Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.05.09
vol. 43
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん今日も元気にお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン
「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。
今週も雑誌、CDジャケット、広告などでご活躍中のカメラマン・宅間國博さんのインタビューをお届けします。3週目の今号は、宅間さんの大学時代のお話です。学生の頃に撮られた作品も必見です!!
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私が写真を撮るワケ
自分の撮った写真で、たくさんの人に喜びを。写真家・宅間國博さんインタビューVol.3
辛かった高松の少年時代を乗り越え、いよいよ大学へ進学。自分のことを誰も知らない場所で、すべてをリセットした宅間さんが歩み出した道とは…。第3回目の今週は映画に夢中になった大学時代のお話中心にお伺いします。宅間さんが当時撮影された貴重なお写真もありますので、こちらもお楽しみに。
■ Profile ■
宅間國博(たくまくにひろ)
香川県高松市生まれ。みずがめ座。仙台にある大学のインダストリアルデザイン科を卒業後、印刷会社の企画課へ就職。退職後上京。アルバイトをしながら、お金を貯めて作った一冊のフォトブックが、数々の編集者の目にとまり、持ち込んだすべての出版社から仕事の依頼がくる。以後様々な紆余曲折を乗り越え、雑誌、写真集、カレンダー、CDジャケット、広告など現在もなお第一線で活躍中。自身の写真集では『RIBIRTH』(リブロポート)、『Power of color[flowers]』(学習研究社)などを出版。近年発売された『カインド・オブ・ブルー』(二見書房)では、夢を追う迷える若者たちから支持されファンも多数。後進育成にも尽力を注いでおり、今後も幅広い分野での活躍が期待される。
オフィシャルサイト
カインド・オブ・ブルー
あなたは今何をしたいの? 何になりたいの。写真とともにつづられたメッセージ。一枚一枚めくるたびに、一歩踏み出す勇気を与えてくれる一冊。空のブルー、海のブルー・・、深く穏やかなブルーの世界が広がる。
2003年/二見書房

























power of color [flowers]
赤、緑、黄・・花の持つ色の強烈なシャワー。見終わった後には幸せな気持ちにさせてくれる、目にも心にも沁みわたる写真集。
1999年/学習研究社

























REBIRTH
朽ちた壁、車の錆、雨の日の道路・・に焦点をあて、クローズアップして撮られた写真集。誰の目にもとまらず、忘れさられてしまうハズのものたちが、その瞬間、色と構図だけになり、再びよみがえり呼吸しはじめる。
1991年/リブロポート












ワークショップ開講

宅間國博の
「プロカメラマンへの道、プロが教えたくないすべて」


場所:写真の学校
日時:土曜19:00〜21:00(全12回)
開校日:5月21日(土)より

スタジオマン、アシスタント経験なしでもプロカメラマンになれる!! “カメラマンになるためには”、“カメラマンとして仕事をし続けていくためには”のノウハウすべてが学べる講座。営業方法、撮影現場のこと、編集者やクライアントとの付き合い方、スタジオライティングにかかわることまで。プロになりたい方必講です!!
詳細は写真の学校/東京写真学園へTel:03-3400-4747。


映画が僕の先生です
高校時代から映画が大好きで、学校をさぼっては一日中映画館に入り浸っていたという宅間さん。大学では、映画研究部に入部。写真という静止画から、映画という“動く写真”に興味が移っていったようだ。大学時代に見た映画の数は、1年で約200本。それだけ多くの映画を観ていたのなら、宅間さんの写真表現への影響も少なからずあるはずだ。

「そのときは意識していなかったけど、プロのカメラマンになってからはよく感じますね。撮影の時、パッ、パッって、頭の中に映画の場面が出てくるんですよ。映画のあるシーンの構図とか、光と影の使い方なんかも残っていて、撮影する際のライティングにいかされていると思いますね」

「ファインダーを覗きながら、“これは『卒業』の、スカボロ・フェアが流れた時のあの映像の、あの感じで撮ろう”みたいな感じで…。数年前『ハンニバル』という映画を観た後にも、光を感じるんだけどダークで、シルエットではなくて人物が薄暗く浮かんでくるあのシーンがいいなぁと思うと、次はそんなシチュエーションで写真を撮ろうって思いますね。映画が僕の先生かもしれません」

タダで映画を観る方法とは…
大学時代に観た膨大な量の映画。そのほとんどを宅間さんはタダで観賞していたという。映画をタダで観る、その手法とは…?

「映画館に行って、学生証を見せて“映画の前売り券を僕に売らせてもらえませんか?そのかわり10枚売ったら招待券を一枚下さい。現金はいりませんから”ってお願いしたんです。学校の学食なんかで10枚くらいすぐにさばけるんですよ」

「売りさばいたチケット代を届けに映画館に行くときも、映画上映の30分前に行って、用件を終え、“じゃあ、ありがとうございました〜”と言って、帰るふりしてまた映画を観ちゃうんです(笑)」

「一番多い時は150枚くらい売りましたね。そうすると招待券が15枚もらえるから、今度はその招待券を売るんです。前売り券よりも安くね。そうすると何の元手もなくお金が入ってきますよね」

チケットを売ってチケットを手に入れる。確かにお金は一切払うことなく映画を観ているが、チケット販売という営業的な労働をちゃんとしていたのだ。それにしても、その発想力と行動力には驚かされる。そして、宅間さんの商売魂はまだまだ続くのだった。

「学園祭の時期になるとね、仙台中の映画館を廻って、使い終わったポスターをもらってくるんです。そしてポスターを一枚一枚パネル貼りして販売する。一枚1‚500円くらいで、結構売れるんですよ。木製パネルにポスターを貼る作業というのは、写真のパネル貼りと同じだから、パネル貼り作業は、後輩を雇ってやらせていました。ひとつ100円くらいでね(笑)」

まさにアイディアマン。しかも、周りの人間を巻き込んでマージンをもらうなんて、ちょっとした起業家だ。

さて、映画にのめり込む一方、入学当時の夢であった車のデザイナーの方はというと…入学後半年程度で見切りをつけてしまったようだ。

「デッサンと同じでね、みんな車の絵を写真のように描くんですよ。その時点で『こんな中でやっていけない。もうだめだ』って、すぐ諦めましたね。それ以降は、将来何になるかなんて考えず、ただ毎日楽しく過ごしていました」

写真・女性・失恋…
大学2年生になると、映画研究会をやめて、部室が隣だった写真部に入部。隣でケンケンガクガク行われている講評会を見ているうちに、写真への思いがよみがえってきたと宅間さんは言う。

「やっぱり写真の方がダイレクトなんですよ。映画は脚本を書いて、撮影、現像、編集と、時間がかかるでしょ。せっかちな僕には写真の方が合っていたんでしょうね」

たくさんの映画を観て、実際に映画を作って、それ以前よりも感性も磨かれていたであろうこのころでも「相変わらずテーマは全然ないですね」と宅間さん。

「それまでは風景ばかり撮っていたんですが、初めて生きた女性を撮りましたね。まわりが女性ばかり撮っていたから。でも、女性を撮ってはじめて、自分のあまりの下手さにビックリしました。風景を撮っている時はいいのに、人物はなんでこんなにダメなんだろうって。他の人の写真の方が表情がいいんですよ」

「僕は小中高大とずっと彼女いなかったから、女性との接し方が分らなかったんです。モデルだって友達に紹介してもらったくらいですから。コミュニケーションがとれないから、風景を撮る感覚で女性を撮っていたんですね。僕もカチカチだから、女の子もどうしたらいいか分からず、カチカチなわけですよ。当然出てくる写真もいきていない」

大学3年生になってやっと女の子と話せるようになったころ、宅間さんは人生初のデートに行った。映画を見て、喫茶店でお茶をして…。デートの王道コースをたどって、その日のデートが終わりに近づいた時、彼女からは胸をさすような一言が。

「今日はとても楽しかったけど、もう宅間さんとお会いするのは今日で最後にしましょう」

「それはもうショックでしたよ。コミュニケーションが下手だから、お茶をしている時も、何もしゃべれなかったんです。何を話していいか分からなかったですね」

「それでもう、女の子を撮ることは止めました(笑)。また風景ばかり撮り始めましたよ。テーマもなく、一貫性もない。どこか行った場所でただ撮る。動物園に行ったら動物を撮る。あまり深く考えず、ただただシャッターを押すことしか考えていなかったんじゃないかな。もちろん“きれいだな〜”とか“おもしろいな〜”とか、何かを感じたときシャッターを押していたんでしょうけど」

とはいえ、そのころの写真を実際に見せてもらったが、そのクオリティーの高さには驚かされる。テーマはないとはいえ、一枚一枚の作品の完成度が高いため、一枚で十分作品としての存在感があるのだ。
(c)Kunihiro Takuma
 (c)Kunihiro Takuma
135ミリ望遠レンズで撮影したという、動物園で撮ったチンバンジーの写真。水墨画の世界を思わせる、海に浮かぶ島々の写真。

「当時4号と5号の印画紙を使ってハイコントラストにし、粒子を荒らす写真に凝っていた。高校生のときはただプリントするだけだったけど、大学生にもなるとコントラストをつけたり、覆い焼きをしたりするテクニックを覚えてきたから、すごく楽しかったですね。朝まで暗室にこもっていましたよ」
(c)Kunihiro Takuma
 (c)Kunihiro Takuma
そして捨てられた車や枯れた木。青函連絡船のからみた波…。

「静かな写真ばっかりでしょ。友達いなかったから(笑)。寂しい〜(笑)、友達いないのがすぐに分るでしょ。クラスメイトや部活の友達はもちろんいましたけど、親友と呼べるような友達はいなかったですから。今でもそうですけど、一人でいる時間が好きなんですよ。楽なんですよね」
 (c)Kunihiro Takuma
(c)Kunihiro Takuma
「当時は、森山大道さんや中平卓馬さんたちに影響されて、“主張やテーマのある写真じゃなきゃ、写真じゃない”なんて言っている人がいるわけですよ」

「僕は相変わらずテーマなんて考えずに撮っていたから、先輩たちにそのことをさんざん指摘されてきました。それでちょっと落ち込んでたこともありましたね。後に、専門学校時代、初めてインドへ行ったんです。“インドに行けば、主張有り気な写真なんて誰だって撮れるんじゃないか”と思ってね」

「インドでは、テーマも主張もなくただ撮っていても、シャッターを押せば、なんかテーマがありそうな写真が撮れてしまうわけですよ。その当時の僕の中では、“主張なんてなくても、そんな風に見せることはできるんだ”って思っていた。悲惨なところに行けば撮れることを証明したかったんでしょうね。もちろん、本当にドキュメンタリーを撮っていれば、それはもちろん本物ですよ。今思うと、こんなことを考えていること自体、頭の中がまだまだ子供だったんだと思います」


それでは次号(5/16配信)もお楽しみに!!

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは。柳谷杞一郎です。

デジタル写真表現の第5の特徴「ISO感度の変更自由自在」は第6の特徴に、第6の特徴「1メディアで多枚数の撮影が可能」は第7の特徴にそれぞれ格下げしました。
で、第5の特徴にあげたのは「コピー、通信、蓄積が容易」というものです。前回も書きましたが、「コピーが容易」「通信が容易」「蓄積が容易」というのはそれぞれに極めて重要な特徴です。ひとつひとつを独立させて第5、第6、第7の特徴としてとりあげてもいいとも考えましたが、話がややこしくなるのでここでは第5の特徴としてひとつにまとめます。
いずれの特徴も写真というヴィジュアルがデジタル信号におきかえられていることに由来します。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
まずは「コピーが容易」。これは本当に便利な特徴だとも思いますが、自分の作品がいくつもいくつも簡単に複製できるわけですから、カメラマンの心理、カメラマンの権利の面から考えると、マイナス面もないわけではありません。

銀塩フィルム時代のコピーは、物理的に複製品をつくるわけで、カメラマンとしては、自分が最初に撮影したフィルムに対して、まさに「それは私の写真である」という強い気持ちを持ち続けることができました。

ところが、デジタル信号の複製はあまりにも簡単、手軽。あれよあれよという間に、自分の写真が10枚でも20枚でも100枚でも1000枚でもコピーできてしまうのです。

おかげで、世の中にった1枚しかない銀塩フィルムのように傷ついたり、紛失したりすることを心配することがなくなりました。ひとつの写真データをカメラマンと編集者とライターとデザイナーと印刷会社が同時に手にするということが可能になったのです。銀塩フィルムをコピー(デュープやラッシュという作業)すると、画像劣化が起こるうえ、結構なお金がかかっていたのですが、そんな問題ともオサラバできました。

僕の著作物のひとつ「写真でわかる謎への旅“イースター島”」という本の中で1ヶ所だけ、デュープした写真がつかわれています。オリジナルのフィルムがどうしてもみつからなくなってしまったのです。

このデュープしたフィルムは、とっても画質が悪くて、できあがった印刷物は最悪の仕上がりとなりました。好きな写真だったので、無理矢理つかったのですが、今は大いに反省しています。

残念な話ではありますが、オリジナルの銀塩フィルムが極めて貴重である、ということを強く自覚できたともいえます。やはり、銀塩フィルムは「それは私の写真である」ということを強く意識することのできるメディアなのです。
「写真の学校」の教科書
大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!

はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。柳谷杞一郎氏が執筆・編集しています
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)



花写真〜上手になるための18のルール〜
写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。柳谷杞一郎氏が執筆・編集に関わっています
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)

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編 集 後 記
宅間さん、本当にアイディアマンですよね。やりたいことは具体的であればあるほどいいんですよね。漠然とした夢や憧れを追っているだけだと、ただの現実逃避になりかねないですから…。うっ、自分で言ってて、イタたたたっ…。それにしても、最初のデートで言われたあの一言、きびしいですね〜。彼女も遠まわしなんだか、ストレートなんだか…女というのは残酷なのかもしれませんね。(Hanaoka Mariko)

<雷鳥社からのお知らせ>
弊社発刊の写真集『ナツカシイ アシタ』の著者sakuramaru氏が5月15日(日) 15:00〜(14:30開場)、「旅の本屋 のまど」にてスライドトークショー「日常の冒険。A trip to the universe.」を開催いたします(詳細はこちら ) 。参加費は300円。sakuramaru氏が写真への想いを語ります。みなさん是非足を運んでくださいね。

いつも雷鳥社のメルマガをご愛読いただきありがとうございます。今月より雷鳥社の新刊案内のメールをお送りさせていただくことになりました!! メールマガジンにご登録いただいていらっしゃる方々には自動的に配信されることになりますので、どうぞよろしくお願い致します。
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