Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2005.04.11
vol. 40
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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みなさん元気にお過ごしですか? 
写真を撮ること、観ることが好きな人に、お届けしている雷鳥社メールマガジン
「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのイタガキです。
先週に続き、今週も写真をみるということについて、お届けしたいと思います。今号は、「私が写真に魅かれる理由」と題して、写真ギャラリーの代表、フォトディレクターの篠原俊之さんにお話をうかがいました。みなさん、お楽しみに!!
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私が写真を撮るワケ
写真のおもしろさ・楽しさを広める種まきをしています
Roonee 247 photography代表・フォトディレクター
篠原俊之さんインタビュー
今週は、写真ギャラリーの代表、フォトディレクターとしてご活躍されている篠原俊之さんです。写真家でもある篠原さん。写真を撮ること、観ること両方の立場をわかっていらっしゃる方です。ギャラリーを開くきっかけから写真表現の魅力、写真をみるということのおもしろさ、楽しさをお伺いしました。写真展をやりたいと思ってる方必見です!!
■ Profile ■
Roonee 247 photography代表・フォトディレクター 
篠原俊之(しのはらとしゆき)
1972年東京生まれ。1994年大阪芸術大学写真学科卒業。1996年、赤坂にあった東京写真文化館の設立に参加、フォトディレクターとして活躍、2004年の閉館まで携わる。昨年個人事務所を立ち上げ、2005年の今年、新宿四谷三丁目に写真ギャラリー「Roonee 247 photography」を設立。
Rooneeの HP
Roonee
247 photography

東京都新宿区四谷4-11みすずビル1F
tel 03-3341-8118
E-mail






























●写真展スケジュール

袴田章子・夏生かれん写真展
「FRAGILE -9つの扉-」

4月12日(火)〜17日(日)
12:00〜19:00
(最終日16:00まで)










林敏弘
「ピンホール写真展」

4月26日(火)〜5月1日(日)
12:00〜19:00
(最終日16:00まで)






























●ワークショップ

サイアノタイプワークショップ
古典印画と呼ばれる昔のプリント法。鮮やかな青色の写真を作る講座です。詳しくは、HPにて
2005年5月14日(土) 
10:00〜17:00ぐらいまで
定員:10名(先着順)
受講料:16,000円(材料費含む)
講師:久保元幸(ザ・プリンツ代表)

もっと自由に、表現の場を広げるために写真展を!!
編集:写真学科、フォトディレクター、ギャラリーのオーナーと、ずっと写真にかかわってこられた篠原さんですが、写真をはじめられたきっかけは何ですか?

篠原:深い理由はないです(笑)。大学で写真をなんとなくやりたいと思ってはじめました。当時は大学で写真というと、新聞社に入るか、コマーシャルのカメラマンのアシスタントになり、その後独立して広告写真の分野に進むか。スタジオも見学に行ったんですが、僕は結局このどれにも興味が持てなかったんです。そんな中、大学に入ったのが、ちょうど1990年。折りしも89年が写真術が誕生してちょうど150年節目のときでした。毎月どこかで大きな写真展をやっていて。授業そっちのけで、夢中になって展覧会巡りをしていましたね。海外の有名な写真家を呼ぶのはお金がかかるので、今となっては貴重なことですが、エリオットアーウィット、アッジェ、ハーブリッツ、メイプルソープなどもその頃に観ました。展覧会を観たりする体験の中で、受注の仕事ではなく、自分のアートワークを売ってお金に換えるやりかたもあるのだということがわかりました。

編集:目指すところは写真家だったのですか?

篠原:はい、もともと写真家を目指していましたので、創作活動はどんどんやっていました。学校に提出するだけではつまらないので、やるからには、“じゃぁ自分で写真展をやろう”と思ったのです。学校へ相談に行ったら、『そんなの早い』って言われて(笑)。自分の中で納得できませんでした。歳の変わらない音楽好きな人たちが、イカ天バンドと言ってブラウン管の中に登場したり、ストリートで自由に発表の機会を持っている・・。自分が今夢中になっている写真だって、そういうことができるんじゃないかって思いました。写真展を開くのには時間はかかりましたが、大阪では現代美術系の画廊、東京では印画紙メーカーのスペースを借りて、写真展をやりましたね。それが20歳ぐらいのときです。

編集:実際に、写真展をされた感想はいかがでしたか?

篠原:キャリアも実績もない人が、自分の発表の機会を持つというのは、今思えば本当に大変なことでしたが、目に見える手ごたえみたいなものを感じましたね。大学の写真の授業は、出来上がったプリント1枚に対して、もう少しこうしたほうがいいというアドバイスや、テクニカルな部分が多いと思います。写真展をやってしまうと、テクニカルな部分より、単純に何が面白かったか、何がつまらなかったかという部分の声が多かったですね。いい評価も悪い評価もありましたが、それがいい刺激になって、それ以来3ヶ月に1回ぐらいのペースで、学生時代にはトータルで15〜16本ぐらいやっていたと思います。
 
 
写真のおもしろさを伝えていく仕事とは・・
編集:今はその逆の立場、写真ディレクターをされていらっしゃるわけですが、写真を撮ることよりも、魅力的に感じられて、この仕事をされたのですか?

篠原:僕は写真家であり、写真ディレクターでもあり、どちらかをやめたという訳ではないです。今は写真の種まき運動みたいな時期だと思っています。これは、最初の写真展を開いたときの体験が大きいですね。

はじめて写真展をした時です。初日は、知っている人がきてくれるんですよ。問題は2日目。本当にお客さんがこなくて、ゼロだったんです(笑)。有楽町、オフィス街のど真ん中で立地条件もよかったのにです。原因はいろいろあるのですが、そこで感じたのは、写真は、表現のメディアとしてはまだマイナーなものなのだということですね。写真展しかり、写真集しかり。写真雑誌もそうですよね。ですから、もっともっと自分たちから、これがおもしろいんですという風に言っていかないと、結局事情を知った内輪の人間しかここにはきてくれないんだということを理解したんです。

だから、写真のおもしろさを伝えられる仕事も考えていきたいと思ったのかもしれません。その時はディレクターになろうとは思わなかったのですが、その後フォトディレクターとしてたまたま写真文化館の立ち上げに関わったこともあり、今では写真のおもしろさについての普及活動みたいなことができるではないかと思っています。ここ、ルーニィもそうですね。いろんな人たちにこういうスペースを知ってもらって、気軽に足を運んでもらえるようなギャラリーになればと思っています。

編集:写真展というのは、誰でもやろうと思ったら、できるものですか? 作品の出来うんぬんを考えずにでしょうか?

篠原:できると思いますよ。僕が20歳でやったように、そんな難しいことじゃないんです。うちでも、よく半年ぐらい前にはじめたばかりの人もやっていますので。
 
 
編集:篠原さんにとって、写真の魅力というのは何ですか?

篠原:基本的に、写真って簡単ですよね。押せば写る、見たものを写せばいいみたいな感じで、入りやすいんです。ですが、同じような道具を使ってやっているのに、出来上がってくる作品はものすごく幅が広い。それが不思議ですよね。うちでもワークショップをやっていて、5〜6人で同じところを歩いて撮影したものを、次の週に持ってきてもらう。みんなの作品を並べて、どうしてこうも違うの?なんです!!自分の考えていることだったり、パーソナリティというものがモロに出てくる。自分のことを確認できるツールだと思うし、それと同時に、簡単な装置であるがゆえの表現の差異というか、そういったものが手に取るように分かる。そのあたりが一番面白いと思いますね。

それと、作品を鑑賞する部分と、製作をする部分というのが表と裏でくっついているように感じるんですよ。展覧会を見ても、本を開いても、あーいいなぁと思った次の瞬間、その気になれば自分も表現者としてやれるという、その辺の身軽さも素敵だと思います。
   
もっと生活の中にアートや写真を取り入れて楽しんでほしい
編集:このギャラリーをはじめられたきっかけは何ですか?

篠原:写真家がいつでも写真を持ってきて並べられる機会を作りたいということ。それから、いつでもお客様に来てもらえるような場を作りたいということですね。こういう仕事につくようになってから、ずっと考えていたのですが、生活の一部に、写真を含むアートをもっと自然に取り込んでもらえればいいかなぁと思っているんです。日本人はそういう習慣がなくて、わりと構えちゃうんですよね。入場無料なのだからもっと気軽にです。ここ四谷でごはんを食べる時の、待ち合わせ場所として使っていただいてもいいと思うのです。それに、このあたりは写真ギャラリーが7つ8つ集中していて、東京でも一番おもしろいエリアですので、散歩コースにもぴったりです。

それで、もう少し興味を持ってくださったら、自分で写真を始めてみるのもいいですし、あるいは、おもしろそうだなぁというものを買われてもいいと思うのです。きっかけって、そういうことなんだと思います。

編集:写真展や写真の見方などというものはありますか?こういうところを見たほうがよりおもしろく観れるというようなポイントがあったら教えてください。

篠原:本を読むことや映画をみるのと同じで、先入観なしに観られたらいいと思います。コレは好き、コレは嫌いでいいんです。

写真をもう一歩おもしろく観ていただくコツがあります。
写真というのは、何かを写す対象があります。花にしろ、どこかの風景にしろ、その写真家がそこまで行ったという足跡があるわけですよね。写真には、写真家がそこで撮ったことの必然性がどこかに隠れているハズなんです。ですから、個展に足を運んだ際、最初から観ていくと、最後にはヒントになるようなものが隠れている時があると思います。そのヒントを見つけられると、どんどん面白くなるかもしれないですね。個展ではその場にアーティストがいることが多いので、分からなければ遠慮なく聞いてみてくだい。そうすると、写真家の考えていることが少しづつ理解できたような気になると思いますし、自分で写真を撮るときも、今までとは風景の見方が変わってくると思うんです。

基本的な技術だけ覚えてしまえば、写真はすぐにうまくなってしまいます。でもその後行き詰る方が多いのです。それはやっぱり、写真を写す必然性みたいなものが足りないんだと思います。そういう意味でギャラリーは、技術ではなくて、表現のスキルを上げて行くためには、すごくいい場所になると思います。数多く見ていくことで、自分なりにいい写真、悪い写真が分ってきます。

それは、展覧会のやり方ひとつとってみても同じですよね。構成がヘタだなぁとか、ちょと量が多いかなとか、ものたりない感じがしたとか。また、「これはすごいなぁ」と感動する写真展との出会いも広がっていくと思います。自分の好き嫌い、写真を写す必然など、いろいろな思いを巡らせたり考えたりしていく中で、自分自身のことも分ってくるのです。そういったことの積み重ねが、自分が展覧会をやる時を含めて、今後の自分につながっていくと思います。


篠原さんのお話いかがでしたか? 写真展のことなどまだまだたくさん、お伺いしていますので、随時配信させていただきます。楽しみにしていてください。篠原さん貴重なお話、ありがとうございました。

次回(4/20配信)は、「私の撮る理由」に戻って、カメラマンのインタビューをお届けします。こちらもお楽しみに!!

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは、柳谷杞一郎です。

前号でデジタル写真の第5の特徴に「ISO感度の変更自由自在」をあげました。

フィルム交換をしなくても、ISO感度を変更できるというのは、思いの外、便利です。
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
晴天の下、屋外撮影をしている途中で、博物館に入って撮りたいモノを発見したら、感度を変えて撮影を継続できます。

銀塩フィルムだと、1本のフィルムを撮り終えなければ(あるいは巻き上げなければ)違う感度での撮影は不可能です。

もちろん、2〜3台カメラを携行して、1台にはISO感度50のカラーリバーサル、1台にはISO感度400のカラーリバーサル、もう一台には、ISO感度100のモノクロフィルムを入れておく、というような方法もありますが、ほんの数枚だけを高感度フィルムで撮りたいということができません。

その点、デジタルカメラはISO感度の変更が自由自在。取材撮影の途中で立ち寄ったレストランのお気に入りのメニューも気軽に撮影できます。多少のノイズには目をつぶらなくてはなりませんが、感度を1600や3200に設定できるカメラなら三脚も不要です。

この手軽さは、写真表現そのものに間違いなく大きな影響を与えます。

僕自身、「あっ、この情景は残しておきたいかも」と思いつつ、今カメラに入っているフィルムだと、感度が低すぎるし、巻き上げてしまうのは、もったいないし、という理由で、結局写真を撮らなかった、なんてことが何度もありました。

それが今では、ちょっと面白いモノをみつけたら、こっちでパチリ、あっちでパチリ、すぐにシャッターを押しています。

「その場で確かめられる」「感材費がかからない」「感度をすぐ変えられる」などシャッターをたくさん押す条件が、デジタル写真にはいくつもあるのです。やっぱりデジタルカメラは写真表現を大きく変えていきそうです。
「写真の学校」の教科書
大好況につき、発売5ヶ月で4刷出来!!
はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。柳谷杞一郎氏が執筆・編集しています
雷鳥社(2004/08)/1‚575円(税込み)

花写真〜上手になるための18のルール〜
写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。柳谷杞一郎氏が執筆・編集に関わっています
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)

 
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編 集 後 記
篠原さんは、分かりやすく丁寧に、穏やかにお話をしてくださる、素敵な方です。何度かルーニィにもお邪魔しているのですが、昨日まで開催されていたハービーさんの写真展のことなども、ここでは紹介しきれませんでしたが、たくさんお話を聞かせていただきました。機会があったら、ぜひまたここでご紹介させていただきたいと思いますので、そのときまで、どうぞお楽しみに!!みなさん、ギャラリーにも気軽に足を運んでくださいね。(イタガキ)
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