Photo 365 MAGAZINE & DIGITAL PHOTO LABOS
2004.11.01
vol. 19
写真を仕事にしたい人、写真家になりたい人はもちろん、
写真に興味のある人なら誰でも楽しめるメールマガジンです。
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こんにちは。
雷鳥社「Photo365MAGAZINE&DIGITAL PHOTO LABO」エディターのオオネダです。
写真を撮ること、観ることが好きな人にお届けしているメールマガジン。
第一線で活躍する写真家のインタビュー、写真の撮り方のワンポイントレッスンという二つの柱でお届けしています。
先週から、水中写真を撮り続けている中村征夫さんをゲストにお迎えしています。中村さんの驚くべき過去、それでも強く生き続けている強靭な精神力には驚かされました。今週も魅力たっぷりでお届けします。
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私が写真を撮るワケ
人の意表をつくような写真を撮り続けていきたい。水中写真家・中村征夫さんインタビューVol.2
大自然の中に育ち、その自然に後押しをされるように前向きに子ども時代を過ごしていた中村征夫さん。「私が写真を撮る理由」第1回目では、中村さんの生まれ育った境遇についてうかがった。
第2回目では、中学・高校時代の中村少年、そして秋田県から上京してきた当初のことについて語っていただいた。
■ Profile ■
中村征夫(なかむらいくお)
1945年秋田県生まれ。20歳のときに独学で潜水と水中写真を始め、以後、専門誌のカメラマンを経てフリーランスとなる。現在、海を専門とする撮影プロダクション(株)スコール代表。国内外の海や自然、人々、そして環境を含め精力的に取材。CMや劇映画、ハイビジョン映像でも、その撮影技術は高く評価されている。ライフワークの東京湾をはじめ、水俣湾、北海道南西沖地震など、社会性のあるテーマにも果敢に取り組んでいる。写真集に『海中顔面博覧会』(情報センター出版局)、『水中の賢者たち』(ホーム社)、『沖縄珊瑚街道』(アスペクト)、ルポタージュに『全・東京湾』(情報センター出版局)など多数。
公式サイト
わがまちづくりシンポジウム「地震に強いまちづくり」講演会にて講演決定
「命は一生の宝物」―北海道南西沖(奥尻島)地震での生と死―
2004年11月27日(土)13:30〜16:00(中村氏の講演はこのうちの45分間)
会場:釜石市民文化会館(大ホール)










東急文化講演会にて講演決定
39年間見続けた海の話、いまや深刻な環境の話、はたまた海の生きものたちの面白話まで、スライドを交えながら講演
2004年12月6日(月))18:30〜20:00 
会場:仙台エクセルホテル東急(ボールルーム)










水中の賢者たち
数万点の中から選ばれた各写真に中国の名言名句を入れ、原文と意味を明記し、生きものたちの生態のキャプションも入れた、楽しく解りやすく親しめる写真集
ホーム社/1‚575円(税込み)










海中顔面博覧会
水中撮影で生物に接近し、そのユニークな表情をとらえた写真集。普段目につかない、うっかり見逃しがちな海の役者たちの生きざまを捉えてある。第13回木村伊兵衛写真賞受賞作品
情報センター出版局/3‚466円(税込み)










沖縄珊瑚海道
1994年以来撮影に6年の歳月をかけ、沖縄の珊瑚礁の海を舞台にサ塔Sとそこに棲む様々な生きものたちのありのままの姿を鮮烈にとらえた撮り下ろし作品集
アスペクト/3‚990円(税込み)

外で遊ぶことが多かった子ども時代。お気に入りはギンヤンマ
小学生のころは家にいても居心地が悪かったため、どうしても外で遊ぶことが多かった。近所の子供との喧嘩はしょっちゅうで、ナイフが飛んできて何針も縫ったこともあるという。今の日本だったら、ナイフで喧嘩というだけでちょっとした社会問題になりかねないが、無鉄砲、乱暴ぐらいの方が、子供は伸びやかに育っていくのかもしれない。

「小学校のころはギンヤンマばかり取っていた。僕はギンヤンマ取りの天才ですよ!トンボの王様だからね、ずっとギンヤンマに憧れていた。特にメスのギンヤンマ見ると、あの何ともいえない色っぽさに惚れ惚れしてねぇ。あんなにキレイなトンボはいないよ。優しいしね。変な話だけど、ギンヤンマがつがいで飛んでいると、『このやろ〜』ってオスにものすごい嫉妬してしまうんだよね(笑)」

「目の前をギンヤンマのカップルが飛んでくると、バシッと捕まえて、糸に結んでグルグル廻すんだ。そうするとオスが乗って来るからそれをまた捕まえる。そうして、指と指の間に順番に挟んで自慢気に歩いて帰るんだよ。それで最後は夕日に向かって『元気でな〜』ってかえす」
優秀な兄弟の間で、勉強嫌いはエスカレート
「うちは勉強が好きな家系でね〜。夏休みになるとドアを全部開けて、みんなで路地の方に向かって座って勉強するんだ。僕は上の兄弟から強制的に勉強させられるから、ものすごく勉強が嫌いになっちゃったんだよね。僕以外の兄弟はみんな優秀だったから、僕は勉強ができなくて中村家の汚点みたいな感じだった。それがプレッシャーにもなっていたんだよね」

小学6年生まで野球のピッチャーをしていた中村さん、実は近くの有名中学の監督から引き抜きの声がかかっていたという。「卒業したらうちの学校にこいよ」と言われて、小学生の時から中学校に行って練習していたほどだった。

「当然中学に入ったら野球部入ろうと思っていたんだけど、『とんでもない!勉強だ!』って、クラブ活動は一切禁止されてしまった。それで隠れて卓球部に入ったんだけど、帰りが遅いからおかしいということでバレて、2週間でやめたかな」

当時すでに父は失踪していたため、中村さんのしつけ、監視役というのは全て上の兄弟たちだった。家族になじめない上に、勉強もしないから怒られる。中村さんと兄弟との壁がなくなることはなかった。

「本当に厳しくてね〜。僕は今でも坊主になれないんですよ。火鉢で殴られた跡があって頭がぼこぼこだと思う」
本当はマラソンをしたかったんだけど…
勉強三昧の中学生活を終え、無事進学できた高校生活はどうだったのでしょうか。

「高校生活も最悪だよ。管理が厳しくてね〜。高校時代はクラブ活動をしていたんだけど、女子高だからね、バトミントン部だよ(笑)」

「本当はマラソンをやりたかったんだ。いつも陸上部のようなツラして真面目に走っている生徒がいてさ、じっと見ていたら『お前も走れ』って言われて一緒に走った。3、4日走ったかな。そしたらいきなりラケットを持たされて。それがバトミントン部だったわけ。まんまと騙されたよ。誰も部員が入らないから、先輩たちが隠してたんだよね。ちゃんと陸上部はあったんだけどね〜、分からなかったな」

「入ったらもう先輩たちが恐くて退部できないわけ。そしたら、バトミントンの激しさっていったらないよね。あんなに疲れるとは思わなかった。でも僕は強かったから有望視されて、キャプテンになっちゃった。東北大会までしかいけなかったけどね」

「シャトルを拾いながら、『なんか違うんだけどな〜』って思いながらも結局3年間続けたよ。だから高校時代も自然との関わりなんていうのはほとんどなかったよね」
人の嫌がることをやるのは苦じゃなかった
疑心暗鬼ながらもバトミントンにあけくれた高校生活。そして、東京の某電気会社に就職が決まった中村さんは高校卒業とともに上京。東京を選んだ理由は特になかったという。

「昭和町は夜になると人一人歩かないし、冬なんて5時にもなると真っ暗で『さみしぃな〜』って感じなんだけど。でも東京に来てみると、やっぱり昭和町は自然の中でいいなって思うんだよね。ずっと自然の中で育ってきたわけだからね」

中村さんは、遊びも仕事も、やるときはとことん真剣にやるタイプだと自負する。

「独身時代、たたみ一間だったんだけど、『今日は掃除しよう!』って思うと新聞紙をぬらしてちぎってバラまいてほうきではいて、指で触ってほこりがなくなるまで徹底的にやりました」

「人の嫌がることをやるのは苦じゃなかったね。人の嫌がることを隠れてそっとやってあげようみたいなね。サラリーマン時代にね、先輩の女性が廊下ではいてしまったことがあった。誰も嫌がって片付けないから、新入社員だった僕がそっと片付けた。それがその女の人に伝わっていて、お見舞いに行ったときに「ありがとう」って言われたんですよ。誰も見ていないところでやっていても、誰かが必ず見ているんだよね」

「人の嫌がること、やらないことをやる。それは全部自分のものになっていくんですよ。必ずいい形になって返ってくる。そういう気持ちは昔からありましたね」


次号(11/8配信)に続く

写真


柳谷杞一郎のデジタル写真をめぐる冒険
こんにちは。
柳谷杞一郎です。
「Photo365MAGAZINE」の読者のために、写真上達のためのヒントを毎回少しずつご紹介しています。まずスタートから18回は、『花写真〜上手になるための18のルール』(雷鳥社)という本で一度書いていたことをおさらいしていきます(Photo365MAGAZINE版オリジナル原稿に手直しした部分もあります)。
今回はその18回目です。おさらいは今週で終了します。来週からは、タイトルにもある「DIGITAL PHOTO LABO(デジタル写真実験室)」の話をスタートさせます。どうぞご期待ください!
■ Profile ■
柳谷杞一郎(やなぎたにきいちろう)
写真の学校/東京写真学園校長。
広告・出版物の制作ディレクターを経て、88年エスクァイア日本版の月刊化に際し、編集者として参加。90年副編集長。91年にカメラマンに転身。“大人の感性”と“少年の温もり”の混在する写真家として注目を集める。写真集に『Rapa Nui』『X』、著書に「写真でわかる<謎への旅>」シリーズの『イースター島』『マチュピチュ』などがある




本誌に執筆中の柳谷杞一郎氏がスーパーバイザーを務めるエスクァイア日本版デジタル写真賞」参加者募集中!
全4部門からなる写真賞の共通のテーマは「Art of Living」。最優秀作品賞には、賞金100万円が授与。9/1から参加費無料で募集開始。




「写真の学校」の教科書
大好況につき、発売1ヶ月で2刷出来!!はじめて一眼レフを手にする初心者からプロカメラマンを目指す上級者まで、写真が大好きな人が通っている写真の学校がつくった「写真の教科書」。作例の写真が豊富に掲載されていて、写真を本気ではじめる人にはうってつけの1冊。
雷鳥社/1‚575円(税込み)
rule18 オリジナリティ、作風の誕生

 撮りたいと思ったら、まず何も考えず
 何枚かシャッターを押す。
 そして、どうして撮りたかったか
 自分自身に訊いてみる。


「写真の学校」の授業で、被写体として花を用意する。同じライティング、同じセッティングで入校後3ヶ月目ぐらいの10人が写真を撮るとする。作品好評の時間、なるほどと全員で感心する。10人の写真が見事なまでにまったく違った写真に仕上がるのである。講師としてはそれぞれに個性的な写真を撮る生徒全員を誉めてあげたくなる。

外に出かけていって写真を撮ることになったら、ますますその違いは明かになる。下からあおぎ見るように撮った写真の中にいい写真が多い人、上からのぞき込むように撮った写真の中にいい写真が多い人、フレーミングに独特の味わいがある人、光のとらえ方に独特の面白さがある人。現像フィルムを見ただけで、どのフィルムがどの人の作品かわかる。彼ら全員が大きく成長している証である。作品を見ただけで撮影者がわかる、このレベルになることは簡単なことではない。「作風」なるものが芽生え始めているのだ。

「どうして撮りたかったのか」と自分自身に訊いて答えが言葉になるようになったら、たいしたものだ。感情、感性をカタチにする力がついてきているのである。


-Kiichiro's Voice-

写真を言葉にするのには、一種の才能がいるかもしれない。しかし、考えてみてほしい、一流の写真家たちはいずれも、それぞれに独特の言葉をもっているではないか。

荒木惟経、森山大道、藤原新也、木村伊兵衛、宮本隆司、中平卓馬、数えあげたらキリがない。書けないとしても、喋れるはずである。どうしてそう撮ったのか答えをもっているからだ。意識をしなかったとしても、潜在的にはなにかしらの気持ちを持っていたはずなのだ。

一流のカメラマンへのインタビューは、インタビュアーに力量がなくても、それなりに面白く仕上がるのはそのためである。

言葉にすることは決して楽な作業ではない。でも、本当にあなた自身の中で、写真に対する取り組み方が徐々に変わっていくことになるだろう。自分の感情、感性をある程度カタチにすることができるようになったとしたら、それは一流のプロフェッショナルの領域に一歩踏み込んできているといってもいい。
花写真〜上手になるための18のルール〜/監修・写真の学校/東京写真学園
写真を上手に撮るために心掛けるべきことは、たった18のルール。まだカメラを持っていない人から中級者まで、読んで楽しい一眼レフカメラ入門の書。
雷鳥社(2002/03)/1‚155円(税込み)


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編集の学校/文章の学校
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編 集 後 記
昆虫好きな少年はたくさんいるけれど、中でもメスが好きだという少年はなかなかいないだろうなぁ。でもそれがどういう感覚だったのか、ちょっと興味があります。でも、好きなものや夢は具体的であればあるだけいいですよね。新月の日にやりたいことを10個以上書き出すといいそうですよ。私もやってみようかな。(Hanaoka Mariko)
問 い 合 わ せ
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