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■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう) 写真の学校/東京写真学園校長。 広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある
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本誌に執筆中の柳谷杞一郎氏がスーパーバイザーを務める「エスクァイア日本版デジタル写真賞」参加者募集中! 全4部門からなる写真賞の共通のテーマは「Art of Living」。最優秀作品賞には、賞金100万円が授与。9/1から参加費無料で募集開始。
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「写真の学校」の教科書 大好況につき、発売1ヶ月で2刷出来!!はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。作例の写真が豊富に掲載されていて、写真を本気ではじめる人にはうってつけの1冊。 雷鳥社/1‚575円(税込み)
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rule18 オリジナリティ、作風の誕生
撮りたいと思ったら、まず何も考えず 何枚かシャッターを押す。 そして、どうして撮りたかったか 自分自身に訊いてみる。
「写真の学校」の授業で、被写体として花を用意する。同じライティング、同じセッティングで入校後3ヶ月目ぐらいの10人が写真を撮るとする。作品好評の時間、なるほどと全員で感心する。10人の写真が見事なまでにまったく違った写真に仕上がるのである。講師としてはそれぞれに個性的な写真を撮る生徒全員を誉めてあげたくなる。
外に出かけていって写真を撮ることになったら、ますますその違いは明かになる。下からあおぎ見るように撮った写真の中にいい写真が多い人、上からのぞき込むように撮った写真の中にいい写真が多い人、フレーミングに独特の味わいがある人、光のとらえ方に独特の面白さがある人。現像フィルムを見ただけで、どのフィルムがどの人の作品かわかる。彼ら全員が大きく成長している証である。作品を見ただけで撮影者がわかる、このレベルになることは簡単なことではない。「作風」なるものが芽生え始めているのだ。
「どうして撮りたかったのか」と自分自身に訊いて答えが言葉になるようになったら、たいしたものだ。感情、感性をカタチにする力がついてきているのである。
-Kiichiro's Voice-
写真を言葉にするのには、一種の才能がいるかもしれない。しかし、考えてみてほしい、一流の写真家たちはいずれも、それぞれに独特の言葉をもっているではないか。
荒木惟経、森山大道、藤原新也、木村伊兵衛、宮本隆司、中平卓馬、数えあげたらキリがない。書けないとしても、喋れるはずである。どうしてそう撮ったのか答えをもっているからだ。意識をしなかったとしても、潜在的にはなにかしらの気持ちを持っていたはずなのだ。
一流のカメラマンへのインタビューは、インタビュアーに力量がなくても、それなりに面白く仕上がるのはそのためである。
言葉にすることは決して楽な作業ではない。でも、本当にあなた自身の中で、写真に対する取り組み方が徐々に変わっていくことになるだろう。自分の感情、感性をある程度カタチにすることができるようになったとしたら、それは一流のプロフェッショナルの領域に一歩踏み込んできているといってもいい。
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花写真〜上手になるための18のルール〜/監修・写真の学校/東京写真学園 写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。 雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)
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