Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.07.11
vol. 52
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん今日も楽しくお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン
「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。
今週からは、写真界の文化人としても名高い、写真家・稲越功一さんのインタビューをお届けします。第一線でご活躍し続けてこられた稲越さんならではの貴重なメッセージが詰まっています!!今回もお楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
“美”を求めて表現の旅をし続ける写真家・稲越功一インタビューVol.1
大河ドラマ「義経」、中村吉衛門はじめとする数々の写真集を手掛け、また作家や芸術家など文化人との親交も深くコラボレーションした作品も多数。今回の写真家インタビューは、あの巨匠・稲越功一さんにご登場いただきます。今週は稲越さんが生まれ育った高山の話中心にお届けします。お楽しみに!!
■ Profile ■
稲越功一(いなこしこういち)
写真家。1980年講談社出版文化賞受賞。国内、海外で多くの作品集、展覧会を出版、開催する。『男の肖像』『Ailleurs』『三大テノール日本公式写真集』『アジア視線』など作品集多数。2005年、松尾芭蕉生誕360周年記念企画として、『芭蕉の言葉』(佐佐木幸綱共著、淡交社刊)を出版、写真展『芭蕉の風景』(銀座・和光ホールにて)を開催。現在、NHK『新シルクロード』取材に参加中。
写真家・稲越功一と行く「新シルクロード撮影の旅7日間」
2005年8月30日(火)から7日間
NHKシルクロード写真班としても活躍される稲越さんからの指導を得られる、写真術開眼の旅。通常のツアーと異なり、各地で撮影時間が確保。ANA羽田発ウルムチ直行チャーター便あり。
料金:275000円〜
問い合わせ:ANAセールス 東京支店 顧客販売部 シルクロード係 
TEL:03-6735-3933















NHK“課外授業ようこそ先輩”
9月14日(水)23:15〜23:44
NHK総合放映予定
※事情により、放送時間、放映日が
変更される場合もあります















『芭蕉の言葉―〈おくのほそ道〉をたどる』
佐佐木 幸綱‚ 稲越 功一著 
写真を稲越功一氏、文章を歌人・佐佐木幸綱氏。現在を代表する2人による共著。「おくのほそ道」の旅の魅力と芭蕉像を分かりやすい文章と美しい写真で伝えられる一冊。2005年/淡交社 1‚995円
















写真集「Maybe‚maybe」より
写真家・稲越功一氏デビュー作。
1971年/求龍堂 


故郷“高山”の子供たちと
1941年、岐阜県高山生まれ。

先日NHKの「課外授業ようこそ先輩」という番組収録のため、久しぶりに高山へ行ってきたという稲越さん。高山の子供たちには「心の眼」について、「自分が“無”になっていれば、風景が素直に見えてくる」という話をしたという。

「写真家というのは、もちろん写真を撮るということが大切なんですけど、僕は撮るという行為そのものより、撮る以前の方が難しいと思うんですよ」

デジタルカメラの普及によって、撮ること自体がとても簡単になってきている今。「私たちは深く考えるということを忘れてしまっているのではないか」と稲越さんはいう。

デジタルカメラの浸透、読みやすい短編やエッセイなどがもてはやされている文学事情。様々なものがショート化してきている。それは、人と人とのコミュニケーションについても言えることかもしれない。

「そういったことを考えると、“写真”を考える以前に、これからの日本の文化はこのままでいいのだろうか、ということを考えざるを得なくなっていると思います」
自分がどこへ向っていくのか
稲越さん自身は、デビューした当時から、“自分がどこへ向っていくのか”という大きなテーマを持ち続けている。

「それは何も難しい写真を撮るということではないんです。デビュー当時はもちろん、今でも暗中模索で追究しているわけですが…、表現者というのは走り続けないといけない。走ることを止めたら、そこで終わってしまうんです。過去の作品や、偉業をひっぱり出してきて“僕はこんなことをやりました”というのは、悪いことではないけれど、でもそのことで自己表示したりはしたくない。今何をやっているのか、そのことの方がとても重要だし、そういう人の方が輝いて見えますよね。自分が歳を重ねても、謙虚で素直な視点が自分にあれば、色々なものを自然と吸収できると思いますよ」

「素直な視点」。先日行われた授業で高山の子供たちにも、そんなメッセージを込めて話したという。稲越さんが幼少時代を過ごした高山とはどんなところなのだろう。

高山の街は、人口が4万人前後の小さな街だった。かつての高山城の城跡があり、その小高い丘の上からは街全体を見渡すことができる。

「ある意味で、“風土が人をつくる”というところはありますよね。若いときは、高山で生まれ育ったことが気恥ずかしかくて、東京のような都会にあこがれました。劣等感のようなものがあったんだと思います。高山と東京じゃ、スケール感が全然違うわけですから。でも、40、50と歳を重ねるにつれて、やはりあの高山で生まれたことの中に、自分の哲学というか、モノの見方の原点があるということを感じるようになったのです」

いつかは東京に出て!という思いと同時に、“何かで表現したい”という思いが、いつのころからか芽生えていたという。あんなに抜け出したいと思っていた高山の街が、知らず知らずのうちに稲越さんに与えていた影響とは、いったい何だったのだろうか。

「高山の街並みというのは、京都的なんですよね。碁盤の目のように、整理されている美しさ。こじ付けかも知れないですけど、高山の整理整頓の美学かな…」

「高山というのは、昔からゴミが本当にない街なんです。僕が小さい頃から、高山の人は朝起きると、まず家のまわりの掃除をしていましたね。外から帰ってきたら靴を揃えるとか、本当に基本的なことなんですけど、日々の生活の中での整理整頓は“美”の基本だと思うんです」

高山の街は、今でも名古屋から電車に揺られること約2時間半ほどの場所にある。しかし、その高山へ行くまでの距離感というのが、高山を美しく持続させている所以でもある、と稲越さんはいう。

「もし名古屋から1時間で着くような場所だったとしたら…街の活性という面ではいいかもしれないけれど、高山という街が本来持っている、精神性のようなものは失われていったかもしれないですよね」

「ある県に、2つの市があります。1つには新幹線が通っているけれど、もう一方には通っていない。確かに、新幹線が通っている市は往来によって商売も繁盛して活性化されているんですが、通っていない市の方が街としての風格があるような気がします。風格が崩されなかったことが、市民に豊かさを与えているのではないかと思うんです。それと同じことが高山にもいえるのではないでしょうか」

「でもそれは、高山を出たからこそ分ったことですよ(笑)。若い頃は、そんなこと考えもしなかった。日本を出て、外から日本を見るのと同じように、高山を出て、外から高山を見て初めて、それまでとは違った目で高山という街を見ることができたんだと思います」
次号(7/25配信)もお楽しみに!!

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは、柳谷杞一郎です。
デジタル写真表現の第8の特徴「ホワイトバランスの選定が可能」についての説明をしようとしているうちに、色温度の話になり、フィルターの話になりました。今回はフィルターの話をしたいと思います。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に写真でわかる<謎への旅>シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
フィルターとはもともと「ものをろ過する働き」をするものです。タバコの扱い口についているものもフィルター、水道の蛇口にとりつけられているものもフィルターと呼びますよね。

写真撮影に使われるフィルターは、正確にはオプチカルフィルターあるいはフォトグラフィックフィルターと呼ばれるものです。

人間の眼は極めて優秀(あるいはかなり鈍感)で、昼間の太陽の下でも、室内の白熱光の下でも、白いものを白いものとして認識します。しかし、カメラはただの道具ですから、光源が変わり色温度が変化すれば違った色調の写真になってしまいます。

色温度を変えるための色温度変換フィルター(色温度変換Light Balancingの略称からLBフィルターとも呼ばれます)、これこそオプチカルフィルターの基本中の基本といえるものです。

色温度をあげるためのフィルターであるブルー(Blue)系、色温度をさげるためのフィルターであるアンバー(Amber)系、の2種にわけられます。

フィルターの濃さによって
 C2・C4・C8・C12
 W2・W4・W8・W12
などの種類があります。Cは冷調(Cooler)の頭文字で色温度をあげるブルー系のフィルターに、Wは温調(Warmer)の頭文字で色温度をさげるアンバー系のフィルターにつけられるものです。数字が大きくなるほどフィルターの色は濃くなります。

色温度変換フィルターでは、補正しきれないような偏った光の色を補正するためのフィルターを色補正フィルターと呼びます。

例えば蛍光灯の青緑色かぶりを防ぐためのFL−Wフィルター、赤外線の影響を除去するDRフィルターなどです。

また、微妙な色補正に使用するY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)なども文字通りの色補正(Color Compensating)フィルターで、通常CCフィルターと呼ばれます。

さて、デジタル写真の話に戻りましょう。一眼レフデジタルカメラの高級機には、この色温度変換フィルター、色補正フィルターの機能がついています。

いちいちフィルターをとり替えなくてもよいのです。これ、楽チンですよ。少し長くなりましたのでどう楽チンかについては、次回お話します。


「写真の学校」の教科書
大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!

はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。柳谷杞一郎氏が執筆・編集しています
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)










花写真〜上手になるための18のルール〜
写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。柳谷杞一郎氏が執筆・編集に関わっています
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)

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編集の学校/文章の学校
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編 集 後 記
風土が人をつくる、ということは確かにあるかもしれません。外に出て客観的に見つめる。それは海外でなくても、長期間でなくてもいいのかもしれない。旅をしている時というのは、自然と、遠くから自分を見つめている気がしますよね。あ〜また旅がしたいな〜。

<お知らせ>
いつもご愛読いただきありがとうございます。次週は、システムなどのリニューアル準備のため1週お休みさせていただきます。次号からは、インフォメーションコーナーのコンテンツが増えたり、内容もプチリニューアルする予定です。みなさん楽しみにしていてくださいね!!
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