Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.08.01
vol. 54
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん今日も楽しくお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週も写真家・稲越功一さんのインタビューです。いろいろなものに紳士に向き合う姿勢が素敵な方です。それでは、お楽しみに!!
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写真の学校|東京写真学園
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私が写真を撮るワケ
自分の中にある“美”を求めて表現の旅をし続ける写真家・稲越功一さんインタビューVol.3
自分はどこを目指して進んで行けばいいのだろう? みなさんの目指す場所はイメージできてますか? 今週は稲越さんがデザイナーから、写真家として独立するまでの頃のお話を交えながら、表現者として、常に第一線で活躍しつづけてこられた稲越さんならではの、深い思いをお届けします。みなさん、お楽しみに!!
■ Profile ■
稲越功一(いなこしこういち)
写真家。1980年講談社出版文化賞受賞。国内、海外で多くの作品集、展示会を出版、開催する。『男の肖像』『Ailleurs』『三大テノール日本公式写真集』『アジア視線』など作品集多数。2005年、松尾芭蕉生誕360周年記念企画として、『芭蕉の言葉』(佐佐木幸綱共著、淡交社刊)を出版、写真展『芭蕉の風景』(銀座・和光ホールにて)を開催。現在、NHK『新シルクロード』取材に参加中。
写真家・稲越功一と行く
「新シルクロード撮影の旅7日間」

2005年8月30日(火)から7日間
NHKシルクロード写真班としても活躍される稲越さんからの指導を得られる、写真術開眼の旅。通常のツアーと異なり、各地で撮影時間が確保。ANA羽田発ウルムチ直行チャーター便あり。
料金:275‚000円〜
問い合わせ:ANAセールス東京支店 顧客販売部シルクロード係 TEL:03−6735−3933









NHK“課外授業ようこそ先輩”
9月14日(水)
放映予定










『芭蕉の言葉―〈おくのほそ道〉をたどる』
佐佐木 幸綱‚ 稲越 功一著 
写真を稲越功一氏、文章を歌人・佐佐木幸綱氏。現在を代表する2人による共著。「おくのほそ道」の旅の魅力と芭蕉像を分かりやすい文章と美しい写真で伝えられる一冊。2005年/淡交社 1‚995円










写真集より
「Maybe‚maybe」
デビュー作。 1971年/求龍堂










『中村吉右衛門―播磨屋一九九二〜二〇〇四』
歌舞伎役者、二代目中村吉右衛門の写真集。名場面から稽古風景まで、20年にわたり撮り続けてきた稲越氏、渾身の一冊。演目解説や対談も収録されている。2004年5月/6‚090円/求龍堂

30歳で独立。不安は今でも…
高校を卒業後、念願の東京に上京した稲越さんは、武蔵野美術大学に入学。しかし、経済的な負担などを理由に、やむを得ず大学を中退することになる。その後、デザイナーとして就職をし、やがてアートディレクターとなり、管理職への順調な道を上っていった。

しかし、仕事で行ったニューヨークで衝撃を受けた稲越さんは、帰国後しばらくして会社を退職し、写真家として独立。そして、初の個展「Maybe maybe」を開いた。

「雑誌『花椿』の、アートディレクターだった仲條さんにデビュー作『Maybe maybe』の写真集を送ったら、『花椿』の仕事をやってみないかと言われてね。別に『今日からフリーになります!』とフリー宣言をしたわけではないんですよ。少しずつ仕事をやっていく中で、最終的に会社のボスに相談して辞めたんです」

写真家として独立する以前から、ソニーのレコードジャケットの撮影とデザインなど、会社の仕事とは別に並行していたという。

「デザイナーとして、これ以上やっても“本物”になれないとは感じていたんです。“本物”というのは、アーティスト。田中一光さんや、横尾忠則さんですよね。デザインをしていく中で、「ここだ!」という時に一刀両断で倒せるものが必要なんですよ。それが僕にはなかった。一振りで倒せる技というものを持っていなかったんです。今考えるとそれを30歳で見極めてしまうというのも、どうだったのかなとは思いますが…」

写真家に転身した理由のひとつは、強い肉体への憧れもあった。幼い頃から体が弱かった稲越さんにとって、どんなときも一人で現場に向かって行かなければならない“写真家”に対する力強いイメージがあったのだという。

「ある意味では体を張っていますよね。スポーツ感覚というか(笑)」

「それから、デザインというのは時間に幅があって、作品によっては1ヶ月、1年という期間を要することもある。一方で、写真というのは、自己表現が明快なんですよね。撮ったものがすぐに分かる。逆に言えば、儚さも秘めているんですが。表現というのは、豊かさと儚さがいつも共存しているんですね」
自分の持っている資質とは・・
日本画家や歌舞伎役者というのは、50代、60代を過ぎてからが深みを増していく時期だ、と稲越さんはいう。写真家というのは、そういう意味での積み重ねた評価というのは、意外に無いのだと。

「もちろん、ひとつのことをずっと深く追求している方は別ですよ。例えば、東松照明さんは、長崎に住んでずっと撮り続けていらっしゃる。でも、僕にはそんな勇気がないんですよ。東松さんは人間への慈しみと同時に、勇気のふり幅があって、そういう意味でもとても尊敬しているんです」

「しかし、人間にはその人の持っている資質というものがあるんですよね。東松さんにしてみれば、僕が思う程のことではなく、それが心地いいというだけで、それを僕がただ勝手に美学として捉えているだけのことかもしれない。あるいは、僕の憧れが加味しているかもしれない。もしかしたら、どこかに僕のように生きたいと思ってくれている方もいるかもしれないわけですよね」

「人生というのは、計算してできるものではないんですよね。30代で写真家になるときには、勤めていた会社のボスにも『本当に写真家になれるかどうか心配だよね』って言われたし、実際に僕も不安でした。でも、今だって不安はあるし、デザイナーだった時も不安だったから…ある意味では、何をやっていても不安があると思うんですよ。それは表現者に限らず、会社の社長さんであっても、その社員であっても同じです」

「そういう不安感があってはじめて、加速力がついたり、責任感が出てくる。僕は、うねぼれの自信というのは持ってはいけないものだと思っているんです」

表現者の持つ不安とは、状態を維持するという不安ではなく、常に走り続けなければいけない、新しいものを求め続けなければいけないという不安なのかもしれない。そして、とどまってはいけないというその不安感さえも、創作へのエネルギーになっているのだろう。

「あとは、好奇心や意欲、感動する心を持ち続けること。物質的なものも含めて、あまりに豊か過ぎてしまうとまずいのではないかと思うんです。物質的なゆとりは、精神を豊かにする一方で、逆に足を引張る面がある。かといって貧しすぎてもいけない。この寄り引きというか…写真にも寄り引きがあるんですが、ほどよい距離というのがあるんですよね。生活にもその、ほどよい生活距離というのがあって、それがモノを作る上での条件だと思います」
次号(8/8配信)もお楽しみに!!

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは。柳谷杞一郎です。
いよいよ雷鳥社から『デジタル「写真の学校」』が発売されましたね。写真の学校/東京写真学園の監修になってはいますが著者は「一日一枚お散歩デジカメ」の発行人であるキットタケナガ氏です。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に写真でわかる<謎への旅>シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
正直、このメールマガジン、その中味の濃さ、見識の深さ、アクの強さにただただ圧倒されていました。僕自身、写真に関する数多くのメールマガジンを購読していますが、毎回欠かさず目を通す数少ないメールマガジンのひとつです。

おかげ様で『「写真の学校」の教科書』がベストセラーになり、『デジタル「写真の学校」』の編集発行の話が出た時、著者はこの人しかいないと思い、一面識もないのに、執筆依頼のメールを出していました。素顔のキットタケナガ氏は、思い描いていたとおりの粋なオジさま。
「どうしてもこの人に書いてもらいたい」と無理矢理に仕事を引き受けてもらいました。

…それからわずか半年。『デジタル「写真の学校」』は世に出ました。

A5判タテ長変型(224ページ)、ほぼオールカラーで定価1500円(税別)。美しく、楽しく読めるデジタル写真の入門書です。はっきり言って、超お買い得。『「写真の学校」の教科書』を持っていない人も、一冊持っておいて損しない一冊です。雷鳥社のホームページからも購入申し込みが可能です。クレジット決済も可能となりました。送料も無料です。ぜひ一冊どうぞお手元に。

写真の学校の生徒たちも今ではデジタルカメラを持っている人が過半数に迫る勢いです。時代はものすごい勢いで変化をしています。誰がなんと言おうとも、デジタルカメラが便利で実用的あることを否定することはできません。もう、あと数年でプロ、アマを問わず、ほとんどの写真がデジタルカメラで撮られるようになる日が来るのです。

銀塩フィルムでしか味わえない写真撮影の楽しみがあるのと同じように、デジタルカメラでしか味わえない写真撮影の楽しというものがあります。だからこそ、知っておかなければならないデジタルカメラならではの知識、技術があるのだと思い、このメールマガジンでの連載を始めました。時代の方が僕を追い越そうとしていますが、デジタル写真の表現の特徴、きちんと最後まで書いて自分なりに考えをまとめておきたいと思います。

次回はデジタル写真表現の第9の特徴「現像パラメーターの設定が可能」についてお話しします。
『デジタル「写真の学校」』 ご好評頂いている『「写真の学校」の教科書〜基礎編〜』発刊から1年。待望の第二弾!となるデジタル編がついに完成。発売前より予約注文が殺到!! デジカメの基本的ノウハウを含め、あなたの「本当に撮りたい写真」が見つけられる1冊です。柳谷杞一郎氏も編集に関わっています。
雷鳥社(2005/07)/1‚575円(税込み)





「写真の学校」の教科書 大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!
はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。柳谷杞一郎氏が執筆・編集しています
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)





花写真〜上手になるための18のルール〜 写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。柳谷杞一郎氏が執筆・編集に関わっています
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)


今週のPICK UP

Profile
糸崎公朗(いとざき・きみお)
1965年長野県生まれ。東京造形大学卒業後「非ユークリッド写真連盟」を結成。連盟、個人で様々な作品を発表する。書籍には、「フォトモ 路上写真の新展開」(工作舎)、「出現!フォトモ」(パルコ出版)、「建築のフィギュアープライベート・プロダクツ」(INAX出版)などがある。

糸崎公朗写真展「実験・デジワイド」
昆虫と背景、両方ピントの合った写真が撮りたいという思いからはじまった作者の実験。今回は、CCDの小さなコンパクトデジカメの特性を生かした手法で撮られた写真展。「デジワイド」と名づけられたこの手法、中でもドアスコープを利用したものは、画角180度の円周魚眼で、小さな昆虫も画面いっぱいに写すほどの接近能力がある。「より多くの人が身近に潜む小さな自然に目を向けてくれれば」という作者の思い、そしてデジカメを活かしたアイデアのおもしろさが楽しめる。

■8月25日〜9月2日 会期中無休
コニカミノルタプラザ・ギャラリーC 新宿区新宿3-26-11新宿高野ビル4F
■JR新宿駅東口、地下鉄丸の内線「新宿駅」から徒歩1分
■10:30〜19:00(最終日のみ15:00まで) 
■問03-3225-5001
(C)糸崎公朗

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編集の学校/文章の学校
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編 集 後 記
50代、60代を過ぎてから深みを増していく仕事…。私にとって、今の仕事はそれには値しないかもしれないけど、歳をおうごとに人間としての深みが増していければなぁ、と思いますね。仕事に限らず、ひとつのことを続けていくことで、何か同じような深い場所に辿り着くような気がします。「続ける」ということは大切ですね。(Hanaoka Mariko)
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