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■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう) 写真の学校/東京写真学園校長。 広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
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海外の大きなスポーツイベント、例えばオリンピックなどを撮影する場合。昔なら撮影したフィルム(あるいは現像後プリントしたもの)を直接日本に送らねばなりませんでした。それが今では、通信手段の高度化によって、デジタル信号にして送信することが可能です。
ご存知のとおり、デジタルカメラをもっとも早く導入したのは、スポーツカメラマンの人たちでした。スポーツ写真の世界では、レベルの高い写真を撮影することに加えて、その情報を可能な限りはやく伝えることが重要だからです。
モノクロフィルムで撮影して、現像プリントをしてから送信する。カラーポジフィルムで撮影し、現像後、スキャニングしてから送信する。いずれも、デジタルカメラで撮影したデータをパソコンにとり込んでそのまま送信する、という作業と比べると、何時間か余計な時間が必要になります。
スポーツ写真の世界を含めた報道写真の世界では、この何時間かが致命傷になる可能性が高いのです。デジタル一眼レフカメラが出はじめの頃は不安だった、「高感度撮影での画質」「連続撮影における連写速度」「シャッターのタイムラグ」などの問題は、もうほとんど気になりません。今現在は、銀塩フィルムのカメラでスポーツ写真を撮っているプロカメラマンは極めて珍しい存在だと言えるでしょう。
オリンピック競技の行われる会場の報道席には、ズラリとプロカメラマンが陣取ります。そして、そこには、プロカメラマン仕様の高級機種であるカメラが三脚にとりつけられて林立します。テレビカメラは、何度も何度もこのカメラマンに席をとられます。
カメラメーカーにとって、ここにどれだけ自社のカメラを並べられるか、ビジネス上、重要なポイントです。アテネオリンピックに向けて、世界のカメラメーカーが自らの威信をかけてしのぎを削ったことは言うまでもありません。その膨大な開発費用は、一般市場向けの一眼レフデジタルカメラの進歩にも大きな影響を与えてくれたはずです。
余談ですが、アテネオリンピックのカメラマン席は、白い望遠レンズがつけられたカメラが圧倒的に多かったようです。白い望遠レンズは「キャノン」の象徴。あれをみて某カメラメーカーの社員の方は、「あーあ、今年もキャノン社員のボーナスはスゴイんだろうなぁ」と思ったとか。
確かに、現時点ではスポーツ写真の世界では、キャノンが一歩リードしているのかもしれません。でも、デジタル一眼レフカメラの開発競争はこれからが本番。次回北京オリンピックのカメラマン席では、何が起こるのか楽しみにしていたいと思います。
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