学校写真工房展

11月22日〜27日
塚原英幸写真展「サバンナの”ネコ”達」

11月29日〜12月4日 
仲澤章浩写真展「絆」切替兄弟レースに懸ける情熱

12月6日〜15日 
徳永修子写真展「多情廉恋〜胎動〜」

12月16日〜25日 
舘又将文写真展

■営業時間
12:00〜19:00
(最終日は16:00閉館)
■毎週月曜休館 
■入場無料





自費出版より写真展がオススメ
編集:写真展というとイメージ的にお金がかかるイメージがあるのですが・・。

篠原さん(以下敬称略):自費出版などで出版物を作るよりは、安いと思いますよ。本を一冊作ると100万円近くかかってしまいますよね。そして膨大な在庫の数。写真展は形に残るものはないですが、それよりははるかに安くできます。例えば、プリント代から何から何まで含めても数十万円でできてしまします。

編集:グループ展ならもっと安く発表することもできますしね。
ところで、写真ギャラリーでは、作品の審査があるといいますが、やはり誰でも気軽にというのは難しいのですか?

篠原:ここは、貸しギャラリー(レンタルギャラリー)というカテゴリーになるので、審査といっても、厳しいものはないのです。ですが、これが、例えば老舗のディーラー画廊(作品を売る専門のギャラリー)とか、そういうことになってしまうと、審査というのが当然あるかもしれません。でも審査というよりは、そのギャラリーの方の目利きの問題なので、これは売れるのか、売れないのか、ということになると思います。

うちの場合は、その上に上がって行く前の段階の、僕はファームギャラリーと呼んでいますが、メジャーリーグでいうところの、マイナーリーグのようなイメージかな。トップクラスのアーティストになってくれるための、実績作りの場所っていう感じです。ですから、そんなに難しい厳密な審査はないです。

編集:他にメーカーギャラリーというのもありますが、そちらではもちろん審査がありますよね?

篠原:メーカーサロンに持ち込むのであれば、審査は当然あります。審査委員会もありますしね。それは、何の審査かというと、カメラメーカーが運営するギャラリーですから、その主催するメーカーの宣伝というか、プラスのイメージにならなければ、やはり審査は通りにくいですよね。例えばカメラやレンズを作っているメーカーのギャラリーに、ピンホールカメラの作品を展示しようと思っても、レンズを使っていないのですから、それは難しい。例えば、モノクロの感材を全く作っていないフィルム会社があったとしますと、そのギャラリーでモノクロの写真展やるようなものなのです。まず第一段階の審査というのは、そういうようなものだと思います。あとは、作品のレベルです。メーカーにももちろん企業のイメージなどが当然あるわけですから、そういった点もふくめレベルの審査はありますよね。

編集:では、こちらのギャラリーも含め、貸しギャラリーではいかがですか? 

篠原:貸しギャラリーのようなところであれば、そんなに厳しい審査というのは、普通はないと思いますよ。接し方は、そのギャラリーによっても違うと思いますが、Roonee場合は、作風がどうとか、うちのテイストがどうとかはあんまり言いませんね。具体的には、審査というよりは、どんな感じの写真展をやりたいのですか? というようなことをミーティングするというかお話をお聞きしますね。

でも、それがあまりにも漠然としすぎていて、ちょっと詰めようがないものであればもう少し撮りためてからの方がいいのではないですか?とアドバイスさせていただくこともあります。まだ写真が5枚ぐらいしかなくて、それで個展をやるというお話をいただいたとしても、うちのスペースであれば、少なくとも30点ぐらいは掛かってしまいます。3ヶ月先にまでに30点というと、スケジュール的にはタイトになってしまうので、もっと先に延ばしてはどうか、ということを申し上げることもあります。ですから、どんな写真展をやりたいのか、そのイメージを固め、ある程度の作品数をお持ちになって、申し込みをされるといいかもしれませんね。
 
 
写真展では作品を売るべし
編集:篠原さんは、学生時代、写真展を何度もされたということですが…、会場選びはどのようにされましたか? 

篠原:僕が学生だった当時は、まだ写真業界自体が新人には間口が非常に狭く、写真の若手のやるようなスペースというのは、ほとんどなかったんです。メーカー系のギャラリーは特定のプロのためだけにスペースを提供するということであったし、ディーラー系ギャラリーは少しはあったけれども、どちらかというと、展示した写真を売るためのスペースですから、ある程度売り上げが見込めるような内容の作品、でないと難しい・・・。作風がどうということではなく、ある程度内容は保守的でしたね。

ディーラー系のギャラリーはお客さんの数ではなく、ディーラーとしては、売れるか売れないか。何百人入っても1枚も売れない写真家もいますから。ですからある程度お客があって、売れる写真を・・・ということになります。ですから、きれいな作品だからお客さんが買うということではなく、前衛的なものやアグレッシブなものであっても、ファンがそこにいれば、その作品を買う。そういうことですよね。

編集:篠原さんが写真展をされたときは、作品を売られたりはされていたのですか?

篠原:はい、僕は最初から売ろうとは思っていました。最初の頃は、すぐに売れはしませんでしたが・・。もとをとろうとかではなく、値段はちゃんとつけた方がいいのかなぁと、漠然と思っていましたね。

今は写真展をやる方には、値段をつけた方がいいですよとアドバイスさせていただきます。それは、儲かる儲からないそういう話ではなくて、です。例えば100人お客さんが観に来てくださったとして…。たぶんみなさん、口では“よかったですね”なんておっしゃってくださると思うんですけれど、どれぐらいよかったか?なんて、その言葉では図りきれないでしょ? 本当に好きだと思ってくださったら買っていかれると思うんですよ。言葉が適切ではないかもしれませんが、例え、すごく汚い写真で飾りにくそうな写真でも、自分がよいなぁと思ったり、おもしろいと思う作品なら買っていかれると思うんです。

作品を買う側からすれば、評価のさだまっているものを買うというのは、わりと分かりやすい価値判断がありますよね。“有名な写真家の作品を20万円で買いました”というのは、ある程度納得ができるんです。でも誰も知らない、自分も知らない写真家に対してたとえば1万円払うということは、それは、客観的な判断材料というのはゼロ。ですからいくら数千円とか1万円とかある程度小額のお金だとしても勇気のいることですよね。普通売れないんです。だからこそ、買ってくれる人がいるというのは、すごくありがたいことだと思わなくてはいけないですし、売るということにも意味がでてくるような気がします。

編集:はじめての写真展で値段をつけるのが抵抗があるような気がしますが・・・。

篠原:作品は2000円、3000円、値段はいくらでもいいんです。特に、まだまだネームバリューのない新人さんの場合は、買っていただけたということが選挙でいうと“自分に1票投じてくれた”ということになります。お客さんが、次も期待しているということ、当然この人は次もあるだろうということで、一票を投じているのですからね。作り手にとってみれば、これ以上ない創作のエネルギーになりますよね。そして、作品作りへの自覚も芽生えてくるんだと思います。

お客さんがいる以上は、次がんばんなきゃいけないという自然に思えてくると思えてくると思うんですよね。中途半端にあきちゃったから辞めましたとか、そういうことがだんだん言えなくなるんです。ある程度社会とリンクしてきますから、作り手の方も徐々にプロ意識というものもあがってきます。ですから値段は、壁にちゃんと張った方がいいと申し上げますね。机の上に目録をおいても、誰も読まないですからね。

そうやって写真展をやり続けていくと、キャリアなんて簡単にあがってくると思いますよ。よく10年、15年写真撮っていますという方がいますが、年数の問題ではないですからね。


【編集より】
篠原さんのお話いかがでしたか? 今はブログやHPなどで自分の写真を発表することもできますが、篠原さんのお話をお聞きしてて、写真展にもチャレンジしてみたくなった方も大勢いたのではないでしょうか。写真が好きな方、写真展に行かれたことがあるみなさんならおそらく感じられると思いますが、写真はやはり生のプリントで見る方が断然素敵です。写真を撮ることは楽しい、みんなに見てもらうともっと楽しい。プロを目指したい、写真家になりたいみなさん、是非写真展をされてみてはいかがでしょうか。篠原さん、貴重なお話ありがとうございました。
 
 
 
 
 
 

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは。柳谷杞一郎です。
デジタル写真表現の特徴に関する考察もいよいよ最後のポイントまでやって来ました。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に写真でわかる<謎への旅>シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある




花写真〜上手になるための18のルール〜 写真を上手に撮るための18のルール。初心者から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。 
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み) もっと詳しく読む...
デジタル写真では、色領域(色空間)を指定することができます。色領域とは、実際自然界に存在する無限ともいえる色スペクトルの中から、実際に使用する範囲を決めてしまうということです。

「RGB」とか「CMYK」という考え方も、その代表的なものだ、といえます。

その「RGB」という色領域をもう少し厳密に規定したものがあります。例えば、「sRGB」という色領域は、JEIDA(社団法人日本電子工業振興協会)が提案したデジタルカメラ用のファイルフォーマット「Exif」の規定により、標準として使用されているものです。

「sRGB」はパソコン用モニタの色空間に合うように開発されたもので、デジタルカメラだけでなく、パソコン、プリンタなど多くのデジタル機器で標準の色領域として利用されています。「sRGB」の色領域を使って撮影した画像は、どのモニタ、プリンタで表示、印刷しても機器による画像の色の差異が少ない、ということになります。

これに対して、最近「Adobe RGB」という色領域もさかんに利用されるようになりました。「Adobe RGB」は「sRGB」よりも広い範囲の色を表現することができます。「sRGB」では難しいとされる「エメラルドグリーン」や「夕焼け色に赤く染まる雲の濃淡」まで表現できるといわれています。「Adobe RGB」を表現できるモニタ、プリンタを使用するならば、こちらの方がより表現力は高いということになるのです。

現在では、印刷物に使うものなら「Adobe RGB」で撮影することが主流になっています。僕自身も、以前は「sRGB」の方が一般的なプリンタを使った場合、キレイにプリントができると思っていたので、「sRGB」で撮影していました。今は印刷物用の撮影は「Adobe RGB」で行っています。プリンタも「Adobe RGB」を再現できる高性能なものが、手頃な価格で登場してきました。一般的な印刷物はCMYKの4色のインクで刷ります。それと比べるとインクを7色も8色も使うインクジェットプリンタによるプリントは驚くばかりにキレイです。プリンタでプリントしたものが頭の中にあると、印刷物の方がみすぼらしくみえるかもしれません。プロカメラマンは、デジタルでの撮影においても印刷物になったときのことを考える「力」が必要なのです。デジタル写真はまだまだ奥が深いといったところでしょうか。

と、ここまでで「デジタル写真をめぐる冒険」のデジタル写真表現の特徴はひとまず区切りとなります。この連載のどこかで書いたことがあるのですが、まだまだ僕自身が発展途上、勉強中です。写真の学校はいよいよ今月より、このメールマガジンの発行元である雷鳥社のある建物で「デジタル写真の学校」をスタートすることになりました。レタッチ、画像編集の講師はこの道のプロ中のプロである雷鳥社の編集者・渡辺朱さんがつとめてくれます。僕も参加しようと思っています。

というわけで、僕の連載はしばらくお休みをいただきます。僕自身勉強がある程度進んだら、今度はより具体的な「デジタル写真の冒険」をスタートさせるつもりです。お楽しみに。
『イースター島 改訂版 写真でわかる謎への旅』 息を呑む美しい写真とともに綴られる、トラベル&ミステリーガイドの最新版。2005年5月の取材による新しい写真・最新情報を掲載!!雷鳥社(2005/08)/1‚575円(税込み)

『デジタル「写真の学校」』 発売前より予約注文が殺到のデジカメ本!! 基本的ノウハウを含め、あなたの「本当に撮りたい写真」が見つけられる1冊です。柳谷杞一郎氏も編集に関わっています。
雷鳥社(2005/07)/1‚575円(税込み)

「写真の学校」の教科書 大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)
もっと詳しく読む...
::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
写真の学校|東京写真学園
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

編 集 後 記
みなさんも、機会があったらぜひ写真展を開いてください。自分の作品を見てくれた方々の声を生に感じることができ、今後の作品作りへのすばらしいきっかけにもなります。

ところで、昨年よりお届けしてまいりました柳谷氏の『柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険』ですが、今回を持ちまして一旦終了し、お休みをさせていただくことになりました。デジタル写真の初心者にもわかりやすい丁寧な解説、出版界や写真業界の裏話など、ファンも多く読者の方から人気のあるコーナーでした。柳谷さん、本当にお疲れさまでした。長い間、連載いただきありがとうございました!! また、新たな冒険がはじまることを期待してお待ちしております!! 

<編集部よりお知らせ>
いつもご愛読ありがとうございます。新コンテンツ準備のため不定期にて失礼いたします。来週も1週お休みをいただきます。12月には新コーナーが立ち上がる予定ですので楽しみにしていてください。では、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。次回の配信は11/21の予定です。
問 い 合 わ せ
雷鳥社マガジン
URL: http://www.raichosha.co.jp/mm/
 広告のお問い合わせ: http://www.raichosha.co.jp/mm/ad.html
ご意見・ご感想: photo@raichosha.co.jp
登録の解除をご希望の方は、下記のURLによりお願いします。
  http://www.raichosha.co.jp/mm/photo.html
メールマガジンにご登録いただいていらっしゃる方々には雷鳥社より、不定期で新刊案内等を自動的に配信させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
「Photo 365 MAGAZINE」に掲載された記事の無断転載を禁じます。
Copyright. © 2004- Raicho-sha All Rights Reserved.