Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.07.25
vol. 53
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
画像が表示されない場合
みなさん今日も楽しくお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。今週からプチリニューアルしました。インフォメーションのコーナーでは、写真集の案内、写真展の案内などなど、写真に関するいろいろな情報をお届けいたします〜。
では、今週も写真家・稲越功一さんのインタビューをお届けします。お楽しみに!!
::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
プロカメラマンを目指すなら東京写真学園へ!7月期生受講申込受付中
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

Photo365
MAGAZINES

メールアドレスの
登録・解除・変更
バックナンバー

私が写真を撮るワケ
自分の中にある“美”を求めて表現の旅をし続ける写真家・稲越功一さんインタビューVol.2
写真家としてだけでなく、様々な分野で活躍する才能豊かな稲越さん。何かを表現したい!!と上京して以来、今も走り続けているのは、みなさんもご存知の通り。そんな稲越さんの根底にあるものとは、いったい何なのか? カメラをはじめた頃のお話とともにお届けします。今週もお楽しみに!!
■ Profile ■
稲越功一(いなこしこういち)
写真家。1980年講談社出版文化賞受賞。国内、海外で多くの作品集、展示会を出版、開催する。『男の肖像』『Ailleurs』『三大テノール日本公式写真集』『アジア視線』など作品集多数。2005年、松尾芭蕉生誕360周年記念企画として、『芭蕉の言葉』(佐佐木幸綱共著、淡交社刊)を出版、写真展『芭蕉の風景』(銀座・和光ホールにて)を開催。現在、NHK『新シルクロード』取材に参加中。
写真家・稲越功一と行く
「新シルクロード撮影の旅7日間」

2005年8月30日(火)から7日間
NHKシルクロード写真班としても活躍される稲越さんからの指導を得られる、写真術開眼の旅。通常のツアーと異なり、各地で撮影時間が確保。ANA羽田発ウルムチ直行チャーター便あり。
料金:275‚000円〜
問い合わせ:ANAセールス東京支店 顧客販売部シルクロード係 TEL:03−6735−3933




















NHK“課外授業ようこそ先輩”
9月14日(水)
放映予定




















『芭蕉の言葉―〈おくのほそ道〉をたどる』
佐佐木 幸綱‚ 稲越 功一著 
写真を稲越功一氏、文章を歌人・佐佐木幸綱氏。現在を代表する2人による共著。「おくのほそ道」の旅の魅力と芭蕉像を分かりやすい文章と美しい写真で伝えられる一冊。2005年/淡交社 1‚995円




















写真集より
「Maybe‚maybe」
デビュー作。 1971年/求龍堂























『中村吉右衛門―播磨屋一九九二〜二〇〇四』
歌舞伎役者、二代目中村吉右衛門の写真集。名場面から稽古風景まで、20年にわたり撮り続けてきた稲越氏、渾身の一冊。演目解説や対談も収録されている。2004年5月/6‚090円/求龍堂

人間の根底にある、変わりようのないもの
小学時代の稲越さんは、美術はもちろん、その他の勉強もそつなくこなす、いわゆる優等生だったようだ。小学5年生のときに書いた作文では、文部大臣賞を受賞したこともある。

「町内に足の不自由な同級生がいて、その子の話を書いたんです。今だからいえる話ですが、作文なのに、結構フィクションを入れて書いていました(笑)。絵でも賞をもらったりもしましたね。ある程度のことは、何でもすぐにできてしまうタイプだったんですが、そこ止まり。ひとつのことを深く掘り進むということがなかった。それは、まだ今の僕もそうかなぁとも思います。恥ずかしいですが…(笑)」

「写真家として30年以上も撮り続けてきましたけれども、写真の向こうに、時には建築、時には音楽、時には演劇。思えばそういったものからもたくさんの影響を受けてきたのかなぁと思います。映画で言えば一本の映画、文章で言えば1冊の本のように、ストーリーが見えてくるような心に刻まれる一枚の写真を撮ることができたらと思っています」

「“好き”“嫌い”というのは、相対的なものだと思うんです。表もあるし裏もある。人間も同じで、みんなが“いい人”という人が、自分にとっていい人かどうか、それは分らないですよね。好き嫌いが分れる人の方が、人間としての魅力があることもある。表現者というのは、そっちの部類に入るんじゃないかな」

一芸に秀でていれば多芸に通じる。ものごとの原理というのは、一つのことを突き詰めていけば、すべてにあてはまるのだろう。

「道元、西行、空海…昔の宗教者というのはみんな哲学を持っていますよね。松尾芭蕉は西行への憧れから“奥の細道”を始めているんですよね。芭蕉は360年前、西行はそれより更に約500年前の人なんです。そういうことを考えると、時代というのは単なる記号であって、人間の想いというのは普遍的なんだなぁと思います。芭蕉のいうところの“不易流行”。変わらないものと、常に変わり続けるものがあるんですね」

不易とは永遠不変であり、流行とはその時々に応じて変化すること。芸術とは、一見相反するかに見えるこの2つを兼ねそなえたときに、真に永遠たりうるものだ、と芭蕉は考えた。

稲越さんの中で変わらないものとは?

「それはやはり僕の中にある“美”ですね。この前1996年までの写真120点ほどを並べた写真展『Maybe maybe』を開催したんですが、1971年の僕のデビュー作『Maybe maybe』の作品も含めて、日付も入れずに展示したんです。そうして見てみると、自分の中の“美”のテイストというのは変わっていないんですね。人間の根底には変わりようのないものもあるんですね。“美”というのは、表現であり、生き方なんです」

「写真を表現するときには、必ずセレクションというプロセスがある。セレクションすることそのものが、自分の哲学になるんです。どういうものを選ぶか、そこにその人の思想や哲学が出るわけですからね。だから、撮るという行為そのものだけでなく、何を選ぶかということも問われるわけです」

「レンズの向け方も、歳とともに変わってきます。若い頃は、ねじ伏せるように撮ってみたりね。でも、年齢と共に変わってくるのは、必ずしもいいことばかりではない。見えてくるものがあるかわりに、失っていくものもたくさんありますからね。若いときは、勢いがあるんだけど、それ故に見えないものがある。それは、撮り続けていかないと分らないものです」

「初めから自分で壁を作ってしまうとその枠内で終わってしまう。そういう意味でも、表現者はいつもフリーになっている必要があります。だからやはり止まってはいけないんです」
“ホンモノ”が変わりゆく時代
稲越さんが最初にカメラを手にしたのは、15、6歳のときだった。そのときに買った一眼レフカメラ「キヤノン」だけは、飽きることなく使い続け、今でもキヤノンのF1は7〜8台は持っているという。

「キヤノンF1は今のカメラに比べると重いですけど、その重みが逆にいいんです。今のカメラは軽すぎて、手ごたえがない感じがします」

当時、学校のクラスメイトの中でも2〜3人はカメラを持っていたが、お互いに写真を見せあったりすることは特になかった。

「5歳の時に親父を亡くしていたから、親父に見せることもないし。カメラ雑誌を読んだりすることもなかったですね」

写真を撮りはじめた頃は、モノのディテールにこだわっていた。それは、ドアのノブや、車のディテールだったり、部分の持つ美しさに自然と心惹かれていたという。

「ベンツなどそうですが、何か集約した美しさがあるんですよね。僕は、美の根源というのは、やっぱり引き算だと思っているんです。本当は、これ以上引けないという、究極的な美しさを持っている気がしますね」

「それに“いいもの”というのは、ディテールだけみても非常に完成度が高いんです。部分の持つ魅力。現代は、モノの細かいディテールの美しさが欠落しているところがあるかもしれません。機能的ではあるかもしれないけれど、すべてが軽量化されて、使い捨て感覚になっている。そういう時代の中では、“ホンモノ”を買う人が減ってくるんです。そこが難しいと思いますね。だから今、日本から職人が消えつつある。職人という本物が生きにくい時代なのかもしれませんね。それではいけないと思うのです」


「いろいろなものが機械化しているから、そこから生み出されるものに魂が欠落している。木のテーブルといっても、人間の手でカンナがけされたものと、機械によって整えられたものとでは違う。どんなに正確に整えられていても、人の手の温かみを感じないんですよ。日々の生活のなかでも、機械的なもので埋め尽くされているのと、人間の魂がこもったものに囲まれているのでは、やはり違ってくると思うんです。ひとつのものを大切に使い続けるという心は持ち続けていたいですよね」

作り手の気持ちが薄れていけば、使う方の気持ちもなくなっていく。需要と供給のサイクルは加速し、“流行”に振り回されて使い捨てされるモノが増えていく。それが今の日本の文化なのか。稲越さんは「文化そのものが浅くなっていく」という。

「デジカメの普及、携帯電話カメラの普及、それは別に悪いことではないと思います。手軽に撮って、消して、プリントしてという流れと、銀塩時代からの流れという、ふたつのレールがあっていいし、それらは交わりえないものなんですよね。それを、同じ土俵で考えようとすること自体が違っていると思います」

「そういう意味においては、写真家を目指す若い人たちの中にも、ふたつの傾向が生まれてくるでしょう。ただ、それが短期決戦で終わってしまうのか、それとも何十年と続けていく腹積もりがあるのかということが大事ですよね。どちらを使うかではなくて、自分の気持ちがどこにあるのか。自分がどこに向うのかということによって、自然とモノの選び方、使い方が決まってくると思いますよ」
次号(8/1配信)もお楽しみに!!

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは、柳谷杞一郎です。
デジタル写真表現第8の特徴「ホワイトバランス」の話は、「色温度」「フィルター」の話になりました。今回は、実際に僕が「ホワイトバランスの選定が可能」というデジタルカメラの特徴をどう利用しているかをお話します。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に写真でわかる<謎への旅>シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
大学生の頃、はじめて一眼レフカメラを手にした僕が最初に買ったフィルターはケンコーのLBAフィルターのW2とW4でした。当時の僕はクールな青っぽい色合いよりもセピア調の温かい色合いの写真の方が素敵だ、と思っていたのです。

大学2年生の時に1年間ヨーロッパにキャノンAE1を持って出掛けたのですが、常時このW2 かW4のフィルターがレンズにつけられていました。ヨーロッパの中世風街並みとLBAフィルターのセピア調色合いはよく合います。ほぼ全カットにフィルターが使われているのですが、今見てもそれほど悪い感じはしません。でも、まあ、よーく見ればLBAフィルターをつけない方がよい場面も、LBBフィルターをつけた方がよい場面もあります。

日本に帰ってきた僕は、LBAフィルターのW8、W12を追加購入し、合わせてLBBフィルターも同じラインナップで合わせました。すなわちC2、C4、C8、C12を購入したのです。正直、色の濃すぎるフィルターを多用するのは、あめり感心できることではありません。ブルーの色が濃い写真、セピアの色が濃い写真。つまらない風景がそれなりの絵になってしまいます。けれど、それは、なんの変哲も無い風景をごまかした、というだけのことです。

実は、日本帰国後あれほど常用していたLBAフィルターを、ほとんど使わなくなりました。もちろん、ついでに購入したLBBフィルターにいたっては撮影に携帯していくことさえなくなっていったのです。

風景写真を中心にする僕が現在もっとも使用頻度が高いのは、当然偏光フィルターということになります。偏光フィルターはどういうフィルターかって?デジタル写真に直接関係ないので、それはまた別の機会にお話しますが、LBA、LBBフィルターは本当に使わなくなっていました。

ところが、一昨年あたりから撮影にデジタルカメラを使うようになって、またまた、すっかりLBA,LBBフィルターを使う感覚がよみがえってきたのです。どうしてかって?
それはまた次回お話しましょう。

「写真の学校」の教科書 大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!
はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。柳谷杞一郎氏が執筆・編集しています
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)


花写真〜上手になるための18のルール〜 写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。柳谷杞一郎氏が執筆・編集に関わっています
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)



今週のPICK UP

■著者Plofile ■
キッドタケナガ
写真家。デジタルカメラ愛好家たちが集うコミュニティサイト「お散歩ネット」を運営。一日一枚の基本方針により、ほぼ毎日メールマガジンを配信。日本全国に支部を持ち、撮影会なども随時行われている。

待望の第2弾!!『デジタル「写真の学校」』
初回は雷鳥社より新刊のお知らせをさせていただきます。ご好評頂いている『「写真の学校」の教科書〜基礎編〜』発刊から1年。待望の第2弾。デジタル編がついに発売されます。内容は、デジカメの基本的なノウハウをはじめ、画像データの処理の仕方まで、あなたの「本当に撮りたい写真」が見つけられる一冊です。

<主な内容>
● 絞り・シャッター速度の表現
● 露出を理解する
● 自分にピッタリ!のカメラ・レンズ選び
● デジタルカメラの設定
● 撮影しよう(撮影解説)
● よりきれいに写真を残す(レタッチ)
● 画像データを理解しよう
● 写真を発表する(ブログ)
雷鳥社(2005/7/26)/1‚575円

::: PR ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
編集の学校/文章の学校
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: PR :::

編 集 後 記
※7月11日配信(Vol.52)『私が写真を撮る理由』の記事の一部(リード部分)に誤りがありました。「中村吉衛門」は誤りで、正しくは「中村吉右衛門」です。読者の皆様および関係者の皆様にお詫びし、訂正いたします。雷鳥社マガジン編集部より

途上国の人といわれる国の知人がいるが、その人はモノを本当に大切にしている。モノだけではなく、生活空間も日頃から丁寧に掃除をしているのだが、そういう姿を見ていると、身のまわりの掃除や整理整頓というのは、人間が生きていく中で本当に基本的なことで、とても大事なことなんだということに気づかされます。こころが穏やかでないと、ひとつのモノを大切にすることもできないのではないかと。(Hanaoka Mariko)


問 い 合 わ せ
雷鳥社マガジン
URL: http://www.raichosha.co.jp/mm/
 広告のお問い合わせ: http://www.raichosha.co.jp/mm/ad.html
ご意見・ご感想: photo@raichosha.co.jp
登録の解除をご希望の方は、下記のURLによりお願いします。
  http://www.raichosha.co.jp/mm/photo.html
メールマガジンにご登録いただいていらっしゃる方々には雷鳥社より、不定期で新刊案内等を自動的に配信させていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
「Photo 365 MAGAZINE」に掲載された記事の無断転載を禁じます。
Copyright. © 2004- Raicho-sha All Rights Reserved.